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合流! 四人の戦士

しょうちゃん、どないしはったん! 将ちゃん、しっかりしてや!」

 白濁とした霧が立ち込める中、宮内みやうちじゅんの悲痛な叫びが響き渡った。彼女は地面に横たわり、ぴくりとも動かない剣菱けんびししょうの肩を、折れんばかりの力で懸命に揺り起こす。バイザー越しに見える将の表情は虚ろで、意識の混濁を物語っていた。

「オヤジーーありがとうな……」

 不意に、将の唇が微かに動いた。フルフェイスのヘルメットの中にこもったその声は、消え入りそうなほど細かったが、純の耳にははっきりと届いた。誰に向けられたものか分からない感謝の言葉。それは、彼が深い意識の底で、何か決定的な境界線を越えてきた証のようにも聞こえた。

「……っ、よかったぁ。目覚ましたんか、自分! ほんまに心配したんやからな!」

 純の声が安堵で震える。その振動が伝わったのか、将はゆっくりとまぶたを押し上げ、焦点の定まらない瞳を彷徨わせた。

「……純か。悪いな、心配かけて。だが……おれはもう大丈夫だ。ちょっとばかり、二段階まとめて成長しちまっただけさ」

 その言葉は、単なる強がりには聞こえなかった。彼の身体から放たれる気配が、倒れる前とは明らかに異質で、鋭いものに変質していたからだ。

「フン、寝正月とはこのことだな。随分と余裕のあることで」

 霧の向こうから、冷ややかな、しかしどこか安堵を含んだ声が近づいてくる。ふじ拓人たくとだ。彼は視界を奪う濃霧の中、音だけを頼りに正確に位置を把握し、いつものように軽く毒を吐きながら二人の前に姿を現した。

「これで……全員集合、というわけか」

 最後の一人、古藤ことう三平さんぺいが、霧の中から音もなく歩み寄り、パチンと軽く手を打った。その乾いた音が、この絶望的な状況下での再集結を祝う合図のように響いた。



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