【5夜目】 芽玖と情。きょにゅハラ論争。
翌日。今日は、芽玖&情、別好、マンボウくんのコンビだ。
情の体調はもう大丈夫らしい。
芽玖がマンボウくんを湯船に浮かべると、別好が手に取り、そのまま胸の前で抱きしめた。
「──あ〜あ……、
あたしも芽玖姉くらい胸あったらなぁ」
情が自身の平らな胸に両手を当てて嘆く。
「あのね、情。胸が大きいのも困りものなのよぉ。
外回りしてると、他の会社の社員さんが、さりげなく横目で見てたりするのよう。──ばればれなのに、ね」
「……芽玖姉、それ巨乳マウント?
巨乳ハラスメント、きょにゅハラだよ」
新たな〇〇ハラを生み出した情。
「……そう思ったのならごめんなさいね……」
「謝られたら、それはそれで複雑……。
でも、別好は大きさはそれなりでも、芽玖姉と同じで、形はいいから羨ましかったのよねぇ……」
情が、マンボウくんを抱えた別好の胸元を見ながらしみじみ漏らす。
「……………」
別好は無言で、自身の胸を見つめた。
「──そう言えば、揉んでもらうと大きくなるって言うよね。絵美の胸が大きいのも、男子に揉ませてるのかな?」
とんでもないことを言う情。
「絵美ちゃん、男の子嫌いだから、女の子同士かもしれないわね」
芽玖が打ち返す。
「──そう言えば芽玖姉、明日早いんじゃ無かったけ?」
「あっ、そうそう。明日はあさイチで外回りなのよお。早く出て寝なきゃ!」
バタバタと出て、着替えを終え風呂場を出ていくふたり。
「……………」
いつもの如く、別好と俺たちだけが残される。
◆◆◆◆
「瑠女雄も、大きいほうが好き……?」
別好が僅かに膨らむ胸に手を当て訊ねてくる、
「いや、俺は……」
彼女のまなざしに見つめられて。
「俺は……別好くらいが好き……かな……」
しどろもどろで答える。
「分かった」
──バシャリ。
急に水音を立て、立ち上がった別好。
「また明日」
「お、おう。また明日な」
出ていく彼女を呆気にとられて見送るのみだった。




