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17「映像編集」

 ショパンとラフマニノフは2人で共演する公開演奏会のため

のスクリーンに描写される映像をパソコンで編集している最

中だった。


ラフマニノフ「白い花びらの花の真ん中が地球になってい

て、ひとつずつ花びらが離れていき、最終的にその丸い青い

地球だけが満天の宇宙空間をバックに残る。そのあとピアノ

協奏曲『地球』を演奏開始だ」


ショパン「結構、美しくていいんじゃないかな。これは賛成

かな。それより、僕の英雄ポロネーズの映像はどうしようか

迷っているんだけど」


ラフマニノフ「自分が作曲したときの動機、どのような思い

が込められているかを素直に表現すればいいんじゃないか?」


ショパン「うん、それでもいい。この英雄ポロネーズは僕が

病弱で風邪をこじらせてばかりだった頃に、お父さんが看病し

てくれた時の頼もしさを表現したんだよ。お父さんはその

時、僕のヒーローだったから。だから、英雄と名付けられた

のは自分でも納得しているんだ。でも、それは曲の源になっ

ているエピソードであって、自分の理想ではない。自分は混

乱した世界を平和にした世界の王、男の勇敢さを映像で表現

したいって思いがある。事実にもとづいた映像か、自分のし

たいような理想にもとづいた映像か、迷っているんだ」


ラフマニノフ「これは、まさに究極の2択だな。でも、俺は

王様のほうが圧倒的にいい。お父さんには悪いが、ショパン

のお父さんが個人的に看病した時の映像は共感が少ないと感

じる。やはり、ロマンがあるのは世界の王様が世界を平和に

し、世界統一する映像の方がワクワクするし、感動するとし

か思えないがな。お父さんの子供への愛情より、やはり多くの人が魅了されるのは世界王のほうだ。俺は世界王のほうが興味あるし、ぜひ、見てみたい!」


ショパン「じゃあ、世界王を演奏中のスクリーンに流すこと

にするね。映像は実写がいいか、アニメーションがいいか、

どっちがいいだろうか?」


ラフマニノフ「俺に聞きすぎじゃないか?自分で決めるべき

だと思うが、アニメーションのほうが心にスッと入ってきや

すいな。俺たちは実写の世界で生きている。新鮮なのはアニ

メだな。でも、アニメーションを制作するのは大変だぞ?3

か月後の演奏会に間に合わせられるのか?」


ショパン「インターネットでアニメーション制作の依頼の会

社を検索してみるよ。僕はマンガとか似顔絵を描くのが生前

から得意だったから、どのような雰囲気の王様を登場させる

か、これから決定していきたい!」


ラフマニノフ「それより、ショパン。お前の家に槍を用いた

警備員を配置していることについてだが、なんとかならない

のか?無断で入り込んだ奴を槍で撃退するのはちょっとやり

すぎで残酷だぞ?俺も最初、ショパンのところに無断で登場

したら、槍で退治されそうになり、カッとなってその鎧を着

た槍の部隊とやりあったんだ。槍だけにな」


ショパン「この霊界では思念により、思った場所に一瞬で自由に行けるからね。誰も来てほしくないって思った時に槍部隊を配置しているんだよ。でも、みんな霊体だから、痛みは感じ

ないし、死なないからね。これで、懲りて、無断で入ること

はないようになるといいなと思ってね」


ラフマニノフ「無断でというなら、お前が許可したら大丈夫

なのか?」


ショパン「許可証を随時、発行して、渡しているからね。ラ

フマに渡しておくよ」


ラフマニノフ「首にかけるタイプだな。槍部隊に見えるよう

にしないとな」


ショパン「作曲しているときに、いきなり誰も知らない人が

ちょこちょこ現れると、集中できないからね。槍部隊は苦肉

の策だよ。どうしても嫌なんだ。作曲中に1人になれないの

は」


ラフマニノフ「俺は一人じゃないほうがいいけどな。海で波

に揺られながら、パソコンで作曲してるしな。俺たちってや

っぱり対照的だな」


ショパン「生前、サンドの別邸、ノアンの家では僕専用の作

曲部屋があって、馬の毛が使われた2重扉が設置されてい

て、そこで英雄ポロネーズとかを作曲したんだ。集中力がな

くなるから作曲中は誰も入ってこないようにみんなしてくれ

ていたよ。あっ、そうそう。コーヒー屋のゲンを雇用したい

んだけど、ラフマから言ってくれないかな?家でゲンの入れ

るコーヒーが飲みたいって」 


ラフマニノフ「ゲンは地上でライブやってんじゃないかな?

まだ、幽体離脱でしか霊界に来られないから、自由にアクセ

スできるわけじゃないんだよ。それに、ゲンは雇用されるの

は嫌がると思う。自分の店を出しているからな。俺もいず

れ、自分のコーヒー店を出そうと思っている」


ショパン「ゲンのライブに見に行こうよ!」


ラフマニノフ「分かった。ゲンの様子を見に行こう!」


 2人はゲンに会いに地上世界に降りに行った。

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