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月影映る・海  作者: 林伯林
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 「南方諸島はここ。土地面積は合わせるとキシュキナの約五倍程度」


 ルーが浮かべたホログラムの地図はオウナ大陸を中心にしていた。

 光の指示棒が指し示したのは、その南方、キシュキナ程南ではないが、地球の感覚で言うと沖縄から多少南下した辺りか。

 フィリピンに近いか?


 オウナもまた魔力変動で大陸の半分が失われているが、南方諸島はその失われた半分の名残りらしい。

 大陸との間には、いくつか島も点在するが、海は魔物の住処であり、大陸とは断絶されている。


 静音は魔導衛星の魔力蛍から視力を持ってズームした。


 その映像が映し出される。


 豊かな畑が広がっていた。

 中心と思しき島の街はにぎやかに市が立っていた。

 色とりどりの果物や、香辛料、海産物などが並んでいる。


 「意外と人口多いのね」


 島と島の間は、船が頻繁に行きかっている。

 それを見てルーが「おや」と呟いた。


 「あれは昔我々が使っていた近距離高速船によく似ている」


 「未だに残っているって事?」


 「いや、流石にそれはないと思う。第一、南方諸島は当時大陸の一部で船が必要な土地ではなかった筈だ」


 「ふうん」


 では必要な技術を手に入れたという事だろう。


 「精霊のおかげか魔導士が傑物なのか。両方なのかな」


 大きな島は二つあり、その間は比較的狭い海峡であった為か幾つか橋が架けられていた。

 魔力で補強されている。


 「あれって、昔あったっていう魔法の橋に似てる?」


 ルーは額の石に触れて考え込むような顔をした。


 「全く同じではないが、似てはいる」


 「どこかに技術が残っていたのか、噂の魔導士が一から構築したのか」


 静音は興味深げに眺める。


 月神に誘われた時は、正直気が進まなかったが、見ていると面白い場所ではあった。


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