44「宇宙船チョコレートパーティー」
ショパンとラフマニノフはアゲハ、ノブ、角田アキコ、し
んすけ、みさえ、ひろし、ジンサ、ネマル、メシを宇宙船「チョコレート」に招待して、宇宙の果てへと冒険に出かけた。
アゲハ「また宇宙の果て旅行に行けるとはね。角田アキコの
歌をみんな聞くことになるけど、覚悟はいい?」
角田アキコ「そうだ!あたいの地球愛って歌をみんなに聞か
せてやるぜ!」
ジンサ「それよりもまずは、腹ごしらえだ。ディナーを用意するぜ。おい、ショパン。俺があらかじめ伝えておいた食材は用意したんだろうな?」
ショパン「ああ、厨房の無限冷蔵庫にすべて入っているよ。
勝手に使ってくれ!」
ラフマニノフ「ジンサのシーフードチャーハンが食べたい
な!懐かしいな。海のレストランで俺が考案したレシピより
人気がなかったやつだな!」
ジンサ「いや、シーフードチャーハンなんか比べ物にならない美味しい絶品ハンバーグを作ってやるよ!」
しんすけ「オレ、ラフマニノフさんにピアノ習ってしばら
く経つから、かなりピアノ上達したよ」
みさえ「みんな!角田アキコの歌よりも、しんちゃんのピア
ノ演奏を聞いてあげてくれる!」
ひろし「ショパンの蝶々のエチュードです!」
ネマル「そうだそうだ!角田アキコの歌には興味ねえよ!そっちの少年のピアノ演奏の方が遥かに興味あるな!」
メシ「ジンサのディナーは何分くらいでできるんだ?」
ジンサ「30分あれば、生きていることを感謝するくらいの絶品なハンバーグが用意できるぜ!まあ、もう少し辛抱してくれ。今から作り始める!」
ショパン「しんすけ!私の蝶々のエチュードを練習していたのか?」
ラフマニノフ「そうだ!しんすけはショパンの蝶々のエチ
ュードに夢中だ!俺が教えたんだ!」
ショパン「ラフマ!ありがとう!」
しんすけと角田アキコの蝶々のエチュードと地球愛の同時
演奏により、うるさいくらいの宇宙船のホールで、みんなはパーティーしていた。
ノブ「しんすけ君が蝶々のエチュードを弾いたら、僕が今度はバラード5番を弾いてもいいですか?」
アゲハ「私が以前、ショパンのバラードは4曲しかないと豪
語したあんたに、霊界で作曲したショパンのバラード5番が
あるんだって教えたのよね。そして、幽体離脱を覚えて、シ
ョパンに会い、ショパンのエキスパートピアノの音楽学校の
生徒になったのよね。まあ、幽体離脱しているときだけしか
霊界には来れない私たちだけど、20分を超える大曲だか
ら、かなり習得するまで苦労したのよね!ショパンの作品の
中でも、バラード4番に引けを取るどころか、感動度では上
回る最高のバラードが5番よね!」
ノブ「アゲハさん。勘違いしないでください!バラード5番は習得していません。まだまだ、練習不足で僕の理想の演奏レベルには到達していません。満足できる演奏ではないですが、せっかくショパンとラフマニノフという最高のピアノの天才がいるので、なにか演奏のアドバイスをもらえないかと思いまして!」
アゲハ「その様子だと、永遠に満足しなさそうよね。ノブ
はピアノ演奏を更に極めたいのよね!私からしたら、かなり弾きこなせていると思うけどね!」
ノブ「それは、アゲハさんがピアノの素人だからです」
アゲハ「あら、悪かったわね!ほら、しんすけが蝶々のエ
チュードを弾き終わったわよ!どう?しんすけの演奏は!」
ノブ「5歳の子供にしては、十分すぎるくらい演奏技術が
高度です。僕はしんすけ君に未恐ろしい才能を感じます」
ショパン「うん。天才だ!5歳でこれならそう断言してもい
い。何もアドバイスはしないほうがいいのかもしれない。し
んすけには。アドバイスすれば、個性を失うかもしれな
い。すでに5歳で今まで聞いたことのない個性が光り輝いて
いる!僕は驚いた!」
ラフマニノフ「俺の教え方が最上級だからだろう。伊達に、
霊界音楽家先生ランキングで3年連続1位を取ってないから
な!俺は!」
ノブ「僕のバラード5番を聞いてください!みなさん!」
ノブは全力を出し切ったショパンのバラード5番を弾いた!
ラフマニノフ「ノブ、君は5歳のしんすけからいろいろと学べ!しんすけが持っているものがお前が足らないものだ。つまり、深さだ!深度だ!一番感動するような箇所で、スラスラさりげなく弾くのではなくて、深い崖に飛びこむようなドラマチックでなおかつ、大胆で静かな演奏をしたまえ!」
ノブ「たった5歳のしんすけ君から大人の僕が学ぶのですか?僕は悔しくてたまりません!」
みさえ「聞いた?あなた!しんちゃん!天才ピアニストとして有名な、あのノブさんがしんちゃんから学べって言われたのよ?しんちゃんは超天才なのよ!親として鼻が高いわ!」
ひろし「しんすけは将来、ピアノ演奏を極め、作曲も極め
てくれたら、ショパンをも凌駕する天才作曲家になるかもし
れないな!期待してるぞ!しんすけ!」
しんすけ「ありがたいです」
角田アキコ「おい、こっちにも注目してくれないのか?空気
読めよ!あたいだけ仲間外れかよ!」
ネマル「おい、アキコ!お前は確かに昔よりはうるさく歌わなくなった。でも、作曲した歌はセンスゼロで誰も聞きたくないってことだ!」
メシ「あっ、ジンサ!! できたのか?ディナーが!腹ペコペ
コなんだよ!待ってたぞ!」
ジンサ「おう!みんな待たせたな!ディナーができたぞ!食堂の机に人数分、用意した。ソースは3種類。デミグラスソース、ケチャップウスターソース、俺特製ハンバーグソースだ。最初に味見してから、お好みなのを使ってくれ!」
メシは一番早く、駆け足で食堂に行った。朝から何も食べ
てないらしかった。
それに、サッカーの試合をしたばかりだった。
ショパン「皆さん!ジンサが用意してくれたディナーを堪能
しながらカラオケ大会をやりましょう!カラオケの点数が高
かった順に、ジンサのスペシャルスイーツ、レアチーズタル
トを提供します!」
ラフマニノフ「このカラオケ大会はみんな全員を歌わせる。
強制参加だからな!」
角田アキコ「よっしゃー!あたいもみんなに歌を聴いてもら
える機会が来た!!!」
ラフマニノフ「ただし、角田アキコは自作曲以外を歌ってく
れ!お前の曲は誰も聞きたがらないんだ!」
角田アキコ「この際、なんでもいいよ!別にあたいの歌を好
きなファンは、いるんだからな!いくらお前たちが嫌いでも
な!250万人を動員したあたいの世界ツアーコンサートが
それを証明している!」
ノブ「実は、僕、角田アキコさんのうるさい激しいファン
キーな曲調の歌が好きで、コンサートに行ったんですよ!だ
から、喜んでください!」
アゲハ「あら、ノブ。いいとこあるじゃない!仲間外れに
されたアキコを慈しむなんて!」
ノブ「2代目世界の王になった角田アキコさんと仲良くな
れば、何かと有利です!」
アゲハ「あら、3代目世界の王の私だけじゃなくて、2代目
も自分のパイプにしようとしてるなんて腹黒いわね。まあ、
いいわ。そんな欲深いあんたも面白くて好きよ!」
ノブ「アゲハさんに好きと言われても困ります!僕はすで
に好きな人がこのメンバーの中にいるんですから!」
アゲハ「嘘?誰?いや、聞かないでおくわ。なんか恐ろしく
て!」
ノブ「人妻です」
アゲハ「この中で人妻って言ったら、ひとりしかいないじゃ
ない!これ以上、言わないで!」
ショパン「では、ディナーを始めましょう!カラオケ大会。
最初に歌う人は、アゲハ!」
アゲハ「待ってましたー!! 一番乗り最高!!」
こうして、ジンサの絶品ハンバーグディナーをみんな堪能
し、宇宙の果て旅行は大成功したとさ。