66「木星オリエンタル」
「これから説明することはとても重要なことだからな」
地球圏霊界のトップ「シナメルド」がラフマニノフとショパンにそう宣言した。
シナメルド「木星霊界の最高責任者のオリエンタルに会いに
行く。そして、オリエンタルはラフマニノフの霊界での全15曲のピアノ協奏曲を、木星霊界で自由にコンサートで誰でも自由に演奏できるようにしたいというのだ。その分のギャラの交渉
にこれから行く。しかし、ラフマニノフは決して引き下がってはならぬ。できるだけ大きな生命ポイントをもらえ。オリエンタルはケチで有名なんだ。ものすごい倹約家だ。だから、この交渉は意地の張り合いになると思う」
木星の霊界に到着した。
宇宙船「チョコレート」で木星まで1時間の宇宙飛行だった。
木星で一番大きな都市の「マルスロイ」の宇宙港に到着した。
オリエンタルが既に到着していて、ショパンたち3人を待っていた。
ガラス張りが7割を占める宇宙港の新鮮な雰囲気はショパン
たち一行を大いに楽しませた。
「どうぞ、こちらへ」
案内されたのは、霊界最高のグランドピアノといわれる「マ
イダッハ」が設置されたコンサートホールだった。
これまたガラス張りの机と椅子に腰かけた4人はさっそく、
本題に入った。
オリエンタル「ラフマニノフ様。シナメルドから聞いている
とは思いますが、この木星ではあなたのピアノ協奏曲がクラシック音楽の中で最も愛されています。特に9番が人気です。
しかし、著作権があるために、十分なギャラを払わなけれ
ば、木星のピアニストたちが開催する公開演奏会で、ラフマニノフ様のピアノ協奏曲を弾くことができません。しかし、木星のピアニストたちが演奏するたびに、その収益の5%の報酬では少なすぎると思います。さらに多くの報酬をラフマニノフ様に支払いたいのです。なので、木星でのラフマニノフ様のピアノ協奏曲の演奏著作権を買い取りたいのです。毎回、ピアニストがあなたのピアノ協奏曲を演奏するたびに、ラフマニノフ様にお支払いするギャラの計算する事務費などを削り、その節約した半分半分を我々で分け合う形にしたい!!!この額までお支払いできます」
ラフマニノフは渡された小切手を見て驚愕した。
ラフマニノフ「130億?? そんなにくれるのか??」
オリエンタル「はい。今、一年間にラフマニノフ様に支払
う、木星の全コンサートでのピアノ協奏曲演奏での著作権報酬は約6000万生命ポイントほどです。なので、200年分ほどの生命ポイントを一気に獲得できます。私たちの今までの手間のかかるギャラ計算とその事務費用が一日に300万程。それらを節約できるからこそ、これだけ支払えるのです。ラフマニノフ様に支払っていた1年間6000万より、事務費用一日300万のほうが高くつくのです。木星は大きいですから、そのギャラの計算や振込や、事務費用、人件費などを節約したいのです。これで取り引きが成立すれば、それらの一日300万ほどの経費が浮くので、こちらとしてはとても資金面で嬉しいのです」
ラフマニノフ「確かに、まとまった資金が一気に獲得できる
のは嬉しい」
オリエンタル「そして、その演奏著作権量の130億生命ポイントの他に、節約した一日300万の経費の半分
の150万生命ポイントを毎日、ラフマニノフ様に支払います。でないと、ラフマニノフ様に失礼ですからね。毎日150万の権利収入が手に入り、断る理由がないと思いますが」
ショパン「ラフマ。渡りに船じゃないか?一日150万生命ポイントは大きいよ」
ラフマニノフ「シナメルドからオリエンタルはケチだと聞い
ていたが、全く逆のようで、不審に感じるくらいだ。それより、ショパンにも同じような提案ができないか?? ショパンのピアノ曲の人気は木星ではどうなんだ??」
オリエンタル「実は、ショパン様はあまり人気ではないので
す。こちらではピアノ協奏曲が最重視されていますから。木星のクラシック音楽といえばピアノ協奏曲です」
ラフマニノフ「ショパンのピアノ協奏曲全9曲も、同じギャ
ラ、同じ条件で頼む!ショパンにも150万の権利収入を与えてやりたいんだ!!!」
ショパン「ラフマ⋯そんな⋯」
オリエンタル「ショパン様のピアノ協奏曲は9曲とも、特に
ラフマニノフ様のそれとは違い、ずば抜けて演奏されるわけでもないですし。人気もいまひとつですが⋯」
ラフマニノフ「では、これからのショパンの進化したオーケ
ストレーションのピアノ協奏曲をショパンが作曲していくから、それを買い取ってほしい。一日150万の権利収入ギャラと、130億の契約金をショパンに支払え。ショパンはこれから
どんどんオーケストレーションが上達していくのは間違いない。ショパンのピアノ協奏曲が俺のより木星で人気ないのはオーケストレーションが目立たないからだろう。それは解決されることになるから安心しろ。これから先のショパンの未来のピアノ協奏曲10曲の演奏著作権を買い取れ!俺とショパンは一心同体の相棒同士だ。俺だけ美味しい思いをしても嬉しくない」
オリエンタル「わかりました。ラフマニノフ様がそのようにおっしゃるならそういたしましょう。ラフマニノフ様の言葉なら信頼できます。ショパン様の今後のピアノ協奏曲の作曲の上達を期待して」
ショパン「ラフマ。ありがとう。嬉しいよ!! でも、どうしてそこまでして僕を??」
ラフマニノフ「言わなくても分かるだろう」