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Starlit 1996 - 生命の降る惑星 -  作者: 月夜野 すみれ


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第十四話

 村へ帰るとティアは畑の隅に採ってきた草を植え、葉っぱをちぎって子供達に少しずつ与えた。


 甘い草を(もら)った子供達ははしゃいでいた。

 この辺では砂糖は作らないし、果樹もないから甘いものは貴重なのだ。

 子供達を見ているティアも嬉しそうだった。


「一度に全部採っちゃダメよ。葉っぱが無くなったら枯れちゃうから。また葉っぱが出てくるように少し残しておくのよ」

 ティアは、もっともっととせがむ子供達に噛んで含めるように注意した。


 ケイはそれを見ながら、ティアは農業のアドバイスをしながらあちこちの村を回るより一つの村に住んで普通に暮らしたいのではないかと思った。


 ウィリディスに狙われながら旅をするのは決して楽ではないはずだ。

 それに一つの村に落ち着けば友達も出来るだろう。


 ティアにはケイのように人と関わってはいけない理由はないのだから。


 子供達から離れたティアはケイとラウルのところへやって来た。

 そろそろ仕事に戻る時間だ。


 ティアは子供達と遊んでないときは村人からもらった生成の服を染色していた。


 村長が報酬の一部として服をくれたのだ。

 数着ずつもらったから、これで当分着替えには困らない。


 服をもらうとティアはすぐ染色を始めた。

 染料でティアの手はところどころ紫や緑に染まっていた。


 ケイやラウルがもらった生成の服も染めると言ってきかなかった。

 どうやら染色にハマったらしい。


「俺はいい。別にこの色で困るわけじゃない」

 それに生成(きなり)なら金目のものは持ってないと思われて盗賊に襲われることもないだろう。


 別に盗賊くらい簡単に返り討ちに出来るが、しなくてもいい争いはしたくなかった。

 ミールとやり合ってるとは言ってもケイは殺人鬼ではない。

 ただ大人しく殺される気はないだけだ。


「いいじゃない、染めてもらおうよ。ティアがせっかく染めてくれるって言ってるんだから」

 ラウルが勧める。


「だったら、お前だけやってもらえ」

 ケイが素っ気なく言葉を返すと、

「そう言わずに」

 ラウルが言った。


 染めると言い張るティアと、やんわりだが強く勧めるラウルに、ケイはとうとう折れて服を渡した。


「全部、緑でいいかな。それとも茶色とか」

 ティアは戦闘を念頭に保護色になる方がいいか聞いているのだろう。

「任せる」


 迷彩色の上着があるから何色でも同じなのだが、下手に別の色にしてくれと言って派手な色に染められたらたまらないからそう答えておいた。


 ティアは楽しそうに染色を始めた。

 ケイとラウルの分が終わると村人の服まで染め始めた。

 呆れないでもなかったが、本人が楽しいならいいのだろう。


 ティアがアドバイザーとして行っている村でも布をもらうことがよくあった。

 布や服以外に謝礼になるようなものと言えば後は金くらいだからだろう。


 ティアは金も受け取った。これが仕事なのだから当然だ。


 しかし収穫もまだのうちから報酬を渡されるのだから相当信用されているらしい。

 ケイとラウルが農作業を手伝った報酬を渡されるのは収穫後だ。


 ある日、布をもらって帰ってくるとティアは、ケイとラウルにシャツを貸して欲しいと頼んできた。


「これでベストを作ろうと思って。ポケットがいっぱいついてるヤツ。便利そうでしょ」

 ティアが言った。


 ケイとラウルの服のサイズを調べるために二人のシャツを借りたいらしい。

 備蓄庫にあった既製品の服だからケイもラウルも同じサイズだが、着られればいいのだから別に問題はないだろう。


 どうやらティアはミールが着ているベストを見て思いついたらしい。

 ミールのベストにはポケットがいくつも付いており、それぞれに弾薬の予備や手榴弾などが入っている。


「お前が報酬として貰ったものだろ。自分の服でも作れ」

 ケイは、ティアが村の娘達が()いているスカートをうらやましそうに見ているのに気が付いていた。


 ティアだってスカートを()いてお洒落してみたいのだろう。

 しかし農作業にしろ森の中での植林にしろ、スカートではつとまらないからズボンしか持っていないのだ。


 スカートを作れば村にいる間、農作業が終わった後の時間に()けるだろう。


 しかしティアは、

「じゃあ、これはボディガードの報酬。それでいいでしょ。お金の方がいいならお金を出すけど」

 と言った。


「分かった。金はいい」

 ケイとラウルも収穫後に村から報酬が出ることになっている。

 元々金はほとんど使い道がないから大金はいらないのだ。


 数日後、ティアは出来上がったベストをみせてくれた。

 昼間は農作業、それが終わるとわずかな時間だが子供達と遊んでから夕食なのに、よく作れる時間があったものだ。


「お揃いで作ったの。これから染めるわね。みんな同じ色でいいわよね」

 ティアの言葉に、

「いや、全員別の色にしてくれ」

 ケイは言った。


「どうして?」

 ティアが訊ねた。

「危険だからだ」

 全員同じ形と色ではミールに見られたら連れだと一発で分かってしまう。


 ティアは不服そうだったが、それでも違う色に染色してくれた。

 ケイは深緑、ラウルは群青色、ティアは薄紅色だった。

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