転生お姫様、聖剣を抜いてしまう。
面白いと思います!(多分)
やあやあこんにちは。社畜ブラック企業社員、原宮千鶴です。出社すれば徹夜で残業、家につけば風呂など一分で終わらせ、飯など食べずに寝る…そんな疲れと残業に終われる毎日だった私は……死んだ!
やったー!ブラック企業からついに逃げられたぜ!!正直会社から逃げれるならたとえ死んだってよかった。ちなみに何死かというと過労死だ!まあ当然か…はーっはっはっはっ!ざまあみろあのクソ企業め!一人しかいない従順な社員を失って潰れるがいい!!
なんて思ってたらなんか神様的なのに会いまして。
「大丈夫?キミ?」
「大丈夫じゃないですよ!なんですかこの人生は!!学校入ればいじめられ、会社入ったらとんだブラック企業!でもやっと出られた!天国どこ!?」
「ちょちょい落ち着けい!そもそも天国も地獄もないのよ空には」
「ないの!?」
「ない。勝手にお前ら人間が思ってるだけ。生き物みんな死んだら転生すんのよ」
「ふーん。私は何に転生すんの?」
「キミの人生苦し過ぎるから今回は楽しい人生にしてあげるね〜」
「えマジかヨッシャー!」
「んじゃとりま転生さすから目瞑って」
「はいはーい」
辺りは眩しい光に包まれた…
〜〜〜〜〜
「ん…」
「おお、かわいいかわいいわたしの姫よ」
「んぁ?」
「母様はここにおりますよ」
目の前には、貴族っぽい服装をした優しそうな男性と女性がいた。
「う?」
よくわからなくてこてんと首を傾げると、
「「ああ〜!私達のかわいい姫や〜!」」
すっっっごい頬擦りされた………
よくわからないが、なんかすごくこの二人に溺愛されている気がする…なるほど、どっかの国の王女様に転生させてくれたのね。しかもかなり平和そうな。サンキュー神ぃ!!私はここで面白可笑しく、そして楽しく一国のお姫様としてしたいことをして暮らすわ!
それから私はとにかく王女ライフを満喫した。ちなみに今世での名前はチズ・ラカルシス。記憶があるのは少し不思議だったが、まあ、記憶があった方がやりたいこと、やってみたかったことぜーんぶできるからすっごい楽しい!そんなこんなで私ももう16。まあ、中身はまだアラサーのまんまなんだけどね…
そしてここでこの国に大変なことが起きてしまった!そう、RPGとかによくあるモンスターと魔王の襲来だ!そしてこの国には毎度おなじみ国に伝わる予言とやらがあり、それが街の真ん中に刺さってる聖剣を抜くことができる勇者が魔王を倒して世界を救う、という完全にRPGあるあるな展開になってきた。そこで私はふと心配になった。これ、姫が連れ去られる系じゃないよね?と。そう。RPGゲームに必ずと言っていいほどいるのがお姫様。まあそれは私。で、お姫様には二つのパターンがある(私の知る限りでは。)
一つ目、魔王に人質として連れ去られる。
二つ目、王様が、魔王をやっつけた勇者に姫をやる、と宣言して姫はお城で勇者を心配しながら待つパターン。
の二つ。正直私は二つ目のパターンがいい。よくわからん勇者と結婚することになっても魔王に人質にされるよかマシだ。
「聖剣を抜き、魔王を倒した勇者には多額の賞金を与える!」
……あれ微妙にちげーな。いやいやつかどうすんだよお父様!!もし勇者が姫くれなきゃ魔王倒しに行かないとか言い出したら!いやそんな勇者嫌だけど!
「父様!?」
「どうしたんだい?かわいいチズ姫や」
「いやどうしたではなくて!賞金くらいで勇者は魔王を倒してくれるの!?」
「一度はお前を勇者に娶らせようとも考えたが…やっぱりわしと母様の愛の結晶、わしらのかわいいかわいいチズ姫がわしらの下からいなくなるなんて嫌だったんだよお!耐えられないよ?わしも、母様も!」
「ホント親バカね父様も母様も!」
「だってえ…」
「も〜…」
はあ、とため息をつき、父から離れる。まさかこんなことになるとは…まあ愛されてる証拠かな?
〜〜〜〜〜
とまあ、そんなこんなで私は今街に来ている。この国の町並みはとても綺麗で、私も大好きだ。人々もみんな優しいし。はあ…なんていい世界…と、思っていたのが半年前。モンスターにめちゃくちゃにされてるし建物崩れてるし、何より勇者来ない!!なんなん!?父様が宣言してから半年、結局聖剣抜く人さえ現れないんだけど!!どうすればいいのよ!!
………………………………………
こうなったら私が聖剣抜いてみちゃおっかな…いやいや…でもまあどうせ抜けないわけだし…なんて考えていたら聖剣は目の前。
「よし、物は試し!抜けたらそんときゃそんときよ!」
ぐっと少し力を入れて聖剣を上へ上げてみると…
すぽっ
「へあ?」
「………………………どうしよ、抜けちゃった」
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「ていやいや!えええええええええええええええええええええええええ!!!?」
私原宮千鶴改め、チズ・ラカルシス。王国の姫兼、勇者だったみたいです。
読んでくださってありがとうございました!