四対四
「癒し手から確実に倒すぞ!」
前線へと飛び出しながら、剣菱将が吼えた。その声に即座に呼応したのが古藤三平である。
「神威あれ、美神の瞳よ」
三平が紡いだ旋律のような声が響くと、剣菱将の全身に漲る力がさらなる高みへと奮い立つ。支援の力はそれだけに留まらない。
「重ねて願う、詩神の歌よ。純の雷神の槌を、今一度呼び覚ませ」
三平の流れるような加護の連鎖が、仲間の攻撃力を極限まで引き上げていく。これを受けた剣菱将が、愛剣である破魔の公女(を一閃させた。放たれたのは三日月形の鋭い法弾である。
そこへ藤拓人の加護、ネルガルの力が加わった。単発だった法弾は瞬時に増殖し、まるで法弾の嵐のごとき物量で敵を圧倒する。さらに三平が加護ヘルによって破壊の意志を上乗せした。その壊滅的な攻撃を前に、ニセ純は窮地に追い込まれ、自身に対してイドゥンの加護を使用せざるを得なくなった。これで敵陣営に残された主要な加護は底を突いた。
加護が乱れ打たれ、戦場が混沌に包まれるのはアルシャードたちの戦いにおいては世の常である。だが、決定的な差が生まれつつあった。ニセ三平は、オリジナルが放ったミューズの加護を使うことができなかったのだ。レリクスが作り出した模造品といえど、アルシャードの真髄たる力や、限界を超えたブレイクの状態までは完全には再現できていなかったのである。
好機と見た剣菱将は、破魔の公女に宿る光の輝きをさらに強め、不動明王の加護を再びその身に宿した。
「今度こそ決めるぞ!」
彼は今一度、まばゆい三日月状の法弾を放ち、自らの模造品であるニセ将へと肉薄する。
「――神威あれ、大地母神の愛よ、鬼神の剣よ!」
必殺の重なりを乗せた法弾が、ニセ将の胸元を直撃した。凄まじい衝撃に大地が揺れる。しかし、ニセ将は信じがたい執念を見せ、ティールの加護により凄まじい気合いのみでその衝撃を弾き返したのである。
だが、その強引な防御が生んだ一瞬の慢心が、取り返しのつかない隙を作り出した。
「ナウマクサマンタバサラタンカン――神威あれ、不動明王の炎よ!」
間髪入れずに放たれた三つの火の玉が、逃げ場を失ったまがい物三人を再び激しく焼き尽くした。




