【6夜目‐1】 揃い踏みの風呂場。美容女子、絵美。
翌日。今日は久しぶりに芽、情、別好、絵美+マンボウくんの全員が揃った。
絵美がマンボウくんを湯船へと浮かべる。
──やはり、全員揃ってるのが、一番落ち着くな。
「……絵美、ずいぶん熱心に磨くね?」
肌をスポンジで磨き続ける絵美に向かって、情が訊ねる。
「──だって、修学旅行あるから、肌綺麗にしとかないと……。
クラスのみんなでお風呂入るし、美容には気を使わないとね」
「今どきは小6でも、美容なんて気にするんだ」
「──情は気にしないワケ……? はぁ……、信じらんない……」
絵美が額に手を当てて嘆く。
「あたしなんて、小学校の修学旅行の時、お風呂場で男の子と間違えられたくらいだからね……」
遠い目をする情。
「──高校の修学旅行では大丈夫だよ、たぶん……」
絵美が、神妙な面持ちで慰める。
「あたしも大丈夫だと思うわよ。
今の情なら、男子に間違えられないって断言できるわ!」
ぐっ、とサムズアップの芽玖。
「ありがと……」
ふたりから不思議な励ましを受けた情は、お礼を告げる。すすっとマンボウくんを胸に抱き寄せ、
「別好は、男の子と間違われたこと……、」
言われた瞬間、悲しそうな表情を浮かべる別好。
「──ないわよね、ゴメン。
ヒドいこと言って」
──やがて3人は風呂を終える。
いつも通り風呂場をあとにした。
そして、こちらもいつも通り、別好と俺だけが風呂場に残される。
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