【7夜目‐1】 姿の見えない情。スクール水着の別好。
翌日。今日は、なぜか別好だけがひとりで風呂にやってきた。なにかの袋を手に下げている。
「今日は、みんな居ないのか?
別好だけお留守番か?」
不審に思い、訊ねる。
「絵美は修学旅行で、明後日の夜帰り。
芽玖姉は出張で、明後日の昼頃、帰ってくる」
横目を向いて答える。
「ん……? 芽玖と絵美はいいとして、情は居ないのか?」
情の姿が見えないことに疑問を呈す。
「……情はリビングで、映画見てる。
今日はお風呂入らない」
別好は背中を向けて言った。
「そ、そうか……」
情も女の子だ。体調不良や、生理かもしれない。
あまり深く追及しないほうがいいだろう──。
別好は、洗うのもそこそこに湯船に浸かる。
もう、先ほどのことは気にしていないのか、
いつも通りの顔をしている。
俺も、心を切り替えることにした。
別好とふたり、しばらく湯船で温まり、洗い場にあがる。
立ち上がった別好は、先ほど持ってきた袋から、紺色の布地を取り出した。
「今日はこれを着る」
広げるとそれは──、
「スク水か……」
そう、言わずとしれたスクール水着。
胸の部分に、「1年 佐渡別好」と書かれた布が縫い付けられていた。
しかし、別好は中学2年生だった気がする。
サイズが変わって、今は着てない水着なのか、
それとも、2年生に直していないだけなのか。
あと、別好の名字って、佐渡なんだな。
……なんかかわいい。




