7/12
【4夜目‐2】 ためらいの別好。聞こえなかったコトバ。
一旦、浴槽から上がり、おたがい体を洗いあう。
先に別好から体を洗ってもらった俺。
今度は俺がスポンジを持ち、ボディソープを何度かプッシュ。
別好の背中を、スポンジで磨いていく。
前回は力加減が難しく、くすぐったがられたが、今回は大丈夫そうだ。
「どうだ、痛くはないか?」
「……………」
黙ったまま、こくん、と頷く彼女。
スポンジで磨き終え、仕上げに、別好の体についた泡をシャワーで流した。
しばらくして湯船に戻る。
「……男子苦手なのか?」
率直に別好へと訊ねた。
聞いた後、あけすけに聞いたらまずかったかな、と思ったが、訥々と別好が話しはじめる。
「すこし苦手……。
でも、嫌いじゃないし、瑠女雄さんは、怖くない……」
別好は自身の膝を抱く。
そして、躊躇うように俺の目を見た。
「瑠女雄……………………、」
俺の名前を呼んだあと。
──唇が何かを言うように、すこし動いた。
ただ、俺には、彼女が何を言おうとしたのかは、結局分からなかった……。




