対面
ボクの学校で奇妙な出来事が起きる様になった。窓際に立ち少年、グラウンドを走る少女、幽霊。その発端は担任の先生にある。ボクは思い出そうとしていた。お待たせと言って彼女が教室に入って来た。
ボクは率直に語りかけた。キミが全ての始まりなんだね。彼女は驚く様子もなく、そうとだけ答えた。彼女は続けた。担任の先生と出来たのは私。私が先生を好きになった。気付くと関係が出来てたの。でもそんな事誰にも言えない。困った私は、魔法を使って世界を変えた。
学校って社会から閉ざされている。その中に更に閉じた空間を作ってみんなの記憶を 閉 じ 込 め た。不思議な体験をする記憶を。この空間に入った人は無意識に記憶が操作される。私の先祖はそういう魔法とか、その血筋だったみたい。
先生は?と聞くと、先生は他の学校で教師を続けているわ。元と言えば、私が先生を好きになった事が始まりだったから。彼女は素っ気なく言った。でもあなた、よく私の魔法から抜け出せたわね。あなたもその血筋なのかしら?
ボクはさぁ?とだけ答えた。結局、誰も傷ついてないのだから、ただ私の魔法で記憶が閉ざされているだけだから問題ないと彼女は言った。でもあなたの記憶は消させてもらうわねとも。ボクをどうする気なの?というと、彼女は答えた。どうもしないわ、だって、
a. あなたは私の息子なんだから。ここはあなたのお母さんの過去のメモリーに在る空間、異世界。
b. あなたはもう死んでいるのだから、元の世界に帰してあげる。もう二度と迷い出る事がないようにね。
ボクの姿は徐々に消えていった。これで気兼ねなくグラウンドを走れるわ。バイバイ!と口に出し彼女は教室を出て行った。