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43話 進化する唯一無二の剣

「それでその石があれば何か出来るのか?」


「うむ、お主の剣。それが完成する」


「あぁ、たしかこの剣はまだ未完成って言ってたな…」


「そうじゃ。この魔晶輝石はな、さっきも言ったがどれと結び付くか分からん。故に試しで物を作ることが出来ん。物の出来は職人の腕が大きく左右するのじゃ。だからこそ臨む価値がある」


いつになく熱が入るドランの言葉を真剣に聞くアクセル。


「分かった。俺としても有難い話だしな。ちなみに進化した場合、あの弾は使えるのか?」


「お主がそれを望むなら出来るようにしよう。これはお主の剣。お主が気に入らねば意味がなかろう」


「そうだったな…ありがとう、じっちゃん」


「うむ。ではついてこい。新しくするにあたり、気になることがある」


そういうとドランは工房の地下にアクセルを案内する。


そこは試し斬りや実験などするため広く作ってある。


「小僧よ、まずはその弾を見てみんことには分かるもんも分からん。ここで見せてみよ」


「わかった。あ、ちょっと待ってくれよ」


(ロア、ロイ、悪いけどちょっと出てきてくれ。俺に何かあったら頼むぞ)


(はい)(わかった)


「じっちゃん、新しい仲間紹介するよ」


そしてロアとロイが現れ、ドランに挨拶する。


「…こりゃたまげた……」


「俺に何かあったらこいつらに言ってくれ。じゃいくぞ」


そういうとアクセルは白銀の剣に弾を入れ、両手で持ち剣を突き出すように構えた。


ふぅと息を吐き、そして…カチ


ギィィィン


甲高い音を上げ、凄まじい振動がアクセルに伝わる。

そして同時に衝撃がアクセルを襲い、後方に身体ごと吹っ飛ばされた。


「「マスター!!!」」


「…いってぇぇーー……腕がもげるかと思った」


「ふむ、無事のようじゃな」


「…これ無事なのか?…これ毎回やってたら間違いなくもげるぞ」


その後は弾は使わず、剣を縦に振れ、横に振れ、二本持てなど様々な要求が飛んできた。


もののついでだと刃に魔力を纏うこともして見せた。


一頻り要求を聞き終わり、ドランも満足したようだ。


「うむ、これを踏まえて新しい剣を作るとしよう。じゃが素材が足らん。明日までに頭の中を纏める故、今日はもう帰ってよいぞ」


(はぁ…じっちゃん、自分の世界に入ったな)


「わかった。じゃまた明日来る」


「そうじゃ、剣と弾は置いてゆけ。じゃあの」


一方的に別れを告られ、作業を始めたドランにはもう言葉は届きそうにない。


この日はフォルジュで宿をとって休むことにした。


翌朝、また不眠不休で作業をしているであろうドランを思い、屋台で軽食と飲み物を買い、その後工房を訪ねた。


「じっちゃーん」


「ん?おぉ、来たか小僧。これに纏めてある物を持ってこい。それから…」


「とりあえずこれ食べてちょっと落ち着いてくれ」


ドランはアクセルの差し入れを黙って受け取り、時間が惜しいとばかりに口に詰め込んでいく。


(結構大きいパンなのに吸い込まれていったな…)


口の中を空にしたドランは一気に飲み物も流し込んだ。


「よし。では説明するぞ」


苦笑いを零しながらもアクセルもメモに目に通しながら耳を傾ける。


「取り急ぎはやはり魔晶輝石じゃな。量はその紙に記しておる故、まずはそれを持ってくるがよい」


「わかった。後の二つはその後で纏めて持ってくればいいか?」


「うむ。それはワシには用意出来んのでな。それらを用意してくれればあとはワシの仕事じゃ。もちろん代金は頂くがの」


「あぁ。で、このショックッション、羽根、北山はなんとなく分かるから良いけど、ゲンマドラコ、粉、南山ってのは?」


メモに書かれている残りの素材について尋ねてみる。


「南の山の一角にゲンマドラコと呼ばれる、背に宝石を持つ魔物がおる。その魔物は背の宝石をとある石に擦りつけ磨き上げる。その際、出る粉のことじゃ。」


「うーん、まぁなんとなくわかった。でも丸腰はさすがに厳しいぞ」


「その辺にある物を持っていくがよい。では、はよ魔晶輝石を持ってこい」


「ハハハ…じゃ行ってくるよ」


乾いた笑いの後、催促され早速魔晶輝石を見つけた洞窟に向かう。


またあの幻想的な地底湖を堪能したいがドランに急かされている為、魔晶輝石を採取した場所に直接飛んだ。


そしてなるべく傷や、くすみがない状態の良い物を選び、一つ一つ感謝しながら採取していく。


しかし以前来た時より遥かに輝きが少ない。


適合する素材、剣を持っていないからだろうか。


その日、半日かけて必要な量を採取し、夜ドランの元に戻った。


「じっちゃーん。持ってきたぞー」


呼びかけると奥からノシノシとドランが現れ、受付の机の上に置いていた魔晶輝石の入った布を広げる。


「…………」


しばらく無言で固まっているドラン。


「…お主、やはり祝福されとるのぅ。頼んだのはワシだが実物を前にすると自分の目が信じられんわ」


普通は手に入れるどころか目にすることもないであろう魔晶輝石。しかもその最高品質の物が目の前にゴロゴロと転がってる。


そしてそれらは採取した時より輝きが増していた。

読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気ままに旅をするアクセルだからこそ手に入るものが出てくるたびにワクワクする。面白いなぁ〜
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