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31「パンプキン・メロン」

 霊界の経済担当大臣「パンプキン・メロン」はショパンとラフマニノフの経営する音楽学校「エキスパートピアノ」の運

営許可を常に与えていたが、それが危うくなる事態が発生し

た。


 パンプキンはショパンに自分の家族の前でピアノ演奏をしてほしいと願ったが、ショパンは多忙から拒否したのだ。


パンプキン「私の息子はショパンの大ファンなんだよ。ぜ

ひ、会ってやってくれないか?」


ショパン「今、私は忙しいんだよ。あなたの要望は叶えられ

ません」


パンプキン「どうしてもだめか。土下座してもいい」


ショパン「なんでも土下座して頼めば聞いてくれると思ったら大間違いです」


パンプキン「何故、私にそんなに冷たいんだ?私の裁量一つ

で、ショパンたちの音楽学校も潰れるんだぞ??」


ショパン「えっ?」


ラフマニノフ「ショパン。会ってやれ!頼みを聞いてやれ!

音楽学校がどうなってもいいのか?」


ショパン「そうか。。。自分の思い通りにいかないとそうや

って脅すのか。私はそういう輩が大嫌いなんだ!あなたに大きな権限があるということは分かっているが、脅しに屈するの

は自分のプライドが許さない」


ラフマニノフ「あの、私でよければパンプキン・メロン様の

息子に会ってやることができますが?ダメですか?」


パンプキン「ラフマニノフには興味ない。私はショパンがいいのだ。ショパンにしか興味がないんだ」


ショパン「では、ぜひ⋯音楽学校の運営許可を取り消し

てもらって結構。私たちは宇宙の神ミヤザワトモヒデにコネ

があるから、あなたをミヤザワトモヒデに頼んでクビにして

もらうようにする。それどころかこの霊界に住めないように

してもらうかもしれないが」


パンプキン「何言ってるんだ。冗談が通用しないとは本当だ

な。尊敬するショパンの学校を私が本気で潰すわけないだろ

う。私もショパン達の学校がどう成長していくか楽しみで仕

方ないんだからな。ダメ元で言ってみただけだ。どうしても

会ってくれないのなら残念ですが、あきらめるさ。お気を悪

くしたなら申し訳ない」


ラフマニノフ「私たちにどうしても会いたいなら、私たちの

エキスパートピアノ音楽学校に入学して、腕を磨くことをお

すすめする。ショパンはただ単にそうしてほしいだけなんで

すよ」


ショパン「エキスパートピアノに入学すれば、私に会えるか

もしれない。その息子さんはピアノに興味を持っていただき

たいですね。個人的に会うことは余程の理由が無いとお受け

しません。本当に忙しいのですし、あなたの息子さんだけ特

別扱いすることはできません。私に会いたい人に全て会って

いたら、精神的に持たないです」


パンプキン「そうですか。では、サインだけでももらえませ

んか?」


ショパン「音楽学校に入学していただければ、そして、ピア

ノ演奏と作曲を学んでくださればサインをプレゼントしまし

ょう。そのくらいはします。私たちの使命はなるべく大勢の

人にピアノを学んでいただき、私たちを遥かに超える音楽家

を育て上げることなんですから。なるべくたくさんの人にピ

アノに触れていただきたい」


パンプキン「では、息子をエキスパートピアノで学ばせたい

と思います。ショパンに知り合えるならば、息子は喜んで入

学しましょう」


ショパン「そうです。それでいいんです。息子さんに期待し

ています。それより、一番大事なのはさっきラフマニノフに

興味ないと言いましたが、ラフマニノフにも興味を持ってや

ってください。彼の魅力に気づいてないと、絶対にピアノは

上達しません。私よりも魅力的なピアノ協奏曲が書け、私よ

りも難易度の高い音楽が作曲でき、私よりもピアノ演奏が上

手なんですから。魅力的すぎるはずです。ラフマニノフを悲

しませるようなことがないように」


ラフマニノフ「おう、ショパン。あまりに俺に親切すぎて、

恥ずかしいぞ。げど、ありがとな」


 いきなり思い切りよく扉が開き、一人の子供が入ってきた。


息子「わあーーーショパンさん、本物?」


パンプキン「ショパンさん、実は息子を連れてきていたんで

す。どうしても会わせたいと。今日、音楽学校の運営許可の

手続きのために、校長のショパンたちが来ると言ったら、僕

も行くと言っていて。ごめんなさい」


 ショパンはいきなり息子に手招きをして、近寄ってきた息子

を抱きしめた。


ショパン「君は僕のファンなんだってね。ならば、音楽学校

に入学してくれ。ピアノを一緒に極めようじゃないか。ピア

ノの魅力に気づいたら、楽しくなるよ!ぜひ、学校に来てくれ!」


息子「もちろんだよ。行くよ。ありがとう。会えてうれし

い!ずっと憧れの方だったから。ショパンの曲は全てチェッ

クしているんだよ!でも、僕が一番嬉しいのはラフマニノフ

さんがいてくれたことだよ。実は僕はラフマニノフさんがシ

ョパンさんより好きなんだ!もちろんラフマニノフさんの作

曲した曲も全てショパンの曲より聞いてるよ。ラフマニノ

フさんのほうがカッコよくて好きだよ!背が2メートルあっ

て、手が大きくて。男らしくて最高だよ」


ショパン「なんだ!ラフマの方が好きなのか!それはよかっ

た。ラフマも喜んでくれるぞ!」


 ショパンはラフマが喜ぶと思うと嬉しくて仕方なかった。


ラフマニノフ「おいで!! ハグしてやろう」


息子「わあ。ラフマニノフ先生から抱きしめられるなんて、

もう嬉しすぎる」


パンプキン「息子の音楽学校の入学手続きもぜひ、今、ここ

でしたいのですが」


ショパン「書類を持ってきてないので、息子さんはこのまま

音楽学校に私たちが連れていきます。そこで、正式に入学の

手続きをしたいと思います」


息子「わあ。学校に連れて行ってくれるんですか?」


ラフマニノフ「君が喜んでくれるからね」


ショパン「ラフマ。僕、これからはひとりひとりに会うこと

も大切にしようと思うよ。考え方を変えようと思う。なるべ

くたくさんの人に会って、音楽学校の、ピアノの魅力を伝え

ていこうと思う。僕が会うのを拒絶していたら、ピアノに興

味を持ってもらえなくなっちゃうかもしれないからね。会う

人すべて、なるべく大事にして、その人の前でピアノ演奏を

して、ピアノに感動してもらって、ピアノを弾けるようにな

りたい、ピアノの音が好きって、音楽に興味を持ってもらう

ようにしたい。目の前の人、ひとりひとりを大事にしたいと

思う。その大切さに今、気づいたよ」


ラフマニノフ「成長してきているな。ショパン。気づいてく

れてよかったよ。今日会った息子さんがショパンを超える音

楽家になるかもしれないからな。どんな人が大きな可能性を

秘めているかは見かけでは分からないから、俺たちができる

最善の行動は、できるだけ多くの人を大事にして、私たちを

好きになってもらうことだ」

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