やっぱりあいつは焼き鳥に
クラリスが鼻歌を口ずさみながら「ハサミ、ハサミっと」と気を取られているすきに、ぴーは、赤くなっていた俺達にむかって、声高にさえずる。
「エロトリオォォォ」
ドンッと机を叩いたり「あのさー」と無駄に大声を出したりと、慌てて、ぴーのさえずりを打ち消す俺達。
クラリスがいる時にエロって言うなぁぁ。
3人で同時に憎々しげな視線をぴーに投げつけたが、ぴーは勝ち誇った目をする。
鳥なのに!
だ。
「はい。ぴーちゃん」
「ワーイ、クラリストオソロイーー! ボク、クラリスト、ナカヨシーー」
カットしてもらったオレンジのリボンをくちばしに咥え、嬉しそうに部屋中をパタパタ飛び回っていた。
はしゃぐなっ! ちくしょー、鳥にヤキモチなんて、我ながら情けないが……ちくしょー
一通りはしゃぎ終わったぴーは、クラリスの肩にとまり、喜々とした声で爆弾発言を投下する。
「クラリスガ、マンガイチ、ケッコンシテモ、ボクハ、ツイテイクノォ」
「ぶふぉっ」
俺はイライラを抑える為、お茶を1杯飲もうとカップに口をつけた瞬間のぴーのさえずりに思わず、お茶を噴き出しそうになる。
は? なに言ってるんだよ?
ついてくるなっっ!
それにクラリスとの結婚は、万が一じゃなく、決定事項だ!
ぴーの言葉に賛成なのか、横からパチパチパチとミカエルとジェスターが拍手をしていた。
こっのぉ、裏切り者!
「ズットイッショー! マイニチ、イッショニネテネ、クラリスヲ、ワルイヤツカラマモルノォォ」
ぴーは高らかとさえずると、俺と目を合わせフッと笑う。何度も言うが、鳥なのに! だ。
「まぁ、嬉しいわ。ぴーちゃんは立派な騎士ね」
「ウン、ボク、クラリスノ、ナイト」
はぁぁぁぁぁ!?
いやいやいや、クラリス、微笑ましく話してるけど……俺と結婚してから、四六時中、ぴーが一緒って…………よ、夜も……だぞ?
だいたい、あいつが言う悪い奴って、俺……だよな。きっと……たぶん……間違いなく。
ミカエルとジェスターの拍手喝采が聞こえるが、もう俺には、なにか言う気力も残ってない。
本当に勘弁してくれ……
俺の結婚生活に暗雲が垂れ込める。
ぴーがいるとまともな結婚生活が送れない事がよぉぉくわかった。
これは由々しき大問題。
やっぱりあいつは焼き鳥にせねばっ!!
お読みいただきありがとうございます。
ぴーの方が一枚上手で、焼き鳥にするのは無理だと思います。たぶん。