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73話 ゴミ掃除

月明かりの下、歩くアクセルの足取りはしっかりと目的地に向いていた。


ミラには夜風に当たってくると宿を出たが、とある目的があったのだ。


辿り着いた場所はポロでも一際大きな屋敷。そう領主の屋敷だ。


深夜にも関わらず大きな門の前には人が立ち、警戒にあたっている。


しかし躊躇することなく進んでいく。


「止まれ!!こんな時間に何をしている」


当然声をかけられ止まるよう促されるが、それでもアクセルは門番達に近づいていく。


「お前達には用はない…けど、邪魔をするなら殺す」


アクセルの冷たい声と凍える様な瞳に一瞬の同様を見せる門番達。


「ふん!気でも狂っているのか。酔っ払いが起こした不祥事では済まさんぞ」


すぐに気を持ち直し、高圧的な態度に出る門番。

もう一人はその様子をニヤニヤしながら隣で見ている。


「お前達はここの領主にただ雇われているだけか?それとも好んでこの場所にいるのか?」


そう言いながらアクセルは門番の目の前まで進む。


門番達は何も答えず、剣を抜く。そして一人の門番がアクセルに切りかかった。


アクセルは剣が自身に届く前に、振り下ろされた腕を掴む。


ゴキ


鈍い音と後、門番の短い悲鳴が上がる。


「くっ」


そう声を漏らす門番は折れた腕を押さえ、後方に下がる。


アクセルは門番の持っていた剣を右手に持った後、軽く振り門番達に歩み寄っていく。


「ま、まて!何が目的だ。話を聞こう」


その様子を見た門番は慌ててそう言うが…


「目的?ゴミ掃除だ」


そう告げると同時に門番達の首が地面に転がり落ちた。


広い庭を進んでいくと、今度は5名程が手に松明を持ち、警備をしていた。


その者達と先程と同様の問答をしていた時、屋敷から鎧を纏った女が一人出てきた。


「騒がしいぞ。何事だ」


騎士風の女はそう言うと、警備の者達の前に立つ。


「なるほど!賊か」


「騎士か?まぁどうでもいいか…」


アクセルはそう呟くと、肩に担ぐように持っていた剣を軽く振る。


「貴様は!武闘大会の優勝者ではないか。何が目的か知らんが悪いようにはせん。大人しく縄につけ!……そうだ!貴様なら領主様に仕える事も出来よう。私が口添えしてもいい」


「はっ!!バカを言うな。間違ってもゴミに仕える気はない」


アクセルは足を止め、鼻で笑い飛ばしたあと、言い放つ。


「何だと?」


「お前はここの領主が奴隷の獣人達をなぶり殺しているのを知っているか?」


「ふん!それの何が悪いのだ!あんな獣がどうなろ…うぱ」


女騎士は言葉を最後まで言うことなく、顔面を口から横半分に切り裂かれ、地に伏し痙攣している。


それを見た周りの警備の者達は逃げ出そうとするが、一人残らず首を落とされていく。


屋敷に踏み込んだアクセルの足は迷いなく進み、とある一室に隠されるようにある、地下に続く階段を降りていく。


降りた先には通路を挟むように牢屋が複数並んでいるが、牢屋の中には誰もいない。


だが、さらに奥から複数の男の下品な笑い声と、悲鳴が聞こえてくる。


「ハッハッハっ!いい声で鳴くではないか!前のオモチャは長く楽しめたが最後に失敗しましたからな。やはり反応がある内に遊ばねば!ねぇ皆さん?」


「ハッハッハ」「全くだ」


そこには獣人の少女が磔にされ、足元には机が用意されており、その上には様々な拷問道具が並んでいる。

その獣人を素手で殴っている領主、そしてそれを下卑た笑顔で見ている二人の男達。


「そうれ!もっと鳴け!!」


そう言いながら領主が拳を振り上げる。


が、その拳は少女に届くことはなく、それどころか腕が宙を舞った。


「ぎゃあぁああぁぁぁぁ」


地面に転がり、のたうち回っている領主を他所に、アクセルは少女に語りかける。


「もう大丈夫だからな」


優しく頭を撫でた後、拘束を解き、優しく抱き上げる。


直後、アクセルは姿を消し、少しすると一人で領主達の元に戻ってきた。


突然の出来事に身動きも出来ていない男達。


「ネロ、コイツらで間違いないよな?」


アクセルがそう言うといつの間にか、アクセルの背後にネロが現れる。


「はい、違法な奴隷売買を取り仕切っている商会長とそれに加担する貴族、この二人で間違いありません」


「まぁ、そんな訳だ!大人しく死んでくれ」


アクセルは男達にそう言うと剣を肩に担ぎ近寄っていく。


「ま、まま、待て!待ってくれ!私はそこの領主の男に指示されただけなのだ!どうか、どうか命だけは…」


「なっ!?わ、私だってそうだ!そこにいる貴族の男に命令されて仕方なく……」


「き、貴様ら、私を陥れようというのか!!!」


「あー、あー、五月蝿いぞ!別に誰が悪いとかどうでも良いんだよ!俺がお前らを気に食わない。それだけだ…」


そう言うとアクセルは商会長と貴族の首をはねた。


そして領主の方に視線を向ける。


「ひぃぃ、き、貴様、気でも狂っているのか。私に手を出してタダで済むと思っているのか?」


「あのまま大人しくしてりゃ、見逃してやったのによ……いや、無理か!そのツラ1回でも見たら我慢出来る自信がない」


「ま、まて!1億、1億出そう!なんなら言い値でも構わん。そうだ!一等地を用意し女も付けよう!どうだ?」


「お前はそんな風には泣き叫ぶ獣人達の声を聞いたか?」


そう言うと領主のもう片方の腕を切り飛ばす。


さらに悲鳴が響くなかアクセルが続ける。


「俺は殺すのも傷つけるのも嫌いだ。けど、お前らゴミは別だ。どうせならお前が今まで痛めつけ、与えた恐怖をその身に刻んだ後、死ね!!」


その言葉の後、領主は両足を失う。


「破裂する痛みって知ってるか?」


アクセルはそう語りかけると白銀の剣を抜き、極小の衝撃弾が領主の耳を吹き飛ばした。


血の気も失せ、意識が飛びそうなところに衝撃弾が破裂し、無理やり意識を取り戻させる。


「もう、やめてくれ……頼む!もう…」


領主のその言葉を聞き、領主の顔と同等の大きさの衝撃弾を作り出す。


そして頭を吹き飛ばした。


「さて、帰るか」


アクセルが屋敷を出た直後、屋敷は炎に包まれ、夜のポロの街を赤々と照らしていた。

読んで頂きありがとうございます

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