俺は毎日ダンジョンに挑む
耳の奥でキーンと聞こえてきそうなほどの寒さの中、俺は側近のナクサスに叩き起こされ、モゾモゾとベッドから出る。まだ空に太陽は顔を出しておらず、本当なら寝ていたい時間である。
ああ、ベッドが恋しい……
早く起きるのも冬は辛いな。
そんなことを考えながら、朝食を口に詰め込み、スピネル学園に行く準備をする。
何事もなければ、自室から40分もあれば、俺は学園に着く。
何事もなければ……な。
只今の時間、学園始業、3時間前。
東の空の朝焼けを眺めながら、俺は気合を入れる為に声を張る。
「よし!」
そして、俺の部屋の扉は開かれる……
「王子、シールドは張りましたか?」
「おっと……そうだな」
ナクサスに言われ、俺は魔法で全身にシールドを張った。全身シールドは魔力の消費が激しいから、あまり使いたくないが、背に腹はかえられない。
「いってらっしゃいませ」
ナクサスを筆頭に使用人達が一斉に頭を下げ、俺を心配そうな眼差しで見送る。
たかが学園に行くのに、なんでこんなに仰々しく見送られているのか……
それは、我が王宮が……
ダンジョンと化したからだぁぁぁぁ!(注……俺のみ)