09「青空と太陽の下で」
ショパンとラフマニノフは青空と太陽が勢いよく照り付ける雲の上でリラックスした状態で浮いていた。
ここは霊界。
どこにでも行けるのである。
綺麗なブルーの空と暖かい太陽が快感でここに来るのである。
ショパン「今度、人気投票っていうのやってみない?? 霊界全体でラフマニノフと僕。どちらが人気があるのかっていうのを知りたいんだ」
ラフマニノフ「なんでそこまで俺との対決にこだわるんだ?」
ショパン「どうしても君に勝ちたくて仕方ないんだよ。ラフマは凄い音楽家だからこそ……」
ラフマニノフ「安心しなさい。一生、俺には勝てないだろう
からな。アハハハハ」
ショパン「絶対に勝ってやる!! ここはいつ来ても最高だよね。太陽がちょうどよい温度で居心地がいいし、ものすごい幸福感に包まれるんだ」
ラフマニノフ「俺がいるからだろう。俺がお前の太陽だからな」
ショパン「そういうギャグはいいよ。今、すごい寒くなった
よ」
ラフマニノフ「まあ、ずっとここにいたいよな。俺はここで
思考にふけるのが好きなんだ」
ショパン「どんなこと考えているの??」
ラフマニノフ「俺はお前に会うまでは不幸だった。寂しか
った。孤独だったんだ。生前からショパンのことは尊敬していたが、まさかこうやって死んでからこっちの世界で相棒になるなんて思ってもみなかった。何が起こるか分からないな。ショパンは最高のダチだってことだ」
ショパン「よせやい。照れるじゃないか。僕だってラフマ
ニノフとバディになれてよかったよ。なんかバカなところが
面白いし」
ラフマニノフ「バカは余計だよ。まあ、俺は生前は死んだら
終わりだと思っていた。死後の世界があるなんて微塵も思わ
なかった。人は霊界で永遠に生き続けると知った時、絶望し
たんだ。生前は孤独だった。人には言わなかったし、態度に
も出さなかった。隠していたんだ。絶望を。でも、永遠に生
きるのは嫌だ。ひとりぼっちというか、虚無感に永遠に苦し
められるんだと思っていたら、ショパン、お前が現れた。あ
りがとう。救われたよ。俺は一人じゃないんだって」
ショパン「今日のラフマはなんかおかしいよ。すごい感傷的
になって、いつもの君らしくないね」
ラフマニノフ「これからもよろしくな」
ショパン「それはこっちのセリフだよ。僕はラフマから離れ
たくない。絶対に。いつまでも一緒にいよう。最高の相棒
よ」
ラフマニノフ「あっ、そうだ。これから副業のコーヒー屋を
開店するんだが、全部手伝ってくれないか?」
ショパン「全部って……さっきまでの話は手伝ってもらうために言ったんじゃないよね?? わざと心に響くようなこと言って、コーヒー屋を手伝わせる算段だったとか??」
ラフマニノフ「それはどうだかな。さあ、コーヒー屋に行こ
う。もうすでに準備を始めているんだ」
ショパン「分かった。そう、焦るなよ」