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16「冥王星のナイバル」

「いずれこの国の王になる」


 川から打ち上げられた黄金魚にドラゴンの生命が刻まれた。


 その魚を望遠鏡みたいにアップして見てみると、その魚の細

胞にドラゴンの命が宿っていた。



 青色をしている。目が見えて動いてる。このドラゴンはま

だ赤ちゃんだが、いずれ国を大きく改革する革命王になるのだという。


 ドラゴン人間「キングストロークドラゴン」だ。彼は世界を

変える大きな使命を持ってこの世に降誕した。


 その黄金魚に宿った時に空には大きな虹が出現したという。


 科学者の白地郎は黄金魚を発見し、珍しいので持ち帰るこ

とにした。


 手に持った瞬間に神の声が白地郎の頭に流れ込んできた。


「この魚を8カ月間、守り抜いてください。この魚には世界を変える救世主ドラゴンが宿っています」


 はっきりと聞こえた。空耳ではなかった。何度も何度も聞こえてくる。


 白地郎は科学者だ。ドラゴンが宿っているか調べることにし

た。


白地郎「むっ?? なんだこれは??」


ラフマニノフ「もう飽きた!!」


ショパン「君は飽きるのが高速だな。寝ながら読み聞かせる本はこれが読みたい気分なんだけど」


ラフマニノフ「ショパンの発声が下手くそなのかもな。俺がこの前にやったスピーチみたいに魂をこめ、抑揚のはっきりした読み方でやってみたまえ」


ショパン「わがままだな。読んでやってるだけありがたいと思え」


ラフマニノフ「そんなこと言うなら、もうラフマカレー作っ

てやらないぞ?? いいのか??」


ショパン「あれは一週間に一度の楽しみなのに?? それすら奪うっていうのかい?? 薄情者が!!」


ラフマニノフ「もう読み聞かせはしなくていい。言い合いで目が覚めてしまったからな」


ショパン「ねえ、ラフマ。最近、音楽学校のことで相談があ

るんだけど」


ラフマニノフ「??」


ショパン「僕は生前はピアノのレッスンとかの先生をやるのが楽しかったし、自分でもかなり高レベルの教授だなと自負していたんだけど、なんか教えるのがめんどくさくなってきてしまっているんだよね。この人に教えても僕は超えられないなって思っちゃう」


ラフマニノフ「お前を超えるピアノ音楽作曲家を誕生させるのが野望であり、目標ではなかったのかな??」


ショパン「エキスパートピアノ音楽学校が設立されてから、かなり経つけど、、全然そんな素質のある人は見当たらないというか。教えても無駄だなとか思っちゃうんだよね。ラフマはな

んか注目生徒いる?? 音楽学校で一番優秀な生徒でも、僕もラフマも超えられる人はいないと未来を予感させる生徒しかいないんだけど」


ラフマニノフ「あくまで予感だよ。それに、そんな簡単に俺達を超えられるわけがないだろう。いくら優秀な生徒たちであっても。でも、いつの日か現れるかもしれない。それに、そういう私たちの後継者を育て上げるのが、この仕事の面白さだよ。いきなり、なんでもできる奴が現れたらそれほどつまらないことはない。思い通りにいかないから面白いんだよ」


ショパン「ピアノの演奏の教授職はやっぱりやる気が出ないんだ。雑魚が多すぎるよ」


ラフマニノフ「雑魚を一流に育て上げるまでの試行錯誤が面

白いんだよ。それにやる気は動いて初めて出るんだ。やる気がないからってやる気が出るのを待っていて何も行動しなかったら、いつまでもそのやる気がでないまま、ずっと無行動で終わってしまう。やる気が起きないときこそ、とにかくやり始める。これができればもっとピアノ演奏教授職が面白くなるぞ?? 俺は芳樹を教えているが、吸収が遅い生徒程、教えがいがあって面白い。これからのお前の課題だよ。やる気が出るのを待つな。自らやり始め、やる気を出すんだ」


ショパン「その気分のコントロールが思い通りにいかないん

だ」


ラフマニノフ「片足がなくなっても這いずり回って動いてやる!! くらいの精神でいけ!!」


ショパン「そうだよね。できないじゃない、やるんだ。やる

しかないんだ!!」


ラフマニノフ「お前と音楽学校ができて嬉しいぞ!! だから、やる気を出してもらわないと困る。俺はやる気満々なの

に、お前がやる気なかったら俺はどうすればいいんだ??」


ショパン「弱気になってしまっているんだ。先日にガッカリすることがあって……」


ラフマニノフ「どうした??」


ショパン「僕は地球の霊界の中ではピアノ史上最強の作曲

家として名を馳せているけれど、冥王星にいる宇宙人のナイ

バルって人が、わずか40歳という人生で600曲のピアノ

曲を作曲したらしいんだけど、そのピアノ曲が僕に全然引け

を取らなくて……僕と1歳しか違わない生涯で、僕の何倍もピアノ曲の傑作を生みだしていたんだ。僕はそれを今、全て研究しているところなんだけど、どうみても僕より優れたピアノ作曲家なんだよね。彼は霊界を題材にした交響曲まで見事なオーケストレーションで作っていて、あまりにいい曲で久しぶりに興奮したよ。僕とナイバル。どちらが天才かって言ったらナイバルに軍配なんだよね。それで、自信喪失しちゃって。僕の格上がすぐに見つかったんだ。冥王星の人だから、あまり関係ないとしても、音楽学校で自分が教えてるのが恥ずかしいくらいなんだ。ナイバルを見てるとね」


ラフマニノフ「宇宙は広いんだからお前より格上はたくさんいるさ。今回は同じ近所の星にいたんだよな。ピアノは太陽系の全てにあるからな。でも、お前の幻想ポロネーズやバラード4番とか舟歌は唯一無二だ。ナイバルでも作れないよ。断言してもいい。お前にはお前の良さがある。上には上がいるのは当たり前のことだ。それで、自信を失うんじゃなく、その上の存在を研究して、自分の成長と向上のための吸収の材料にすればいいんだ。ナイバルはお前よりも音楽家としてのキャリア、経験年数が多いだけかもしれない。格上がいることを喜び、むしろ、ワクワクして悔しがってみろ。お前にはいい刺激だよ。自分以上のピアノ作曲家がいないと言っていて、少し謙虚さが必要だなと思っていたんだよ。俺もナイバルの作曲した全作品を聞いてみたいな」


ショパン「この音楽プレイヤーに全て入っているよ。ナイバルの全作品がね。データを転送してあげるから君の音楽プレイヤーを持ってきて!!」


ラフマニノフ「ショパンにはいい苦薬だったみたいだな。ナイバルのおかげでまた超えたいとワクワクをくれる目標が見つかったんだから……」


ショパン「君にはいつも大事なことを教えられてる気がす

るよ。ありがとう」

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