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「呪いって、誰の、何の?」
少し驚いてリルに問う。
リルは無邪気に笑ってくるりと宙に円を描いた。
「神の呪い」
「別名、神の恩寵とも言う」
にっこり笑うリル。
「彼に関しては、見たままで言うと、血筋に色々あるようね。剣士と同じじゃないかな」
渡り人の血を受けているという事か?
「剣士に比べるとだいぶ血は薄いみたいだけど、先祖にほどこされた制約の魔法がずっと受け継がれた一族の直系」
「想像するに、剣士の方の親は、制約の魔法が施される前に逃げたんだと思うわ」
本当に神が呪ったというわけではなく、アルトナミ王家や神殿に伝わる制約の魔法をそう呼ぶとの事だった。
何となくほっとして静音は息をついたが、意味ありげに見上げるリルに顔をしかめた。
「血に受け継がれる程の制約魔法なんて、そうそう人間に操れるわけないでしょ」
またそういう話か、と溜息をつく。
「そもそも神の恩寵なんて命名するのよ。最初はそういった存在にもたらされた魔法で間違いないわよ」
「何故またそんな魔法を、アルトナミ王家なんかに授けたの?」
「当時は授けるに値する家だったんじゃないかしら。まあろくでもない魔法だけど」
アルトナミ王家が望んだのは絶対の信頼がおける臣下だったという。
「いや……それでその魔法はないでしょうよ」
「まあねえ。神の所業とも思えないわよね。実際、神じゃなかったわけだけど」
ふふふ、とリルは笑った。
「神じゃなければ、精霊?」
リルは肩をすくめた。
「私たちの契約者に対する愛は判っているでしょう?」
つまり、そういうことらしい。
寒いっすね……
急に暑くなったり寒くなったり、身体が追い付かんですよ。




