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53話 明かされる真実

ミトリースでアクセルと別れたミラは未来を見ることが出来る人物、マールーンの下を訪ねた。


(ここか…中々立派な建物だ)


そこはミトリースに並ぶ建物で一際豪華な造りになっている。


そして建物に入るとそこには運気上昇、無病息災などと書かれた商品が展示されている。


(なるほど…占いを商いとしている人物か…)


そしてすぐに店の奥から一人の女性が姿を現した。


「ようこそお越し下さいました。私はここの主、マールーンと申します」


「あぁ、貴方は未来を見ることが出来ると伺っている。是非とも私を見てほしい」


「承知いたしました。ではまず料金をお支払い頂いた後、あちらの別室へご案内いたします」


なんと1回1万ポルンとかなりの額を支払い奥の部屋へと案内される。


「少々準備の為、お時間を頂きます」


そういってお茶を置き、退室するマールーン。


お茶を飲みながら待っていると、先程とは違う衣装に着替え、手には水晶玉を持ったマールーンがやってきた。


「お待たせいたしました。では早速…」


そういうとマールーンは水晶玉に手をかざし、聞き取れないほど小さな声で何かを呟いている。


「…見えました。数人の男性と貴女が揉めているようです」


「ふむ…思い当たる事がないな…」


「ふふふ、貴女のその美しさ目当てということでしょう。見えたのは表通りの道…今から私が教える道を行けば回避出来る未来ですね」


「有難い!私としても面倒事は避けたいからな」


その後少し雑談を交わした後店を出たミラ。


宿に戻ろうと教えて貰った通りの道を進んでいくが、人通りの少ない道に入った後、首筋に鋭い痛みを受けた。


(こ、これは…毒矢…クソ、迂闊だった…)


▽▽▽



(ここは…)


激しい揺れを感じ目を覚ます。


恐らく馬車の中であろう場所だが、手足を縛られ、口には猿ぐつわを噛ませれている。


そして周りには男が三人武器を手に持ち、こちらの様子を伺っている。


「んんー、んー、んー」


「うるさいぞ!静かにしろ。ひん剥いて犯してやっても良いんだぞ!!」


一人の男が武器を突きつけ脅して来るが、また別の男が穏やかな表情でそれを制した。


「お止めなさい。この方は救世の為の大事な鍵。無闇に傷つけてはなりません」


そう言いながらミラの猿ぐつわを解いていく。


「貴様ら、何が目的だ。私が鍵とはどういうことだ!!」


男を睨めつけながら言い放つ。


「威勢の良い方だ。しかし然るべき時が来るまで大人しくしていてください」


穏やかな表情の男は表情を崩さぬままそう言うと、ミラの首筋に針の様なものを突き立てる。


うっ、と声を上げまたしても意識を失ってしまうミラ。


▽▽▽


「起きろ」


その言葉と同時に腹部に衝撃を受け、咳き込みながら意識を取り戻す。


先程までの揺れは感じない。

恐らく目的地に着いたのだろう。


男に肩で抱えられ馬車から降りると、放り投げられるかのように地面に降ろされた。


「うっ、ここは…」


ミラが目にしたものは森の中に建てられた幾つもの建物。

さながら小さな村といっても良いだろう。


「深い森の中にこんな場所が…」


そんなことを思ったのも束の間、村の方から武器を手にした者達がぞろぞろとこちらにやってくる。


そして穏やかな表情の男がミラの前に立ち、頭を踏みつけながら言い放つ。


「我々の先導者がお見えだ。無礼は許されませんよ」


地面に押さえ付けられながらも大勢の人の方に視線を向けると、人の波が別れ、その中央から奇妙な仮面を被った人物が姿を見せた。


そしてその人物はミラの前まで来ると、ミラの頭を踏み付けていた者や、周りにいる者達は跪く。


そして仮面を付けた人物は両手を広げ高らかに声を上げる。


「我ら暁の聖地によくぞお越しくださいました」


「暁……それにその声!お前は…」


ふふふっと怪しげに微笑んだ後、仮面を外す。


「やはり、マールーン!お前が…目的はアクセル様か…」


「いいえ、正確にはあの者に宿された破壊の力…超破壊魔法クロノス。それによってこの穢れた世界、人間共を一掃することこそが暁の求める救世。そして生まれ変わった世界で私は神となるのです!」


「歪んでいるな…」


「…我ら暁の長年の調査により、クロノスは宿主の感情に大きく影響受けることが分かっています。今は上手く抑え込んでいるようですが、目の前で貴方が惨たらしく死ねばどうなるでしょうか…」


「なるほど…私は破壊を引き起こす鍵という訳か。そしてこの聖地とやらはその魔法にも耐えきると?」


「その通り!この聖地は認識を阻害する鉱石をふんだんに使用し、あらゆる魔法や衝撃を防ぐ結界が施してあります!必ずや救世の光にも耐えてくれることでしょう」


「大した自信だな…しかし少しばかりの未来を見ることしか出来ない貴様の技術などたかが知れているだろう」


「ふふふ、勘違いをしないでください。私が見ることが出来るのはそんな些細なものではありません。過去も未来も現在も全てを見透すことが出来るのです!」


マールーンはミラに歩み寄り頭を踏みつけ、興奮した様子で語りだす。


「私は遥か昔からこの力で多くの人間を見てきた。しかし見えるのは醜い欲望ばかり…ある時、絶望した私は自分の未来を偶然見たのです!!クロノスが発動した後の世界で新たな神になる瞬間を!!」


未来の自分の姿に酔っているのだろうか、マールーンは聞いてもいないことを、ミラの頭を踏みつけながら語っていく。


マールーンは自身の未来を見た時から計画を立て始める。

そしてクロノスの破壊にも耐えうる結界を生み出すには技術力が足りなかった為、後に数々の魔道具や魔法を生み出した天才と名高いネーラを利用しようと考えた。


そしてネーラにアクセルを探させるように仕向ける為、魔法で夢を見させ、自身も助言を与える。


そしてネーラが去った後、ネーラの研究や私財をあらゆる手段を用いて奪い、そして未来を見ることができる占いで稼いだ私財を注ぎ込んでこの聖地を完成させた。


その後もはぁ、はぁと息を切らすほど色々と語るマールーン。


落ち着いてきたのかマールーンはミラの頭から足を退け、大勢の人の方に向き直す。


「ここにいる者達は新たな世界の為の選ばれた者達。あなたにはその礎となってもらう…」


「ぎゃあ」「あがっ」「いっっ」


突如として短い悲鳴を上げマールーンの周りにいた男数人が倒れる。


「ふふふ、ふはははは!あーっはっはっはっはっは…」


それと同時に不気味な笑い声が周囲に響き渡る。

読んで頂きありがとうございます

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