15「デリシャン」
海のレストラン「デリシャン」に来ていたショパンとラフマニノフ。
この店はショパンとラフマニノフの行きつけで、2人のサインが飾ってあり、超有名音楽家と会えるかもしれないという期待から、客の出入りが多くて大繁盛していた。
「ショパンとラフマニノフだ!!!」
入店した瞬間から割れんばかりの拍手喝采が飛び出した。
2人はここの料理のメニューの考案も行っている。
売り上げの一部は2人に入る。
ラフマニノフ「皆さんこんにちは。今日は超一流の食事と音楽を楽しんでいってください」
ショパン「僕たちがピアノ演奏をします」
月に3〜4回のペースで来ているこの「デリシャン」は、運が良ければショパンとラフマニノフという音楽の巨匠たちに会えるかもしれないという楽しみが客に足を運ばせる理由の一つだった。
ジンサ「今月もよく来てくれたな。お前らのおかげでオレらコックはウハウハだよ。ありがとな。海から捕りたての魚たちを使った海鮮丼でも作ろうか??」
ショパン「それを毎回楽しみにしているんだよ。ガーリックチーズピザも焼いてくれ」
ラフマニノフ「ジンサ、、お前の考えた料理より俺の考えた料理のほうが人気みたいだな。悪いな!! 音楽家の俺が格上になっちまって。天才かな俺って……」
ショパン「格上って言葉さ謙虚さのかけらもないね。確かにレシピを考案したのはラフマだけど、作っているのはジンサなんだから、そんなこと言っちゃだめ。作ってくれる人が天才だからラフマの料理は人気なんだよ」
ジンサ「ラフマ。お前の考えたレシピを改良して調理したのはオレなんだぞ?? そのまま出していたら今ほどの人気は出なかったさ。オレの功績でもあることを忘れるな」
ラフマニノフ「じゃあ、本格的に勝負するか??」
ジンサ「やめたやめた!! 勝負にならねえよ!! 俺が勝つに決まってる!!」
ラフマニノフ「俺はジンサよりもうまく料理を作れるようになったぜ!! 日頃から、料理の修行もしてきたからな!!」
ジンサ「まあ、、良いぜ!! その自信をへし折ってやるさ」
ラフマニノフ「お題はチャーハンでいく。お前の得意料理で勝負してやろう。ハンデつけてあのジンサに勝ったら大ニュースだな!!」
ショパン「僕はとにかくピアノ演奏をしてるよ」
ラフマニノフはモッツァレラチーズにしょうゆを使
ったしょうゆチーズチャーハンを作った。
一方、ジンサはあさり、エビ、イカ、ホタテなどをふんだんに使ったシーフードチャーハンだ。
オリーブオイルを使い、塩をアクセントにした。
ラフマニノフもジンサの料理を見て、いきなりオリーブ
オイルを入れだした。
そして、来ていた30人の客に2人のチャーハンを味見させた。
結果は、、なんとラフマニノフが勝利した。
投票結果は
ラフマニノフ26
ジンサ4
だった。約9割がラフマニノフに投票した。
ジンサ「何なんだ?? 本業のエリートコックのオレが音楽家が本業の奴に負けただと?? 得意のチャーハンで?? あああああ!! クソ!!」
ジンサは膝をつき、両手で床を思い切り叩いた。
「バン!!!!」
ジンサは怒りの表情で走って店を出ていった。
ショパン「あまりに不自然じゃない?? 僕はジンサの料理はもっと投票されてもよかったと思うけど??」
ラフマニノフ「当たり前だろ。俺は今日来る客はチーズが好きな客しか来ないように裏で手を回していたからな。ジンサは最近、俺達にばかりメニューを考案させるから、これを機に自分は未熟だと反省し、ジンサ自身のレシピを作る技量を上げてもらいたいんだよな」
ショパン「じゃあ、料理対決と人気投票を今日、最初からやるつもりで準備していたの?? そして、わざと自信を無くさせたの?? 自惚れているジンサに危機感と劣等感を植え付けたってことか……」
ラフマニノフ「勝負するときに敵が公平な条件でいつも勝負してくれると油断してはならないのさ。これから、世界一の海の料理人になってもらいたいから、今の内に天狗になったアイツの鼻をへし折ってやったのさ」
ショパン「公平性に欠けてでも勝つことの大事さか……相手が公平にルールを守って勝負してくれる保証はないもんね。卑怯とか言ってるのは甘いってことを言いたいんだね」
ラフマニノフ「まあ、確かに裏で手を回した俺は卑怯と言われても仕方ないが、、ジンサに勝つには仕方なかった。何が何でも勝たなくちゃならない時があるんだよ。ジンサが悔しさで更に進化したコックになってくれることを願ってやったまでだ」
ショパン「単純そうに見えて結構考えてるんだね。」
ラフマニノフ「さあ、ショパン。次はピアノ演奏で俺とお前、どっちが客を魅了させられるか勝負するぞ」
ショパン「今度は裏で手を回してないだろうね??」
ラフマニノフ「どうだかな……」
ショパン「僕はラフマを信じてるよ!!」