表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
閉ざされた学校の記憶  作者: 成実 恵梨
1/5

グラウンドを走る少女

 教室の窓から外を眺めると一人の女の子がグラウンドを走っていた。彼女を見かけたのはこれで何度目だろう?いつも彼女はグラウンドを走っている。恐らく彼女は陸上部だろう。大会でも近いのか毎日走るなんて凄いと思っていた。他の部活仲間はいなくて彼女一人だけだった。


 ある日、クラスメートに彼女の事を話してみた。しかし、クラスメートたちは誰も彼女を知らないという。呆気に取られて、「何言ってんの?だって毎日グラウンドを走ってる女の人いるじゃん!」と訴えたが知らないとアッサリ返された。みんなしてボクをからかっているのだと思った。


 家でお母さんにこの事を話した。すると「それはおかしい話だわ」と同意してくれた。ボクは「でしょ?みんなしてボクをからかってるんだよ」と不満を漏らした。お母さんは学生時代によく一人でグランウドを走っていたという。だから彼女の気持ちが理解出来るらしい。お母さんは彼女に懐かしさを覚えた様だった。後日、ボクはクラスメートにこの話をした。するとみんな顔を下に向けて悲しい顔をした。「みんなしてボクをからかっているの?」と真剣に不満をぶつけてみた。すると、


a. クラスメートの一人が答えた。そのグラウンドで走っている陸上部の人は部活中に熱中症で倒れて亡くなったんだよ。


b. クラスメートの一人が言った。「お前からかってるのか?お前のお母さん、去年交通事故で亡くなったじゃん」


 ボクは魂が抜ける脱力感を隠せなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ