人の話はちゃんと聞こう
「でも……ぴーちゃんが……」
それでも、ぴーの話をやめようとしないクラリスに、俺は眉をひそめた。
あんなにはっきり言ったのに……鈍感すぎ。
「クラリス、ぴーの事は考え…………ぶほっ」
何かが頬にすごい勢いでぶつかってきた衝撃で、軽く吹っ飛ばされ、クラリスを抱きしめていた腕が離れる。
……えっ? えっ? 今、何があった!?
自分の身に何が起こったのか、皆目見当もつかず、呆然としながら、痛みがある頬を撫でる俺。
「ア、アルベルト様!? ぴーちゃん、どうしたの!?」
「クラリスガ、ヘンナオトコニ、イジメラレテルトオモッタノ」
ぴーがクラリスの肩にとまり、しゃあしゃあとさえずる。
あの衝撃はぴーが突撃してきたものだったのか……と、クラリスとぴーの会話で状況を把握し、俺は立ち上がりながら、ぴーを睨みつける。
お~ま~え~な~
嘘つけっ!
俺の部屋に変な男がいるわけ無いだろっ!
これでも、俺は一国の王子。
そうやすやすと不審者が入ってきてたまるかぁぁぁ!!
俺は心の中で毒づいた後、少し冷静になると、先程、自分が口にした台詞が脳裏に浮かび、顔から火が出るほどの羞恥心に襲われた。
クラリスがぴーの話をしだしたのは、俺の死角でぴーが突撃態勢にはいっていたからなのに……あんな独占欲の塊みたいなことを言って……俺、めちゃくちゃ恥ずかしい奴じゃない……?
本当に穴があったら入りたい……今なら、落とし穴でもいい……
お読みいただきありがとうございます。
ほっぺたに突撃……主人公、かわいそうです。