82「ピアノデトックス」
ショパン「ねえ、ラフマ。1週間だけピアノから離れてみない?? 僕たち二人で違うことしてみない?? ピアノから離れる代わりに得られるものがあるかもしれないよ」
ラフマニノフ「つまり、ピアノデトックスだな??」
ショパン「ピアノだけじゃなく音楽から一旦、1週間と期限を決めて、距離を置くんだ。いつもと違うことをすることで新しい発見が得られる可能性を無視できないんだ。気になっちゃってね」
ラフマニノフ「わかった。エキスパートピアノ音楽学校は副校長のゲンに一任して、俺たちは音楽以外の新しいことをやろう」
こうして、ショパンとラフマニノフの二人は「今までやったことがない新しいこと」をテーマに7日間の休暇を取った。
二人は映画館に来ていた。
ユウジロウ監督で自分たちも出演した「天才音楽家たちの女王」を映画館で見てみようとラフマニノフが言い出した。
ラフマニノフ「アゲハを奪い合う4人の物語。世界の王になるアゲハを。なんかアゲハがどこにでもいる顔面偏差値でお笑いだな」
「ちょっと、今、なんて言った??」
隣で変装したサングラスと帽子を外した「アゲハ本人」がラフマニノフに話しかけた。
ショパン「アゲハ!! いつの間にいたの?? こんな偶然あるわけないな。どういうことだ??」
アゲハ「偶然よ。本当に偶然!! 自分が主演した映画をまた見たくなったのよ。もう13回目よ。最高の映画よね。大ヒットしたし。笑いながら崖から落ち、川で溺れているショパンをバタフライしながらモーツァルトが助けに来るシーンはお笑いだわ。さすがの大根役者ぶりね」
ラフマニノフ「アゲハはいつから幽体離脱できるようになり、地上世界からこの霊界に自由に来れるようになったんだ??」
アゲハ「アームストロングから幽体離脱を自由にできる薬をもらったのよ。アームストロングは地上世界に物質化して現れる数少ない物質化霊だからね。」
ショパン「世界の王だから大変だね。ノブはいないの??」
「ここにいますが……」
天才ピアニストのノブがすぐショパンの隣でマスクを外しながら話しかけた。
ショパン「ノブ!! 久しぶり!! 僕のバラード5番はノブが地上世界で有名にしてくれたんだよね。今、地上世界でバラード5番が大ニュースになっているのもノブの手柄だ!!」
ノブ「バラード5番は伝説になるでしょう。僕は嬉しくてたまりません。あのショパンから、あの最高の天才のショパンの作品を霊界から地上世界に広める仕事ができるのですから」
アゲハ「あなた達こそ、今日はエキスパートピアノの仕事じゃなかったっけ?? 私の思い違いかしら??」
ラフマニノフ「今から1週間は今までにない新しいことに挑戦してみようってショパンが言い出したからな。1週間、仕事は休んだのさ。エキスパートピアノはゲンに任せた」
アゲハ「え?? ゲンって、あの日本のシンガーソングライターでアイデアって曲が好きだってショパンが言っていた?? あの??」
ラフマニノフ「ゲンはエキスパートピアノの副校長になったんだよ。音楽家だからな。彼は。日本ではまあまあ有名らしいぞ」
アゲハ「確かに有名ね。恋って曲でも有名よ。でも、彼も幽体離脱して霊界にいつでも来れるのよね!! 世界の王の私ならまだしも、いっぱしのシンガーソングライターが、幽体離脱を完成させるなんてね」
ラフマニノフ「俺がゲンの作った曲を地上世界に行った時に聴き惚れ、幽体離脱を覚えさせたんだよ!! 今では俺の親友だ」
アゲハ「これから1週間、新しいことするのよね?? なら、地上世界の日本に来なさい!! 霊としてね。あなた達があまり関わりが少ない日本には、たくさんの新しい発見や気づきがあるわよ。今から、日本に行きましょう。映画もちょうど終わったことだし」
ラフマニノフ「しかし、この映画は角田アキコがアゲハの前の世界王だったとはな。角田アキコが出てるなんて初めて知ったよ。逆立ちしながら迫ってきてちょっと気持ち悪いな」
アゲハ「今までにない変わった映画を作りたいとユウジロウが言っていたからね。だから、今までしたことないことをしようとなったあなた達は、意外性溢れたこの映画を見に来たんでしょ?? 続編もユウジロウが作るみたいだから楽しみにしてなさい。今日から世界最高に魅力で溢れた国の日本で様々なものを学びましょう!! インプット!! インプット!!」
ショパン「なんか、意外な展開になっちゃったなあ」