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57話 魔剣を支配する魔剣

ミラが魔族の姿に変貌し三人の魔族と対峙する。


一方アクセルはロア、ロイと共にミラの後方の物陰に潜み、ネロを周囲の影に潜らせている。


これで万が一は起こらない、まさに万全の布陣だ。


「私達を消滅させる?同族とは驚きましたが、貴女如き小娘に出来るのですか?」


「キヒヒ、俺達も舐められたものだ」


「グフフ、逆にお前を喰ってやる」


魔族達がそんなことを言っている間にもミラは手に雷を集め終えている。


「話は終わりだ…消えろ!」


そう告げ魔族達に雷を放つ。


魔族達は全方向から襲ってくる雷が直撃する。


かに思えたが…


「キヒヒヒヒ、残念だったな!!このエレ様が持つ魔剣は雷を自在に操ることが出来る。正にお前の天敵だ。キヒヒヒヒ」


エレと名乗った魔族は短剣程の大きさの魔剣を両手にそれぞれ逆手にして持っている。


そして先程ミラが放った電撃だろうか。

刃にはバチバチと音を鳴らし帯電している。


「魔剣持ちか……だが!」


雷が効かないなら直接切り捨てるまで。

ミラがそう思ったのも束の間、身体に違和感を覚える。


(なんだ…身体が重い…それに引っ張られている?)


「グフフフフ、お前はもう自由に動けない。このゲビ様が持つ魔剣の力によって、お前の身体は普段の何倍もの重さになっている」


「ふふふ、そしてこの私、グラが持つ魔剣は貴方を引き寄せる。私達に刃向かったことを後悔しながら死になさい」


「全員が魔剣持ちか…」


これにはアクセルも驚いたが、手を出すようなことはしない。

ミラ本人にまるで焦りが見えないのだ。


「だからどうした!!」


ミラも地面に手をかざし、魔剣を引き抜いた後、即座に翼を広げ疾駆し、エレと名乗る魔族に肉薄する。


そしてすれ違う様に首を刎ねた。


「馬鹿な!!?エレが」「ぎぎ、よくも!!」


狼狽える魔族をよそにミラは落ち着き剣に付いた血を振り払う。


「これで雷を防ぐ術はなくなったな…見逃すつもりもない。大人しく灰になれ」


ミラがそう言い放つとグラとゲビ、そしてエレの持っていた魔剣がそれぞれの手を離れ宙に浮き、ミラの元にふわりと飛んでくる。


そしてそのまま跪くように足元に突き刺さった。


「「な………馬鹿な」」


これにはグラとゲビも揃って絶望を隠しきれない様子だ。


「魔剣にも見限られたか…哀れだな」


ミラの一言を聞き逆上したのか、拳を振り上げ雄叫びを上げながらミラに迫るグラとゲビ。


「それでも向かってくる勇ましさは評価しよう。冥土への手向けだ、受け取れ!!」


ミラから紅い雷が放たれ、グラとゲビの頭上から襲いかかる。


そして言葉を発することもなく魔族達は灰となって消えていった。


「怪我はねぇ…よな。お疲れさん」


アクセル達もミラを労いながら近づいてくる。


「あぁ」


ミラは返事を返しながらも、以前足元にある魔剣を見つめている。


「それ、どうするんだ?」


魔剣は持ち主以外が触れると災いをもたらすと言われている。その為、下手に動かすことも出来ないのだ。


「ふむ、私を呼んだのはこの魔剣達だろう……私の持つ魔剣も反応している…そして一つ気付いたこともある」


そういうとミラは自身の魔剣を足元にある魔剣達に向ける。


すると魔剣達はミラが初めて魔剣を手にした時同様、光に包まれミラが持つに相応しい形に変わっていく。


そして光が収まったあと、なんとミラの持つ魔剣と結合してしまったのだ。


「…合体した?」


そう呟くアクセルの目が心無しか輝いているように感じるが、ミラは一つになった魔剣の刃に手を添え、口にする。


「この魔剣、父が持っていた魔剣は魔剣を支配することが出来るようだ…そして私を主と正式に認めたことでその知識が私にも流れ込んできた…」


「魔剣を支配する魔剣か…でもただ引っ付くだけか?」


「無論それぞれの魔剣の力を使える…だが今も一斉に知識が流れ込んできて頭がどうにかなりそうだ…」


その後少しの間、無言で剣を眺めていたミラだったが、すぐに仕舞ってしまった。


「まぁ、ここでの用事は済んだ。ゆっくりとこの魔剣達とも向き合っていくさ」


その後は念の為、周囲を探索してみたが特に何もなく、ミトリースに戻ってきたが、思いのほか疲労していたミラを気にかけ、この日も宿に泊まることにした。


「いやぁ、改めて魔剣てのは不思議だな…」


「あぁ、まさか複数の魔剣を持つことになろうとは…そして未だに父の持っていた剣がどうやって私の元にきたのかも謎だ…ネロと共にきたと君は言うが……」


新たな力を得たが、過去の疑問を解決することは出来なかった。


だが、今回の騒動ではその答えを求めていた訳では無いと割り切り、むしろ思わぬ所で力を得たとミラは満足な様子だった。


こうして思わぬ出来事がありはしたが、翌日、東大陸に向けて二人は旅立つのだった。


読んで頂きありがとうございます

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