表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/62

世界大会

サモニング・モンスター世界大会。

救世主(セイヴァー)としての、剣菱将(ケンビシショウ)の覚醒は目覚ましいものがあった。

運命の歯車が噛み合ったかのように、彼の周囲に漂う空気は一変していた。元来、彼は周囲が揶揄するほど勝負勘が悪いわけではなかった。むしろ、鋭い駆け引きと盤面を俯瞰する読みの深さは備えていたのだ。ただ、これまでは決定的な場面でカードを引き込めないという、底を打っていたツキが彼の足を引っ張り続けていただけだった。

だが、今の彼は違う。これまでの不遇を全てひっくり返さんばかりの勢いで、運命そのものがフル稼働していた。

負けるはずがない! 何せ、この手元にあるのは仲間たちが命を懸けて手に入れ、それぞれの加護が宿っている究極にして、至高のデッキなのだ。

もちろん、彼が今勝ち進んでいるのは、会員登録一年以内という縛りがある「ルーキー部門」に限っての話ではある。周囲を見渡せば、自分より背の低いローティーンのルーキーたちばかりだ。その中で無双し、十六歳の少年がチャンピオンの座に就くのは、冷静に考えれば少しばかり恥ずべき点、あるいは気まずさがあるのかもしれない。しかし、この大会の熱狂はそんな邪推を吹き飛ばすほどに真剣なものだった。

何より、このルーキー部門のレベルは決して低くはなかった。

その証拠に、仲間内でも随一の知略を誇る藤拓人(フジタクト)が、あえなく初戦で敗退を喫していたのだ。

拓人の「手札破壊デッキ」は、相手のリソースを奪い、選択肢を狭めてじわじわと追い詰める冷徹な戦術を得意としていた。だが、運命の悪戯か、初戦の相手は「デッキ破壊デッキ」だった。

拓人が相手の手札を削ろうと策を講じるより早く、相手は拓人の山札そのものを無慈悲に墓へと送り続けた。

「……俺の、デッキが……」

拓人が苦渋の表情を浮かべる中、最後の一枚が墓地へ落ち、彼の敗北が決定した。決して拓人が弱かったのではない。その後の展開を見ればわかる通り、相手の実力が本物だったのだと思いたかった。事実、そのデッキ破壊の使い手は破竹の勢いで勝ち上がり、準決勝で将と激突することになった。

将はその死闘の末、仲間たちの加護に助けられ、拓人の仇を討つ形でその難敵を打ち破ったのである。

ただ、将には将で、勝ち進むごとに膨らむ大きな悩みがあった。

デッキの切り札であり、自身の魂の写し身とも言える「竜狩りショウ」を、本番で一度も引けないのである。

山賊軍団が戦線を維持し、無限の鏡が相手の術策を写し取って勝利をもぎ取ってはいるものの、肝心の主役が山札の底で眠り続けている事実に、彼は言いようのない不安を感じていた。

ともあれ、苦境を乗り越えた将はルーキー部門で見事に優勝を飾った。

その手には、部門制覇の証である黄金のメダルが握られている。だが、彼の戦いはここからが本番であった。

運営から告げられた次なるステージ。それは、あの深淵の瞳を持つ少女、冬巡(フユメグリ)いつきの待つ「無差別級バトル」への特別参戦権だった。

格下相手の蹂躙ではなく、本当の意味での「救世主」としての資質が問われる戦場へ。将は昂ぶる胸を抑え、いつきが待つ冷徹な戦いの中心地へと向かう。

q

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ