表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/167

70話 遺跡内部

ゴーレムを収納し遺跡へと足を踏み入れる。


しかし今のところ遺跡と思われるような痕跡はなく、多大な魔力が集まる事を除けば、なんの変哲もない、地下に続く洞窟と変わらない。


だが少し進むとただの洞窟には見られない遺跡と呼ばれるに値する物を見つけた。


それはさらに地下へと続く階段だ。


「まさか階段があったとは…」


「階段がそんなに気になるのか?」


「…私は数人が何らかの理由でここに逃げ込み、隠れ住んでいたものだと思っていた…そんな者達が入口を塞ぎ、こんな綺麗に整えられた階段など用意するだろうか?」


「ゴーレム作るくらいなんだから階段くらい、すぐ作れんじゃないか?」


「だからだ…それ程の力があるのであれば、なぜこんな地下に隠れるようなことをする?…」


「うーーん……いずれ外に出ようと思ってたとか?もしくはもう出た後とか…」


「領主の私兵とはいえ、数十人を退けたゴーレムを放置してか?」


「確かに…な。とりあえず先に進もう」


階段を降りていく途中、またさらに驚くべきことがあった。


なんと一定の距離まで進むと階段の脇から光が溢れ、暗い足元を照らしているのだ。


そしてまた一定距離進むと少し先の階段脇に光が灯り、後ろの光は消える。


「おぉー!後ろのヤツは消えるのか!!凄いな」


そんなアクセルとは反対にミラの表情は険しい。


(凄まじい技術だ…これほどの物がなぜこんな場所に…)


階段を降りきると、また入口のような物があり、その奥には広い場所があることが少しだけ見えた。


だがその入口にはゴーレムが二体、侵入を拒むかのように立ち塞がっている。


「まぁ当然いるよな…」


「ここで君の衝撃弾は危険だな。洞窟そのものが崩れる可能性がある…」


「あぁ、じゃ手筈通りに頼むぜ」


ミラが頷いたの確認したアクセルは、ミラの背中に手を当てる。


そしてミラと共に時空間でゴーレムの正面に現れると、ミラは紅い雷を両手に纏わせ、二体のゴーレムの核それぞれに手を当てる。


そして眩い光が放たれ、核を粉々に砕いた。


「ふぃーー!!流石だな」


「少し不安だったが、直接核に触れれば問題なさそうだ」


動かなくなったゴーレムもアクセルが収納し、さらに進む。


「確かに遺跡……だな…」


「あぁ、しかしこれは…」


そこには洞窟と一体になったかのような住居と思われる建物が複数あり、大きな水溜まりも見える。


そして真新しい抉れた地面や、焦げ痕も目に付いた。


恐らくまずはここで調査隊とゴーレムとの戦闘があったのだろう。


建物の中に入ると、そこには枯れた草を集め作ったような寝床以外は何も見つからない。


他の建物も同じだ。


「ますます分からんな…」


「確かに…ここは綺麗すぎるな。生活した痕がない」


「あぁ、これではむしろこれから生活を始めるかのような…」


そう口にしたミラはハッと気付く。


「……っ!!ここに逃げ込んだのでなく、逃げ込む場所として備えていた?」


「そう言われると、納得出来るものが多いな…」


その後ミラは再度建物に入り何やら調べ物をしている。


そしてアクセルも周囲を調べていると、とある物を発見した。


「おーい!ミラ、こっち来てくれ」


「どうした?」


「これ!形は少し違うけど、ミトリースで見た空気を綺麗にするっていうレガリアだ」


「なるほど!だからこんな地下にも関わらず特有の息苦しさが無かったのだな…」


「これでさっきお前が言ってたことはほぼ確定だな」


「あぁ、だがどれ程の驚異を想定していたのだろうか。戦争などの争い事なら、ここまで地下深くにする理由もないだろうし…」


「だよなぁ…それにあの水溜まり、海に繋がってる。魚も少しだけど確認できた。海に呑まれる危険もあるのに、それより危険なものって…」


その言葉の途中でアクセルはある方向に視線を向ける。


「ミラ、あの岩の奥、多分まだ道が続いてる」


長い年月が経っているせいか、その奥へと続く道を隠すように塞いでいた岩は、上手く周囲に溶け込んでいた。


その岩を退かすとアクセルの言う通り、さらに奥へと続く道がある。そしてその岩を退かしたことが切っ掛けになったのだろうか、光が灯って道を照らしていく。


「おいおいおい、まだいたのかよ」


「しかも明らかにこれまでのものとは造りが違うな」


二人が目にしたものは、細長い通路の先にいる、左腕に連弩と一体になった盾を携え、右手には槍を持つ二体のゴーレムが、その奥にある明らかに造りの違う建物を護っていた。


「あそこまで厳重に護っているんだ。何かしらの答えはあると思うんだけど…」


そう言いながらアクセルが道に足を踏み入れると、ゴーレム達は揃って左腕をアクセルに向ける。


それを確認するとアクセルは一気に後方に飛び退いた。

同時にゴーレム達も腕を下ろす。


「恐らくゴーレムの所有者があの建物の中にいるのだろう…」


「なるほどな…でもそうなるとこの場所を作り上げたのは一人ってことか?」


「それを確かめる為にも、まずはあれをどうにかしないとな」


「だな!核は任せた!」


アクセルはそう言うと剣を抜き、一直線にゴーレムに向かって駆けていく。

読んで頂きありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ