表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/87

39「地球圏霊界最高責任者シナメルドのお試し」

 ショパンとラフマニノフはシナメルドの屋敷に呼ばれてい

た。


シナメルド「私の政治家としての職務の手助けをしてほしい」


ショパン「といいますと?」


シナメルド「私は重度のうつ病を患っていたのだが、ショパ

ンとラフマニノフの演奏を生で聞いたときにそのうつ病が一

時的に回復したのだ。それからは、毎日、君たちの演奏を聴

いている。生での演奏じゃないとダメなんだ。盗聴機をこれ

から仕掛けることを許可してほしい。君たちがピアノの演奏

をする時だけ、盗聴器のスイッチを入れてほしい。これは頼

みだ。生の君たちの演奏じゃないと、うつの気分の落ち込み

が回復しないのだ。同じ音源の演奏はやがて慣れてしまい、

何の効果も無くなってしまう。もし、頼みを聞いてくれるな

らば、君たちのエキスパートピアノという学校の経営許可証

を無期限で発行しよう。更に、政治にも介入してもらう。君

たちにこの地球圏霊界の運命を握らせたいと思う。もちろ

ん、君たちは政治には詳しくないだろうが、音楽家としての

名声をうまく利用すればいい効果が期待できると思うんだ」


ラフマニノフ「悪いですが、お断りですね!」


ショパン「こら、ラフマ。もっと口の利き方に気をつけな

よ。この方は霊界の最高責任者なんだから」


ラフマニノフ「私たちは音楽家だ。ショパンを超えるピアノ音楽作曲家と私を超えるピアノ協奏曲の作曲家を輩出するた

めに音楽学校は設立した。そして、今は、その志事に集中し

たい。二足のわらじは履けない。シナメルドさん。音楽学

校の経営はいつも通りの方法で更新する。無期限の経営許可

証が無くても、毎年の手続きを行えば済むことだ。私たちは

政治に興味がない。あるのは音楽だ。政治は政治家に任せる

つもりだ。頼むから集中させてくれ!」


ショパン「でも、シナメルド様はうつ病になり、困っている

から、生の演奏をする時だけ接続される盗聴機は許可してあ

げたいな。シナメルドさんと仲良くなっておけば、太いパイ

プができるよ。何かあった時に助けてくれるかもしれない

よ」


ラフマニノフ「霊界のトップだからこそ、盗聴器なんていう

ものは許可できない。生の演奏を聞きたければ、毎週行われ

ている私たちのコンサートに来ればいい。盗聴機を許可した

ら、それができない人たちが可哀想だ。しっかりコンサート

に足を運ぶ人たちに失礼だろ?私たちはシナメルド様に会い

に来てもらいたい。毎週ね。そうすれば持病のうつ病も消し

飛び、毎週、回復するだろ?それじゃダメなのか?」


シナメルド「さすが、ラフマニノフだ。ショパンよ。彼を見

習いたまえ。実は試していたんだよ。私の変な提案をどのよ

うに断り、新しく自分の意見を言えるか、再提案するかを

ね。ラフマニノフの考えはもっともだ。筋が通り、誠実だ。

しかも、よく考えているね。私が君たちのコンサートに毎

週、来れば、それだけでニュースになり、音楽学校の宣伝に

もなり、より、君たちの夢が叶う確率が高くなる。また、毎

週、私と会えることで、何かしら私たちとの距離が縮まり、

仲が良くなり、何か大きな可能性が広がるかもしれない」


ショパン「ラフマ。君、すごいね。そこまで考えていたなん

て。僕はまだまだ未熟だな」


ラフマニノフ「霊界のトップだけあり、あなたこそ誠実だ。

やろうと思えば、私たちに音楽学校をご自身の権力で圧力を

かけて、潰すことも簡単なはず。でも、それをしないんだか

らな」


シナメルド「私が最も重要としている永遠の人生観は、誠実

であることだ。誠実であることに特別こだわっている。人間として腐らないように。心だけは美しくありたいんだ。どんな状

況においても、自分でどのように解釈し、意味づけし、捉

え、思い、行動するか。生き方だけは気高き、誇れるような

ものでいたい。私は霊界では最大の権力を持っている。ラフ

マニノフが言った通り、君たちを潰そうと思えば、3日で

できる。君たちを霊界から住めなくすることもできる。で

も、そんなことして私には得がない。損しかないんだ。君た

ちの夢を心から応援したい。政治の仕事を手伝ってほしいと

いうより、君たちが音楽学校をできるだけ有名にし、学校の

数を増やし、ショパンとラフマニノフを超える音楽家を育て

上げることは、私の願いでもある。夢があるんだよ。君たち

の目指す未来には。だから、私のトップとしての権力を、力

をできるだけ使い、その夢を全力でサポートする。追い風に

なるようにね」


ラフマニノフ「願ってもない話だが、なぜ、そこまで私たち

に協力してくれるんだ?不思議でしかない」


ショパン「それはシナメルド様が私たちの音楽や演奏を気に

入ったからですよね?好きになってくれたから、応援してく

ださるんですよね?」


シナメルド「応援ではない。協力したくなったのだ。一緒に

夢を叶えていこう。ちなみに私にショパンとラフマニノフの

音楽を教えてくれたのは、ゲンというコーヒー職人だ。君た

ちの親友って言っていた。だから、ゲンに感謝している。久

しぶりにワクワクしているんだ。やはり、目標や夢はあった

ほうがいいな。目指すべきものを明確に持った方が、毎日が

楽しくなる」


ラフマニノフ「ゲンが?あいつに感謝しないとな。シナメル

ド様と友達になれたんだからな」


ショパン「最近、ゲンは何しているかと思ったら、僕たちの

力になってくれていたんだね。ありがとう。ゲン」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ