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炎の覚醒


 互いの無事を最低限の言葉で確認し合うと、四人の間に張り詰めた空気が流れた。再会の喜びを噛み締める時間は、今の彼らには残されていない。周囲を包囲する「見えざる敵」の気配は、刻一刻と濃厚になっていた。

「よし、作戦会議を始めよう。まずは、この忌々しい霧をどうにかする」

 立ち上がった剣菱けんびししょうが、断固とした口調で切り出した。ヘルメットの奥で光る彼の瞳は、もはや迷いなど微塵も感じさせない。

「……具体的にはどうするつもりだ? この霧はただの気象現象じゃない。魔力か、あるいはそれに類する何かが混じっている。物理的な風で吹き飛ばせる代物ではないぞ」

 ふじ拓人たくとの問いは理にかなっていた。事実、これまでは打つ手がなく、彼らはこの霧に翻弄され続けてきたのだ。しかし、将の答えは端的であり、かつあまりに破壊的だった。

「ネルガル・プラス・アカラナータ」

 その単語が出た瞬間、古藤ことう三平さんぺいの眉がわずかに跳ねた。宮内みやうちじゅんも息を呑む。

「視界内の霧を、文字通り『神の炎』で焼き尽くす。……あるよな、ネルガル」

 将は自らの胸に手を当て、呟いた。彼が先ほど口にした「二段階の成長」が何を意味するのか、仲間たちはその時ようやく理解し始めた。彼は、自分たちを守るために、人ならざる領域の力を引き出そうとしているのだ。

「……いいだろう。お前のその『覚醒』とやら、見せてもらうぞ」

 拓人が不敵に微笑み、各々が武器を構える。視界不良という最大のディスアドバンテージを跳ね除ける、反撃の火蓋が今、切って落とされようとしていた。

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