転生お姫様、村を出る
ー、ーー!
ーー、ーー、ーー!
…………ん?なにか、聞こえる、何の声?
ず…ん、ちずさん、チズさん!
「はっ!」
「チズさん!良かった…」
「ステラちゃん…?」
「はい!ステラです!チズさん、すごく危なかったんですよ!」
「危なかった…とは?」
「もう2分遅かったら、チズさん、死んでしまっていたんですよ!」
「えマジか」
「はい!」
「あっぶね…」
「もお!ご自分のお身体を大切になさって下さい!」
「ご、ごめん…」
あ〜…社畜思考出ちゃってたか…
「ステラちゃんが治してくれたの?」
「はい!治癒魔法は得意なので!」
「そっか。ありがと」
『ぷー!』
「あ、ぷぅ」
ステラちゃんの帽子の中からぷぅが出てきた。あんた頭の上好きね…
『ぷー!ぷぷー!』
「ちょ、そんな泣かなくても…」
「スライムちゃん、ずっとチズさんのこと心配してたんですよ?」
「え、ほんと?」
『ぷ!』
「…そっかそっか。ありがとう」
『ぷ?』
「ふふ」
「あ、あの、チズさん」
「んー?」
「あのとき、どうやってばば様に勝ったんですか?」
「あ、それは〜」
「ごくり」
「剣の鞘って剣と形似てね?って思ってさー気配だけなら鞘だってわかんないかなと。で、試しに振り上げてみたらうまく行ったってわけ」
「剣で攻撃しているように見せかけて本当はやったと思った時に油断するのを狙っていたんですね!」
「うん」
「すごいです!流石チズさん!」
「いやなんもすごくはないけどね…」
「いやいや!すごいです!あんな一瞬で思いつきませんよ!」
「いやいやいや…」
「ほっほっほっ見事見事」
「あ、ばば様!」
「村長さん」
『ぷ?ぷぷー!』
「なんかぷぅがドヤ顔してる…」
「そうじゃのう。たしかにお前の主人はすごい」
「え!?ぷぅの言ってることわかるんですか!?」
「ああ…」
『ぷ?ぷー!』
「「?」」
「チズよ。これからどうする?わしに勝ったのだから歓迎しよう。だが、その後の仲間はどうする。先代勇者も仲間を集め、魔王に打ち勝ったと言われるが…」
「仲間か…ぷぅ以外もいたほうがいいかな…」
「じゃろうな」
「あ…あの!」
「ん?」
「私も旅について行っていいでしょうか!」
「え!?」
「ステラ…」
「チズさんが怪我したとき治せる人がいないと困るでしょう?」
「あ確かに…じゃあお願い」
「以外とあっさり!?」
『ぷー!』
「ほっほっ。彼も喜んでおるわ」
「そ、そうですか…」
それからチズは数日間魔女の村で過ごし、戦いでの怪我を癒した。そして村を出る日になった。
「ステラちゃん、本当に行っちまうのかい?」
「はい!私、チズさんと旅をして、必ず魔女と人間の架け橋になります!それが密かな夢だったんです…!」
「いいじゃん!じゃあ魔王を倒したら私はその手伝いをするよ!」
「っ…はい!」
ステラは輝く様な笑顔で、村を出た。