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56「ミヤザワトモヒデの暴走」

 ラフマニノフ、ショパン、パオロは宇宙の神「ミヤザワトモ

ヒデ」の神殿に来ていた。


ミヤワザトモヒデ「お前たちか。何の用だ??」


パオロ「なぜ、バイオレットを不幸にするんだ??バイオレットはラフマニノフと一緒にいることを望んでいるのに!バイ

オレットはどこだ?バイオレットを自由にしてくれ!頼む!!」


 パオロはプライドを捨てて、土下座した。


 相手は宇宙の神。逆らったらどうなるか分からない。


ラフマニノフ「トモヒデ様。バイオレットを返してくれ」


ショパン「頼むよ!僕からのお願いだ!!!」


ミヤザワトモヒデ「バイオレット、こっちにおいで」


 バイオレットが現れた!!!


バイオレット「ラフマニノフ先生!!!お兄さん!!!」


ミヤザワトモヒデ「音楽学校エキスパートピアノは閉鎖する

ことになる。バイオレットを返してほしいならな!!!!ハハ

ハハハ!お前にその覚悟はあるか?ラフマニノフ!!!」


ショパン「そんなのあんまりです!!!私たちが何か悪いことを⋯罪でも犯したでしょうか?私たちの唯一の生きがいを奪おうとするなんて酷すぎます。どうか、考え直していただけないでしょうか?」


パオロ「あなたがなぜ、そんなことするのか、全くわかりま

せん!」


ミヤザワトモヒデ「ラフマニノフよ。バイオレットとエキスパートピアノならどちらが大事だ?正直に答えよ!!!」


ラフマニノフ「それは……」


ミヤザワトモヒデ「正直に答えなければ、バイオレットはや

れんな……」


ラフマニノフ「そ、そ、それは……エキスパートピアノだ。正直、ショパンとエキスパートピアノを造りあげ、俺たちの夢を実現させることのほうが、バイオレットといるより大事だ。すまん。バイオレット。だが、お前だって大事だ!!!だが、ショパンとお前、どちらが大事といわれたら、ショパンの方が大事だ!!!だから、俺はバイオレットと失恋を引き換えに、音楽学校の存続を選んだんだ!!!ゴメン!!!!!!!」


バイオレット「正直に言ってくれてうれしいわ!!!実は私はラフマニノフ先生よりミヤザワトモヒデ様のほうが好きになったのよ!あなたより力があるから。宇宙の神だしね。ミヤザワトモヒデ様と結婚式したいと心から思っていたの。ラフマニノフ先生より、ミヤザワトモヒデ様のほうが大事よ!!!だから、私たちはお互い、本当に一番大事な相手というわけではなかったみたいね。ただ、ミヤザワトモヒデ様に捕まったふりして、ラフマニノフ先生がどうするか試したかったの。正直、来てくれて嬉しかったわ。あなたはショパンと音楽学校が一番大事なのよね。私はどんなに頑張ってもラフマニノフ先生のー番にはなれない。一番になれないなら、一緒にいたくないと思ったのよ!!!あなたはショパンがいるじゃない!!!それで十分でしょ?」


パオロ「バイオレット??」


バイオレット「私はミヤザワトモヒデ様を選んだの!!!玉の輿よ!!!彼はラフマニノフ先生とは比べ物にならないくらい偉大なのよ」


ラフマニノフ「それがお前の本音なのか?」


バイオレット「そうよ⋯⋯」


 ラフマニノフはいきなり涙を流し始めた。


ラフマニノフ「そうか、わかった。お前と一緒にいた日々は何にも代えられない奇跡だった。永遠に忘れないからな!!!一緒になりたかったよ!でも、俺にはショパンとエキスパートピアノがある。それらを手放すことはできない。この涙はお前への愛の証だ!!!」


バイオレット「あなたがショパンより私を一番に選んでくれたならね。一緒になっていたかもしれないわ。でも、それは叶わぬ夢なのよ。お互い、もう、夢の中にいるのはやめましょう!私は宇宙の神を選んだんだから!!!」


ラフマニノフ「両方、選べたらどんなによかったか。でも、

それは許されないみたいだな」


 ラフマニノフは静かに泣いた!!!


 3人は静かにミヤザワトモヒデの神殿を去った。


バイオレット「これでいいのよね?? トモヒデ様。本当

にこれで。ショパンとラフマニノフにしっかり協力してく

れるのよね?? エキスパートピアノを潰したりしないわよ

ね?」


ミヤザワトモヒデ「ああ。バイオレット。お前が私と一緒にいるかぎり、エキスパートピアノは安泰だ。しかも、ショパンとラフマニノフの後ろ盾になってやるから安心しろ。ハハハハ

ハ」


 ミヤザワトモビデはバイオレットをラフマニノフから横取りした。


 自分がバイオレットに惚れ抜いてしまったのだ。


 一方的な愛は時に人を暴走させる。


 宇宙の神も例外ではないのだ。


 バイオレットはショパンとラフマニノフのために、ミヤザワトモヒデと過ごす道を選んだ。


 本当はバイオレットはラフマニノフを一番に愛していた。

 

 しかし、それをミヤザワトモヒデに言えば、確実にラフマニノフを潰しにかかる。


 ラフマニノフの安全のためには仕方なかったのだ。


 でもよかった。


 ラフマニノフが「バイオレット」を一番大事だと言わなくて。


 言っていたら、もっとバイオレットは悩んだはずだ。



 ミヤザワトモヒデの力があれば、ラフマニノフも生きやすくなる。もっと、幸せになると思う。


 すべてはラフマニノフたちの幸せのために!!!


 苦渋の決断だった。


 バイオレットは今にもラフマニノフの胸に飛び込みたかっ

た。


 ラフマニノフに抱きしめられたかった。


 でも、耐えた。


ショパン「ラフマ、、、なんで?? なんでバイオレットが一番大事だと言わなかったんだ?? 君は僕とエキスパートピアノを一番大事だといった。バイオレットよりも。それは、本心か?」


ラフマニノフ「本心だ!!!ショパンと離れる方が辛いよ。バイオレット以上にな。俺は正直に生きると決めたんだ!!!キレイゴトは無しだ。でも、バイオレットが心を変え、俺より好きな人を見つけたらしく、よかったよ。ミヤザワトモヒデのほうを選んだんだな。あいつは。もし、まだ、俺に惚れていたら、俺はどうするか分からなかった。悩んだはずだ」


 ラフマニノフはバイオレットと違い、本音をさらけ出した。


 それがラフマニノフなのだ。


 バイオレットは心の中で、ラフマニノフを想いながら、これからも生きていくだろう。


 ラフマニノフの一番になりたいと思いながら、叶わない現実は残酷だった。


以前のバイオレットなら「これからラフマニノフ先生の一番になる。必ず、心変わりさせる!!!真剣に接すれば、一番になれるかもしれない!!」と希望を持ったはずだ。


 だが、ミヤザワトモヒデに惚れられ、どうしようもなくなった。


 彼は強引だった。攻撃的だった。


 ラフマニノフ先生が危ない。ラフマニノフ先生の安全のためには、ミヤザワトモヒデのそばにいるしかない。


 そう思ってのことだった。


 バイオレットにとっては、ラフマニノフが一番。


 ラフマニノフにとっては、ショパンとエキスパートピアノ音

楽学校が一番。


 ラフマニノフとバイオレットは、お互い一番同士にはなれなかった。


 恋とは喜びもあれば悲しみもある。


 ラフマニノフはバイオレットを忘れるかのように、さらに、ショパンとエキスパートピアノに力を注ぐことを胸に誓った。


ラフマニノフ「俺たちは儚い短い夢の中にいたんだ……」

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