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139. 謁見と再会

「ジン、ちょっと弾薬工場に行ってくる」


「ニケ、何を言っているんだ。もう明日には出発だぞ?」


「だからだよ。型をもらって来ようと思ってるんだ。最悪、ノーラの弾薬が尽きれば、その型と火焔石と弾丸さえあれば、薬莢が作れるからね。ここでやっているみたいな大型の一度に二十発もつくれるような型ではなくて、旧型の一回に一発しか作れないもういらなくなった型があると思うんだよね」


「しかしな、ニケ、その型を持っていくのは構わないが、火焔石も弾丸も持っていけないぞ?」


「それは分かっている。でもノーラが持っていけるはせいぜい二〇〇発ぐらいでしょ? もしそれが全部なくなったら、一日五発でも十発でも私が作れれば、弾薬の消費をあまり考えなくても済むんじゃない?」


「鉛はどうする? 弾が出来なければ、弾薬にはならんぞ」


「弾は殺した魔物からだって回収できるからね。矢が弾薬に比べて尽き(にく)いのは魔物や獲物を倒した後、矢は回収できるからね。でも、鉄砲の弾だとちょっとグロいことにはなるけど、回収できない訳じゃないから。それに……」


「それに、なんだ?」


「それに、帝国でそんなに激しい戦いになっているなら、多分、鉄砲の弾はそこら中に転がっていると思うよ。ニラの木の樹液は現地でも調達できるだろうし、火焔石は小さいのはこうやってポーチにいつも入れてあるから」


「確かにな。さすがはニケだ。……みんな、そんなわけだ。そろそろ出発の準備を始めよう」



 ◇



 そうして、オーサークをパーネルに向けて立つ日が来た。

 所用を済ませたシュッヒ伯爵も東門まで見送りに来てくれた。


「ジン殿、皆を頼みます」

「リア、エノク、無事に帰って来るんだよ」


 当然クオン一家も見送りに来ている。まだ小さいトマを腕に抱きながら、シアが涙を目にためている。横に立つクオンは無言だが目に涙が浮かんでいる。


「母さん、父さん、オーサークに帰ってくる度に泣かれたら、帰ってきにくくなっちゃうじゃない」


 リアも笑いながらそう言うが、目が赤い。


 ツツは突然後脚で立ち上がって、前脚をシアがトマを抱く腕にかけると、トマの顔を大きくひと舐めした。


「きひひ、ツツ、こしょばいよ」


 トマももう泣かない。何度別れてもツツとジンは帰ってきてくれている。また会える日を信じているのだ。


 結局オーサークには四日滞在した。これ以上長くここにいると、帝国を旅するときには真冬になってしまう。それはさすがにまずかった。もう一週間もすると、ゲトバールが氷に閉ざされて、パーネルからの帝国への船が出港しなくなってしまうからだ。


 そんな事情もあってオーサークは新たに製造したものではなく、手持ちの鉄砲・弾薬まで急遽ゲトバールに輸出することになった。その数、五千丁と弾薬百万発。オーサークも魔物が襲来しなくなって一月以上が経っている。鉄砲と弾薬はだぶつき気味だった。その船にジンたちは乗せてもらうことになっていた。


 インゴは一行とともにパーネルまで同道することになった。ジンたちもパーネルに着いた後、公王の謁見を受けることになっていた。インゴがそう段取った、というより仕組んだ。それが絶対に必須のこととこの老貴族は感じたからだ。


「儂も公王陛下に話すことが出来たのでな。ちょっとパーネルまで行ってくるが、シュッヒ伯爵、もし、魔物襲来があればすぐにライナス殿をパーネルに(よこ)してほしい。儂も飛んで戻る」


 もちろん、インゴはライナスと違って飛べない。あくまで比喩だ。


「わかりました。セイラン様。公王陛下に良しなにお伝えください。ジン殿、オーサークは今は安全ですが、常に対魔物戦の最前線です。オーサークをお願いします」


「ああ、では行ってくる」

「伯爵、かしこまりました」

「お世話になりました」

「母さん、父さん、トマ、元気でね」

「おじさん、おばさん、それにトマ。必ず帰ってくるからね」


 それぞれが別れの言葉を告げた。

 門の衛兵がそのタイミングを見計らっていた。


「かいもーーーん!」



 ◇



 朝出れば、夕方には着く距離だ。パーネルまでの道中はなんら問題がなかったが、パーネルに着いた一行は落ち着く間もなく、公王の謁見に臨まなければならなかった。


「ジン、ノーラ殿、それに皆、すまないが、あまり悠長にもしてられない。今年は帝国はかなり寒いらしく、もう明日か明後日にはゲトバールに向けて出港しないと、向こうに着いた船が帰ってこれないことにもなりかねないらしい」


「インゴさん、大丈夫です。それより、公王陛下はこんなあわただしい謁見でも大丈夫なのでしょうか」


「いや、さっきの門番から陛下からの御命令で到着次第すぐに謁見に臨むようにと伝えられた。陛下御自身が心配しておられるのだ」


 ジンは驚かざるを得ない。公王自身がジンたちの動きを把握していて、悠長にしていればゲトバールに着けなくなる可能性を鑑みた上で、今宵の謁見を決めたようだった。



 ◇



「ジン、久しいのう」


「はっ、陛下!」


「ははは、そう硬くなるな。余に皆を紹介せよ」


「はい。ここにあるのは、ノーラ・アンドレア・ラオ男爵……いえ、男爵位はこの旅に当たって御父上に返上いたしましたので、ノーラ・アンドレア・ラオです。それにこれは……」


「ニケ、であろう」


 ニケは驚いた。公王ともあろう人が、自分のことをおぼえていたなんて。しかし、それは当たり前のことと言えた。ニケは有名人だ。触媒液の秘密を一手に握り、それをインゴを信頼して、彼にだけ開示したのだ。そんなことを知らない公王フィルポット一世ではなかった。


「ニケ、ありがとう。そなたはスカリオンの英雄だ」


 ニケの驚きは増すばかりだ。


「へ、へいか、もったいないです!」


「いいや、ニケ、部屋に閉じこもって長い間、触媒液を昼夜を問わず作っていたそなたの苦労、王として知っていて当たり前だ。よくやった」


「あ、ありがとうございます」


 ニケは別に公王のためにやっていたわけではなかった。あの時は、ただ、ジンと一緒にファルハナに向かいたかったのだ。それでもこれほどまでに王に感謝されているとは思いもしなかった。


「うむ。そして、ノーラ殿。ついに会えたな」


「はい、陛下」


「お父様は元気か?」


「はい。親孝行できずに、男爵位を返上したことで、ファルハナで、また、仕事に邁進しております」


「あ奴には仕事をさせておいた方がいい。あんな優秀な男が、隠居などと、許せぬ。ファルハナがダメになればいつだってここパーネルで余が待っておると伝えてほしい……とは、いかんか。そなたらは帝国に向かうのだったな」


「はい。帝国は通り道にございます。帝国を通って、アスカに向かいます」


「そうか。して、そこの老騎士殿は?」


「はい。父の代からラオ家に仕えております、ナッシュマンと申します」


「おお、ナッシュマン殿だな。ガネッシュより聞いておるぞ。頑固者だ、と」


「! なんと! 陛下、私は決してそのような」


「いや、いいではないか。ガネッシュも褒めたいところをそう謙遜しておったのだ」


「は、はあ、もったいなきお言葉、誠にありがとうございます」


「うむ。して、そこの少年、少女たち、名乗れ」


「はい! エノクにございます!」

「マルティナです」

「リアと申します!」


「うむ。いい面構えだ。お前たちはいつだってオーサークに帰ってこればよい。お前たちはすでにオーサークの臣民なのだろう?」


「「はい! 陛下!」」


 リアとエノクはすぐに即答したが、マルティナはしない。


「ん? そこの魔導士。そなたは違うのか?」


「私は、ジンを、ジンの使命を助けたい、それだけです。なので、忠誠とか臣民とかはあんまり今は要らない感じです」


「はははは! 気分の悪い奴だ。だが、ジンには必要な娘だな。ああ、それでいい」


 この謁見では本題であるはずの、この遠征の理由や魔物の状況などを、まるで公王は訊いてこない。これではただの挨拶だ。


「……陛下。何もお訊きにならないのですね」


 ジンは思わずそう口にした。


「なんだ、ジン、余に根掘り葉掘り聞いてほしいのか?」


「……陛下、私は陛下に不義理をしてしまっていると、気に病んでおります。オーサークは今は安全になったとはいえ、依然対魔物戦の最前線です。そこで尽力せずにアスカに向かう……」


 公王はジンのくどいまでのセリフを遮った。


「ジン、お前は意外に面倒くさい奴だな。ぐちぐちとそんなことを悩んでおったのか? よいか、聞け。余だけではない。コルテもマウリースも、それにインゴがその最たるものだが、皆お前に期待しておるのだぞ?」


「痛み入ります」


「痛み入っている場合ではない! お前は自分がなすべきことを掲げて、アスカに向かうのだ。それはイスタニア全土の民の為、ひいてはこのスカリオンの為ではないか! ……のう、そうであろう? 大見得を切って行け。行って、そして、帰ってきてほしい。スカリオンにはお前が必要だ。余への忠誠などいらん。お前が勇者として、ここが家だ、と言って帰ってきてくれる。それだけで余は満足なのじゃ」


 ジンはただ無言で首を垂れた。普段多弁なインゴもこの謁見では終始黙ってジン一行と公王の会話をただ聞いていた。



 ◇



 出発の朝が来た。結局、公王のはからいもあって、パーネルでは港にほど近い王城で一泊できたので、時間のロスは全くなかった。公王に暇を告げてから、インゴにも出発の挨拶をした。さすがに寒すぎる港には彼らも送りには来なかった。


 代わりに別の人々が港で彼らを待っていた。


「「ジンさーーん!」」

「「ジーーーン!」」

「ジンどのーーー!」


 懐かしい顔――カルデナスとチャゴ、それにファウラーと弓使い姉妹ロッティとスィニードだった。


「カルデナス殿! チャゴ! それにファウラー殿たち、なんでお主たちがいるんだ」


「いや、ジン殿、これはない」


「ん? ファウラー殿、どうしたというんだ?」


「先日も俺たちを置いてファルハナに行ってしまった。気が付いたらジン殿たちは軍から離れているんだから、俺たちは付いて行きようがなかった」


「ああ、お主たちは軍と共にいたからな」


「俺たちは軍人じゃない! 冒険者だ!」


 ジンはここでやっと彼らの主張が見えてきた。


「なんだ、ファウラー殿は俺と来たたかったのか」


「言い方がむかつきます」


「いや、すまんすまん」


 突然カルデナスが会話に割って入った。


「ていうか、ジンさん、俺も今回は一緒に行きますよ」


 チャゴもカルデナスに続く。


「うん。俺も薬莢づくりはもう飽きたし、人間の街も十分に見た。いったんはアスカに帰ろうと思うんだ」


 寒風吹きすさぶ港で会話が長くなってくると、ノーラやリア、それにエノクが体を上下に揺さぶり始めた。体を動かしていないと凍え死にそうなのだ。ナッシュマンなどは露骨に機嫌が悪くなってきた。マルティナに至ってはツツにしがみついて暖を取っている。


「おい、いい加減にせぬか。お嬢様や皆が凍え死んでしまう」


 たまらず、ナッシュマンが怒鳴った。


「たしかにこれはちょっと厳しいですね」


 ジンもそう応じざるを得なかった。


「ジンさん、船が出るまでしばらく時間があります。すぐそこに船員事務所の建物がありますから、入っていましょう」


 カルデナスが助け舟を出してくれた。皆がその中に入った。その船員事務所という場所も、決して過ごしやすいところともいえないが、外に突っ立っているよりはかなりましだ。


「カルデナス殿、海軍に入ったと聞いていたが?」


 ジンはその点に突っ込まざるを得ない。


「ええ、海兵をしばらくやっていましたよ。けど、パーネル沖会戦ってわかります? あれでつくづく嫌んなりました。戦争で死ぬほどバカバカしいものはない。と思っていたところにジンさんの計画を聞いたんですよ」


「誰から?」


「インゴさんですよ」


「口の軽い爺さんだ」


「ははは。でも、それなら、いや、それこそ俺の仕事だって思ったんですよ。メドゥリンからアスカへの航海なんて、俺の知っている船乗りの誰も経験したことのないものですからね。俺がやらんで誰がやる、って話ですよ」


「ん? いや、カルデナス殿、話が良く見えん。なんでお主が船を操る話になっておるのだ? メドゥリンに行けばチャーター船などを雇うつもりだったのだが」


「あーーー、ジンさん、マジで情報ちゃんと集めてませんね。メドゥリンってただの寒村ですよ。一応中型船が止められる波止場があるってだけですから。アスカへの北航路なんて、夏の一瞬しか使えない航路ですし、アスカと行き来するまともな船乗りはみんな南のダロスにいたのはそう言う理由からですよ。現地で船を買えても、動かす人がいないと、アスカになんて渡れませんよ」


「……そ、そうなのか!?」


「船乗りの常識です。ちょっと考えればわかるんですけどね。夏の短い間だけの仕事のために船乗りがあんな遥か北の街に住むと思います?」


「まあ、たしかにそうだな」


「てなわけで、手伝いますよ。ジンさん」


「かたじけない!!」


 ジンはただただ礼を言うしかなかった。


「俺だってそうさ。ジン殿、魔物ひしめく帝国に前衛はジン殿一人……いや、騎士様もいるのか、それでも二人で行くつもりだったのか?」


「俺にはカマイタチがあるし、ナッシュマン殿は無双だからな」


「ああ、その技は俺も聞いたが、さすがに前衛二人で後は非戦闘員と後衛だけとか無理があるだろう? それにロッティとスィニードがいれば、この子たちの成長も見込めるぞ」


 ファウラーはリアとエノクを見ながらそう言った。


「確かにな。うん、ファウラー殿、恩に着る」


「それで、報酬だがな……」


「な、なに! 報酬が要るのか!?」


「ジン殿、何を言っているんだ。俺たちは冒険者だぞ。冒険者を雇うんだから報酬が要るに決まっているだろう」


「そういうものなのか?」


「ああ、そういうものだ」


「で、いくら出せばいい?」


「うん。しかし、俺たちも考えた。結論はこうだ。意外に聞こえるかもしれんが、俺たちは金に困っていない。だから報酬はガーゴイルなどの伝説上の魔物を倒したら、その遺骸でいい」


「そんなものでいいのか?」


「ああ、やっぱり、ジン殿は良く分かっていないんだな。伝説上の魔物の遺骸だぞ。……まあ、いいや、とにかく、それは貰ってもいいのか」


「ああ、好きにしてくれればいい」


「よし、ディールだ」



 ◇



 すでに南風が吹く春や夏ではない。

 鉄砲と弾薬を満載した船の進みは遅い。北風に向かって、蛇行しながら進んで行くしかない。


 ジンたち一行、十二人と一匹――ジン、ニケ、ノーラ、マルティナ、ナッシュマン、リア、エノク、そしてツツ、それに新たに一行に加わったカルデナス、チャゴ、ファウラー、ロッティ、スィニードはすることもなく、貨物船の決して居心地のいいとは言えない、暗い船室に閉じこもっていた。甲板には防寒具で着ぶくれした船員たちが必死になって船を操っている。そんな彼らの邪魔にはなりたくないし、それに何と言っても寒すぎるのだ。


 南風が吹く季節になら一週間で行けるゲトバールにもその倍の日数がかかってしまう。すでにパーネルを出て十日。あと数日も進めばゲトバールが見えてくるはずだった。


「なあ、マルティナ、簡単な炎の魔法とか使えないのか?」


 突然ジンが言い始めた。


「使えないよ。それに使えても使わないよ。こんな弾薬を満載した船で。ジン、時々馬鹿なことを言うよね」


 マルティナの言葉は冷静、かつ、手厳しい。


「寒くて仕方がない。俺はな、北国出身で寒いのには慣れているつもりだった。しかし、これは、予想外の寒さだ」


「ふん、ジン、お前は鍛錬が足りん」


 ナッシュマンが指摘した。


「ツツ、こっちにおいで」


 ナッシュマンには返事をせずに、ツツで暖を取ろうとするジンだったが、ツツはとっくにニケ、チャゴ、リアに占有されていた。ツツも一瞬この場を逃れて、ジンのところに行こうとするが、ニケたちはそんなツツを放さない。


「ん? なになに?」


 耳の良いニケが突然そう言ったと思ったら、寄りかかるニケ、チャゴ、それにリアを軽く跳ね飛ばして、突然ツツが耳を立てて立ち上がった。


 船員の一人がどかどかとジンたちのいる船室に入って来た。


「ワイバーンです! ワイバーンに襲われています!」



 ◇



「カルデナス殿、ニケとチャゴを頼む!」


 ジンはそう言うと、戦闘できる者たちを引き連れて、甲板に上がって行った。  

 まだ遅い時刻ではないと思うが、すでに薄暮。その曇天の空から雪が舞い降りている。いや、舞い降りているというような生易しさではない。横殴りに降っている。


 そんな空の高いところにワイバーンらしき影が三つ、見えた。と思ったら、内、一匹が降下を始めた。もし、帆が破られれば、大変な事態に陥ってしまう。


「ノーラ、当たらなくてもいい、撃てるだけ撃ってくれ! ロッティたち、弓ではワイバーンに対してはどうにもならない。帝国に卸す鉄砲を持ってきて、それを使ってくれ!」


「「「「わかった!」」」」


 ノーラは早速射撃を始めたが、もちろん高速に飛翔するワイバーンには当たるはずもない。帆の高さは十ミノルほどもある。その手前に迫るワイバーンをカマイタチで葬るとして、二十ミノル先の敵を斬れるか、と考えていた。


 北部大森林から迫る魔物たちを倒した際にはせいぜい十ミノル先が限界だった。急に二十ミノル先の敵が倒せるとは思えない。しかし、帆をやられた後では、ワイバーンを倒してもあまり意味がないのだ。ワイバーンが帆に届く前に倒してしまわなければならないのだ。


(くそ! やれるのか!?)


 ジンは毒づいた。自信はないがやるしかないのだ。


 バン!


 ノーラがまた発砲した。当たらない。ワイバーンは翼を縮めて、急降下を始めた。


 ジンは会津兼定を鞘から抜いた。横殴りの雪がジンの頬を濡らす。寒さはもう感じない。


 ちょうど、その時、ロッティ、スィニード、リア、エノクの四人が鉄砲をもって甲板に上がって来た。


 ジンは一瞬彼らの存在を認めたが、あくまで、視線の先には急降下中のワイバーンがいる。


「カマイタチ!!」


 ジンはその恥ずかしい技の名前を叫ぶと、会津兼定を上空に向かって一閃した。


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