67「芳樹がいじめ??」
ショパン「芳樹、最近、ダメダメじゃないか。他の生徒をいじめていると、報告が入ったんだよ」
芳樹「いじめてねえよ。誰だよ。そんなこと言った奴は」
ショパン「こら、その口の利き方はなんだ。なってないじゃ
ないか。心当たりがあるはずだが」
芳樹「心当たりなんてないよ。ふざけんなよ。誰かが嘘
をついてるんだよ!!!」
ショパン「君がいじめを行っているという報告が3人から入ってるから、気を付けるように。いくら君が成績優秀者の上位に入っているからって、いじめをする生徒には特別扱いしない。最悪は退学も考えてもらう。本当にいじめをしていることが事実ならな!!」
芳樹「ふざけんな!!!何もしてないのに!!!本当に何もしてないのに!!!」
芳樹がいじめをしたという内容は、3人の生徒から報告され
た。
生徒A「芳樹さんが、私を同性愛者だと噂話をしたんです。
それが、広まってしまって、学校に来るのが苦痛になってしまったんです。私は、芳樹さんが好きでした。だから、告白したんです!!!そしたら、笑って断られて。付き合うことはできないと言われました。断るだけならまだしも、学校中に、私が同性愛者だということをバラしてしまったのです」
生徒B「私は楽譜を隠されました。いつも使っている大事な
楽譜を」
生徒C「僕は悪口を主に言われました。才能ないから、こ
の学校で学んでいても意味がない、みたいな嫌味ばかり言われて、このエキスパートピアノで学ぶ意欲を削がれました」
ということだ。
すべて、川口芳樹が行ったという報告だ。
ショパンは芳樹にそのいじめをされたという生徒達の全貌を話した。
ショパン「そのような報告が3人からあったんだが、なぜ、こんなことをしたんだ?理由でもあるのか?いじめは絶対に厳禁だ!喧嘩でもしたのか?」
芳樹「その3人は俺を嫌っているんだよ。その3人はラフマ
ニノフ先生に仲が良い俺に嫉妬し、ありもしないことをでっちあげて、俺を退学にさせようとしているんだ。俺はこの3人に、『ラフマニノフの直接の教え子だからって、いい気になるなよ』って言われたし。必ずお前を退学にさせてやるとも言われたよ!!!その3人に。つまり、俺を陥れようとする悪の陰謀だよ」
ショパン「どっちの言うことが本当なんだ?わからない。ど
ちらを信じたらいいのか。破天荒な性格のお前ならやりかねないという印象も無くはないし」
芳樹「俺は天才だから、3人が妬んで、いじめてきてるん
だ。その3人を信じなくていいよ。正しいのは俺だからな!!!」
ショパン「おい、3人とも入ってこい!!!」
芳樹がいじめを行ったと報告した生徒3人が、計画したかの
ように芳樹の目の間に現れた。
芳樹「お前たち、どういうつもりだ?なぜ、こんな嘘をつく
んだ?最低だな!!」
生徒C「お前は自分がラフマニノフの教え子だって、自慢ば
かりするからだろ?嫌われるようなことをするからだ。自業自得だ!!!」
生徒A「え?ちょっと!!!芳樹が私たちに行ったいじめは全て本当のことなのよ?」
生徒B「そうだ!嘘じゃない。芳樹は俺たちをいじめてきたんだ!!!」
ショパン「意見が分かれたな!どっちが真実なんだ?」
芳樹「俺ってこんなに嫌われてるのかよ!!もうお前たち
とは話したくない!!!俺、当分の間、休学するよ!お前たちの目論見どおり、目の前から邪魔者は消え去ってやるよ!これで
いいんだろ?」
ショパン「ちょっと、芳樹!!!待て!!」
芳樹は号泣をして、怒りの表情で勢いよく、校長室を飛び出した。
ショパンと別行動を取っていて、いじめ調査をしていたラフ
マニノフは、校長室からいなくなった芳樹を探していた。
ラフマニノフは芳樹が河川敷で座って、泣いているところを
発見した!!!
ラフマニノフ「芳樹!!!大丈夫か?」
芳樹「先生!!!俺、もうダメかもしれません。先生も知ってるんでしょ?俺がいじめをしているってことを!!!」
ラフマニノフ「お前がいじめをしていないことくらい俺はよ
くわかっているよ。ただ、調子に乗る天才だから、嫌われたのかもしれないな。でも、俺やショパンみたいにその調子いい、破天荒なところ、熱いところ、人間味溢れるところを好いてくれる人たちもいるぞ?」
芳樹「ショパンは俺を好いてなんかいません。俺を信じてくれなかったし。それより、先生はなんで、僕がいじめをしてないって信じられるんですか?建前ですか?それとも本音ですか?」
ラフマニノフ「いじめの調査で周りの生徒に聞き込みした
ら、芳樹がいじめをしたところを見た奴がいなかったんだ。いじめアンケートにもなかった!それで、お前が絶対にやってないってわかった。逆にあの3人は結託して、芳樹をいじめているところを見ていた生徒もいたぞ。だから、お前が逆に被害者だったんだな!!俺はお前の味方だぞ!! 安心しろ」
芳樹「俺、休学します!!!あの3人に気に食わないと思われる態度をしてしまったかもしれません。俺って、ものすごいお調子者だから!!!」
ラフマニノフ「学校を休むのはおすすめしないな」
芳樹「家で練習します。サボりませんから!!!」
ラフマニノフ「学校は人間関係を学ぶためにあるんだよ。みんなとうまく付き合っていくことを学ぶためにあるんだよ。ピアノの勉強や練習なんて家でもできるからな。今、ここて逃げたら負け犬になって悔しいはずだ」
芳樹「でも⋯」
ラフマニノフ「休学したら、俺がせっかく直に教えているのに、ガッカリするだろ?俺のために学校には来てくれ!! そして、うまくいかない人間関係をここで克服して、修復していくんだ。そこに成長があるからな。逃げては、せっかくの成長のチャンスを無駄にしてしまうから、ぜひ、学校にこれからも来るんだ。彼らに負けたくないだろう!!!俺からもあの3人に説得していくから。あの3人がしっかり芳樹とやっていけるように。よく、敵が味方になる物語があるが、敵同士が
かけがえのない宝とも言える友情へと発展することもあるんだよ。それを目指そうじゃないか!!」
ラフマニノフと芳樹が話をしていると、生徒3人とショパン
が河川敷に走ってきた。
生徒A「芳樹ーーーー!!!!!!ごめん!!!!!私たちが悪かった!!!!!嘘ついてゴメン!!」
生徒B「ショパン先生の話を聞いて、芳樹は僕たちにライバ
ル心をつけさせ、成長をさせるためにわざとむかつくような態度をとったってわかったんだ」
生徒C「私たちのためにしてくれていたんだね。その心の内
を聞いて、我に返ったんだ。これからは一緒に切磋琢磨していこう。これから君も教えてよ。分からないことや疑問があったら、君に聞いてもいいかい?」
芳樹「お前ら、、、まあ、器の広い俺だから、仕方なく許してやるよ!!」
ショパン「ラフマからいじめの調査の結果を聞いた。このエキスパートピアノにはたくさんの監視カメラがついてる。いじめしたら、すぐに分かるんだよ。すべて、専用の調査機関に調べてもらったら、芳樹は何もしてないって分かった。私が悪かった。少しでも信じてやることができなくてゴメン」
芳樹「ショパンには失望させられたよ!! もっと人を見抜く力を身に付けてくれ」
ラフマニノフ「夕日が芳樹の大逆転ハッピーエンド勝利を祝福してくれているよ!!!」
ショパン「芳樹、これからもエキスパートピアノに来てくれ!! 頼む!! 辞めないでほしい。裏のない隠さない飾らない性格の生意気な態度で校長の僕に歯向かってくる反抗的な君がいないと退屈で寂しいからね」
芳樹「ショパン!! ラフマニノフ先生!! これからも生意気な俺をヨロシク!!」