悪魔のデッキただしロマン分大目
完成したカードを手に取った一同は、その性能に目を剥いた。
まず、夜のカードはアイテムカード『無限の鏡』。
「魔力を支払うことで、相手の手札と同じ枚数だけ、自分の手札にカードを加える……?」
夜がその能力を読み上げる。手札制限を超えた場合はランダムに捨てるという制約はあるものの、リソース補充能力としては破格の性能だ。
三平の「ムイーミ」は、意外なことにモンスターカード『山賊軍団A〜C』という三位一体のカードへと姿を変えた。
「なんやこれ、褐色肌の美人さんばっかりやないか」
三平が鼻の下を伸ばす。しかしその性能は凶悪だった。AからCのうち、たった一枚でも戦場に踏みとどまっていれば、ターンエンド時に墓地から全ての仲間が手札に戻ってくる。粘り強さにおいては比類なき軍団である。
そして、最も異彩を放っていたのが将のカードだった。
「トール、アカラナータ、ガイア……三つの神の加護が混ざり合ったか」
ガイドが感心したように呟く。生成されたのは、タイプXのモンスターカード『竜狩りショウ』。
そのテキストには、短く、しかし絶対的な殺意が刻まれていた。
【特殊能力:このカードが場に出た時、フィールドに存在する任意の種族『ドラゴン』のカードを全て破壊する】
まさにドラゴンキラーとしての宿命を体現したかのような一枚。
夜や三平のカードも強力ではあるが、厳密な定義において「タイプX」の域に達したのは将のカードのみであった。それでも、彼らが手にしたオリジナルカードの群れは、既存の戦術を根底から覆すパワーを秘めている。
「……逆に考えようぜ。これ、全部ひとつのデッキに入るんだ」
将が不敵な笑みを浮かべ、仲間たちの顔を見渡した。
「『竜狩り』で盤面を更地にし、『山賊』が無限に湧き出し、『鏡』が戦略をコピーする……」
サジッタ社の研究施設を後にする彼らの背中には、先ほどまでの疲労はなかった。
来たる「サモニング・モンスター世界大会」。
そこで、この悪魔的なシナジーを持つデッキがどのような旋風を巻き起こすのか。
「悪趣味」と評されたワッフルメーカーから生まれた奇跡が、今、世界のカードゲーマーたちを震撼させようとしていた。




