表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/167

52話 動き出す

次なる目的地、ミトリースを目指す一行。


その道中、ミラはとある事が気になりアクセルに尋ねた。


「そういえばマスター、資金の方はどれほどあるのだ?」


そう、金だ。

お互い2年間、街で生活している。

金の重要性、必要性はアクセルも承知のはずだ。


「ん?金か?えーっと、10万ポルン以上はあるはず…」


「ほう…中々貯めているな。しかしなぜ曖昧な答えなのだ?」


「んー、お前に会うまでさ、宿はただだったし、飯にも金はほとんど使わなかったんだ。10万までは貯めるのが楽しくて数えてたけど、それ以降はもう良いかなって…」


「はぁ…これに関しては成長なしか…私が数えよう。出してくれ」


アクセルはバツが悪そうにチュチュ袋から金の入った袋を出し、手渡す。


「まてまてまて!!なんだこの大きさは…」


「いや、金だけど…」


「これ全部か………」


手渡された袋はパンパンに膨れ上がり、ずっしりとした重みがある。


(これを数えるのか…明日には終わるだろうか)


「まだ同じ位のやつが9袋あるな…」


「…よし!君も手伝え。私1人では終わらん」


結局2人で数え、長い休憩なども挟みつつ終わったのは2日後の昼過ぎだった。


「3億4千万……」


「…多いのか?」


「慎ましく暮らせば何代にも渡って金は必要ない位には多いな」


実際にはもう1袋あったのだが、アクセルは剣を新しくする際、中身を数えずドランに袋ごと渡している。


「新星★6冒険者を侮っていた。まさかこれ程の稼ぎを出すとは…」


「けっこう規格外のことが多かったからなぁ」


「やはりお金は私が管理しよう。とてもじゃないが君には任せられん」


「わかった。俺達の金だしな…ミラに持ってて貰った方が安心だ」


「そう言って貰えるのは有難いが、君が稼いだ物だ。使う時は一言声をかけてくれ」


こうして一行の財布はミラが管理することとなった。


アクセルは一仕事終えたような気分だったが、冒険者の話をした為、あることを思い出した。


「あーーー!!!」


「な、なんだ!?」


「これこれ!ミラに渡すの忘れてた」


そう言いながら手渡したのはギルドカードによく似たカード。


「これは?」


「パーティーカードってやつだ。それが身分証のかわりになる」


アートランを旅立つ際、アリーから託された物だ。


「なるほど。そんな便利な物があるのか…有難く貰おう」



▽▽▽



「おぉー!ここがミトリースか。綺麗な所だな。」


「本当に一緒に行かなくて良いのか?君の師のことについて何か教えて貰えるかもしれないぞ?」


「んー、良いよ。過去にどんな事があったとしても、師匠達は師匠達だ」


「そうか…では後ほど合流ということで…」


「おぅ!変なやつに絡まれるなよ」


「あぁ…(さて、どうなるか…)」


ミトリースに到着した2人は、二手に別れて行動する。


ミラは未来を見ることが出来るという人物に会いに。


アクセルはお小遣いを貰い。街中に繰り出していく。


ここミトリースにも冒険者ギルドでカードの管理を行う魔道具や、フォルジュにある時を刻むカラクリと同じく、過去の遺産「レガリア」が存在する。


ミトリースにあるレガリアは箱型で大きく、空気を浄化し続けるというものだ。


(あれか…空気を浄化っていってもここの空気綺麗だし、あんまり凄さが分からないな…)


レガリアと呼ばれる物は貴重な為、全て厳重に保管されている。


直接手を触れることの出来る距離まで行くには特別な許可が必要なのだが、そうでないなら誰でも保管場所に立ち入り見学することが出来る。


レガリアを問題なく保管することで、この街の警備体制は万全だと諸国に知らせる為でもある。


その後は露店などを巡り、食べ物や魔道具などを物色していく。


そしていい時間になったと、ミラと合流場所である宿に来ているのだが、ミラはまだ戻らない。


(随分長いこと話してるんだな…てっきり先に来て本でも読んでるかと思ったのに…)


宿の受付も済ませ、食事までとったが未だミラは戻らない。


そろそろ探しに行こうと宿を出た所で一人の男に声をかけられた。


「ついてこい」


そう言うと男はあるカードをアクセルに見せつける。


それはミラのパーティーカードだ。


「………」


「素直に従うなら女に手は出さない」


「……わかった。が、手を出せば、お前も仲間も切り刻んで魔物の餌にするからな」


素直に男についていき街を出る。


(こいつらの目的はなんだ…)


目的が分からない以上、下手に動くのは危険だと判断し、成り行きに任せることにしたアクセル。


街の外からは馬での移動となり、森の奥へと進むしかなかった。

読んで頂きありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ