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第一話 ドタバタ王子人生リスタート


ふと、ぼんやりとした意識がはっきりする。なぜだろう、何かを忘れているような…大きな事を忘れている癖にはっきりとした感覚がないモヤモヤとした感じ。



気持ちわりぃ〜…


なんとなくその感覚を物心ついた時から覚えつづけ、七歳の誕生日になり祝われて満足していつもの天蓋ベットに横になった時に頭の中で雷が落ちた様に視界がクリアになった。


俺、転生してるやんけ!!!!!!!!!

しかも妹が読んでた恋愛ラノベの世界やんけ!!!!!


落ち着け、落ち着け!まだあわてるような時間じゃない…!!

もちろんそのラノベを読んだことがあるわけがない、過保護にしすぎて「お兄、ウザイ」なんて言う妹の感想やらラノベの表紙やらを覚えている程度だ。


それなのになんでこんなに心が荒ぶってるかって?

よくぞ聞いてくれました!!!諸君!!!!


それはこの世界が『本物の聖女なのに追放されたので獣の国で幸せになります!〜追放したくせに戻ってなんかやりません〜』通称『本なり』の世界であり、俺が転生しているのは聖女を追放した側…つまりざまぁ展開を盛大に受けて散々な目にあう王族、しかも第二王子という権力があるようなないような絶妙に難しいポジションに転生してしまっているからである!!!!


やべぇ、いくらなんでもやべぇ!!!

いくら兄ちゃん満足して死んだっぽいかも〜みたいな感覚しかなくてもこれから破滅確定です、みたいな展開受け入れられる訳ないだろ〜!!!

王族らしく贅を凝らした天蓋ベットを頭を抱えながらゴロゴロ転げ回るが、状況が改善するわけじゃない…、とはいえ突破口はある!!


そう、俺は前世では妹を溺愛しウザがられながらも本の感想は聞いてきたシスコンお兄ちゃん!つまり原作知識持ち転生者なのだ!!

聖女を追放することで詰むなら追放しなければいい!!


そうなればまずは作戦会議だ!


いくら王族といえ俺は所詮七歳になったばかりの第二王子、政治に介入することは不可能だ。

確か聖女が追放されるのはこのシアローゼ王国の国王が死に、新たに兄上であるレガルド第一王子が新たな王に就任してからだったはず。

俺とレガルド兄様の年齢差は二歳程度であるのだし、まだ国王が死んで詰むまで時間に余裕はある。

原作知識の強制力に逆らえないとしても亡命の準備をして国王が死んだ時に俺も同時にシアローゼ王国からおさらばしてしまえばいいだけの話である。


天蓋ベットの上で足を組みながら必死に脳みそを捻った結果の薄情な答えに自嘲のような笑みがこぼれるが、王国と共に死にたいと思うほどの愛国心などさらさらないのだ。

王子という状況を存分に生かし、聖女に一切関与せず亡命さえしてしまえばただのモブ扱いでありざまぁ展開を受ける展開も避けられるだろう。

よし!これだな!!!

 先程まで死んでいただろう瞳を輝かせてぐちゃぐちゃになった髪すら整えずに机へと向かう。



さあ、これから亡命の準備だ!!忙しくなるぞ!!!




◇◇◇




そんな計画を立てて早十一年…、いつまで経っても国王死なないんですけど????


いくら俺が原作完全に知ってないニワカで死ぬ時期をとはいえ流石に十一年は長くないか????


いやこの期間亡命の準備やらなにやらでそのうち勝手に死ぬだろうと思っていたが、死ぬどころか国王である父上ピンピンして現役引退する気配ないんですけど?!?!

これ俺亡命する必要ある?!この長い年月なんだったの?!

いや、今はそれよりも…!


「少し久しいな、アルベルトよ。外交の学びを得るといってからは中々話す機会もなく、こうして久々にゆっくりとお前との時間を取れる事がわしは嬉しい。」

「わ、私もとても父上や兄上と話す機会が減ってしまいとても寂しく思っておりました…。しかしこれも全てはこの国を支える第2王子としての勤めゆえ、お許しください。」


今絶賛玉座の間なんだよなあぁぁー!!!!



父上死ぬし、死んだら兄上ざまぁされるから巻き込まれない為に外交勉強という名の亡命準備してました☆とか言えるわけねぇだろ!

最悪処分という名の毒杯で最期の乾杯になりかねん…!

なんとしても、なんとしてもここは上手く切り抜けて王族からの処分を切り抜けつつ、尚且つなぜ父上がまだ生きているかの確認だ。


妹からの感想だけで、その記憶だって朧気のニワカ知識ではあるが確かに国の名前や成長し原作とほぼ同じになっている兄上の容姿、その他の設定は確実に原作と同じ世界のはず。

俺が何も原作に対して手を加えていない以上本来ならば死んでいるはずの父上が生きていることは明らかにおかしい…。


可能性としてあげられるのはおよそ二つ、原作の世界そっくりな世界であるだけで運命などはなかった。つまり、他人の空似ならぬ他国の空似の可能性だ。

これならば俺が原作に手を入れていないにも関わらず父上が死なずに聖女が追放されなさそうな状況にも納得ができる。


だが、問題はもうもう一つの可能性…。



俺と同じ転生者がいる可能性だ。

悪役令嬢だの悪役王子だのに転生して、それを回避する…そんな話が沢山あったことは読まずとももう顔すら思い出せない妹が読んではきゃーきゃー黄色い悲鳴をあげていた事は覚えている。

そして兄上がこの原作における最大の悪役だろうが…、父上と長くいるからか少し丸い性格になったものの特段転生者らしき動きを目撃したことはない。


つまり、転生者は聖女が追放されたら困る重役やこの国の人間に転生している可能性が高い!

そうなってくると亡命して俺関係ありませんアデュー作戦など根元から折れているも同然!父上との会話で怪しい人物を見つけて接触する…それが今現在の最善策だ。


亡命準備が無駄になったことは痛いが、やるべき事がハッキリしたのは助かった。

大袈裟でない程度の深呼吸をして、重要人物である父上との会話に戻る。


「それで父上、時間を割いてくださったと言うことは何か私がやるべき事が起こったということではありませんか?何か、国内で異様な動きがある…などの。」

「流石幼い頃から早熟だっただけはあるな、話が早い。……現在このシアローゼ国内で良からぬ問題が広がっておる、然し関与するのが難しくてな。幼い頃から外交の勉強に時間をさき、国内に広く知られていないお前だからこそ調べられると思うての。……頼めるか?」

「…ええ、もちろんです。外交の勉強にこれまで時間を費やせたのもこの国を支えてくださっていた兄上や父上の支えがあってこそ。私が出来ることならば、なんなりと。」


ぶっちゃけ見殺しにしようとして逃げようとしてた罪悪感もあるし、一応原作知識だってあるにはある!

どんとこい!!!!父上!!!!!


「…実は聖女がの…、力を頻繁に使いすぎて生命の危機にあるのだ。」




死にそうなのそっちなのかよ!!!!!!!




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