ああ、感動のラスト前ーークエスターレベル二二
剣菱将
アタッカー:2
ミスティック:17
レジェンド:3
トール・アカラナータ・ガイア・アカラナータ・アカラナータ・アカラナータ
宮内純
エンチャンター:2
ルーンナイト:18
ワード:2
イドゥン・トール・アテナ(ティール)・ガイア
古藤三平
エンチャンター2
アルケミスト:17
エージェント::3
イドゥン・ヘル・ブラギ・ミューズ
藤拓人
キャスター:20
サモナー;1
フォックステイル:1
オーディン・オーディン・バルドル・ネルガル
冬巡いつきは、かつてない焦燥に駆られていた。
冷徹な絶対強者として君臨してきた彼女の牙城。その強固な城門を叩き、内部へと土足で踏み込んでくる「狩人」の足音が聞こえる。サモニング・モンスターという残酷な遊戯の場において、彼女が勝利を逃したのは、千を超す峻烈なバトルの中でもわずかに二度しかなかった。
一度目は、ドローーー戦術も知らぬまま、ただ衝動に従って戦った初めてのバトル。
そして二度目は、完敗ーーそれは人知を超えた「奈落」を相手に、自らのシャードを賭けて挑んだ魂の決闘であった。
命よりも重い重力を背負ったそのバトルで、敗北を喫したいつきは、自らの魂を贄として差し出した。契約は果たされ、彼女の輪郭からは大切な何かが剥げ落ちていった。彼女が失ったのは、形のない、けれど尊いもの。夢、希望、未来。それら全てを代償として深淵に捧げたのだ。
だが、喪失の痛みと引き換えに得た力の、なんと甘美な事か。
魂を削り取った空洞に流れ込んできたのは、世界を塗り替えるほどに濃密な魔力であった。その甘い毒に酔いしれるいつきにとって、かつての自分を構成していた要素はもはや塵に等しかった。
だから、夢(可能性)はいらない。不確かな明日に縋る必要などない。
希望(変化)も不要。現状という絶対の勝機が揺らぐことを恐れる。
未来(明日)は捨てた。ただ一度、この瞬間にのみ君臨すればそれでいい。
しかし、全てを捨て去ったはずの彼女の耳元で、運命の予感が密やかに囁き続ける。
「夢を捨てないで」
「希望はそこにある」
「未来はいつでもやってくる」と。
それは、彼女の身を焦がす呪いか、あるいは救済か。それが、大地母神の愛ならば、なんと苛烈な愛情表現だろうか。持てるものを全て奪い、孤独の極致へと追いやっておきながら、なおも「光」を信じろと神は命じるのだ。その慈愛という名の暴力に、いつきの心は激しく軋んだ。
眼前には、冷徹な光を放つバトルフィールドが広がっている。
そこには、彼女が捨てたはずの「夢」や「希望」を盾にして、牙を剥く狩人が待っている。いつきは微かに震える指先を隠すように、漆黒のカードを強く握りしめた。
魂の欠落を埋めるのは、勝利という名の冷たい果実だけ。
「……すべては、予定された結末へ向かうだけ」
震える心を氷の仮面で覆い隠し、彼女は自身を待つバトルフィールドへと脚を踏み出した。




