人見知りでも気持ちを伝えたい
「今日ゲーセン行かね?」
「行こーぜー」
これはクラスの男子の会話だ。俺、奈良場煌大は生まれてから1度も遊びに誘われたことがない。いわゆる’’ぼっち’’だ。そして高校でもそのはずだった。彼女が現れるまでは。
「ねぇこーだい!今日の放課後空いてる〜?駅前にめっちゃ美味しいパンケーキ屋さんできたらしいんだけど食べに行かない!?もちろん2人で!」
こんな風に誘ってくる。なぜ僕と二人きりで行きたがるのは何故かは分からないが断る理由もないのでいつも付き合っている。
「さ、さゆりさん!?い、いいよ!ど、どど、どこで待ち合わせする!?」
とまぁこんな感じでクールにOKしている。
「こーだい女の子と話すの慣れてないよねー笑まぁクラスでいつもひとりで本読んでるからあんまり話す機会ないかー。」
「う、うるさい!それよりどこで待ち合わせ!?」
「じゃー駅前で!じゃーねー」
ふぅ、何とか会話出来た。
俺は女の子どころか男の子と話したこともいとこ以外ない。だから話すのは苦手だ。
そして初めて話した女の子。さゆりさんに恋をしてしまった。
「さて、早く帰って駅に向かうか…」
俺は駆け足で家に帰った
するとそこにはなぜかさゆりさんがいた
「さっ、さゆりさん!?どうして俺の家の前に!?!?」
「あ、やっと帰ってきた笑いやーMINE交換してないと何かと不便でしょ?ほら、QRコード。」
そう言ってさゆりは自分のスマホを差し出した。そこにはメッセージアプリのMINEの友達登録に必要なQRコードが表示されている。
当然俺は話す相手などいないのでインストールしていない。
「ごめんさゆりさん!僕話す人いないからそのアプリインストールしてなくて、、インストールしてきます!」
さゆりさんはくすくす笑いながら答えた
「りょうかい!最初に交換する相手がjkと交換なんて贅沢だねぇ」
「どっ!?」
’’JK’’という単語に反応して変な声を出してしまった。恥ずかしい。
「どっ!?って笑」
どうやらさゆりさんはツボに入ったみたいだ。恥ずかしい。
「イ、インストール終わったよ!追加ってどうやるの!?」
俺は恥ずかしさを誤魔化すように聞いた。
「それはここを押してこうすれば…」
その時急に家のドアが空いた
「ギャピッ」
俺は驚いてまた変な声を出した。恥ずかしい。
「こうだい家の外で何やってるの!…おっと失礼」
お母さんだ。そして俺が女の子と話してるのを見るとにやにやしながら家に入っていった
「ははははは、、」
俺は恥ずかしさを振り払うために無理やり笑った
「はははは、」
さゆりさんも返してくれた。逆に恥ずかしい
…気まずい。
「じゃ、じゃあ駅前で待ってるから!あと追加しといたから何かあったら連絡してね!それじゃあ!」
さゆりさんが逃げるように帰っていった。
「ただいまー」
「ちょっと!あの可愛い子誰!?あんたいつの間に彼女なんてできたの!?」
「彼女なんかじゃなくてただのクラスメイトだよ!?」
「ふーん、、、」
お母さんは楽しそうにお父さんに電話をかけ始めた。
…恥ずかしい。早く駅前行こ。