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【3夜目‐2】 親鳥と雛鳥。甘いしあわせ。
──別好と俺だけが残された風呂場。
いや、別好は自発的に残っているわけだが……。
別好の手を見ると、いつの間にかカップアイス——ハーレムダッツの、きのこの森ガール・チーズフォンデュ味があった。
俺にカップとスプーンを差し出してくる。
「もしかしてくれるのか?」
訊ねると、ふるふると首を振る。
「あたしが食べる」
(ま、まぁ、そうだよな……)
「食べさせてほしい」
こちらに向かって、あーんと口を大きく開けてくる。
──まるで、親鳥に餌をねだる雛鳥のようだ。
俺はカップを開け、きめ細やかで冷たいハーレムダッツをスプーンですくう。
そして、彼女の小さな口に差し入れる。
「──!」
入れた瞬間、別好の瞳が一瞬、輝いた——ように見えた。
「あーー」
口を開け、おかわりを求めてくる彼女。
再度、スプーンですくって食べさせる。
「────!」
分かりづらいが、満足そうな表情を浮かべる別好。
俺は、心が満たされてゆくのを感じた。




