10/12
【6夜目‐2】 別好の修学旅行。いつかの約束。
ふたりだけの風呂場。
ゆっくり湯船に浸かる俺たち。
何か話でも……、と思い、適当な話題をふってみる。
「……そう言えば、別好は中2だから、
来年修学旅行なんだよな?」
「…………うん。
でも、行っても、みんなと話せないから……」
俯く別好のさびしげな表情。
(──芽玖、情、絵美たちと同様、
学校でもあまり馴染めてないのかな……)
「──まぁ、もし修学旅行が楽しめなくても、
いつか俺が別好を旅行に連れて行ってやるよ。
混浴風呂とか内風呂なら、
別好とも一緒に入れるしさ」
「……瑠女雄と旅行……?」
「あぁ、別好と旅行だ」
「──ありがとう」
パシャリと水音をたてて立ち上がる別好。
「今日はもう出る」
「……あぁ。またな」
「また明日」
別好を見送る。
──いつか、ほんとに旅行に連れてってやりたいな……。そう心から思った。




