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40話 久しぶり

アートランを旅立ち南に位置する湖までやってきた。


「やっぱり特に変わった所はないか…」


(何か見つかったか?)


(特に何もないです)


(俺も)


現在アクセル、ロア、ロイはそれぞれが別の場所に居るが会話が出来ている。


しばらくの間、それぞれが離れることがなかった為、気付かなかったが、目に見えない範囲に居ても会話が出来ることに依頼で森を散策している時に気が付いた。


そして会話だけでなく、それぞれが、それぞれの位置を把握することも出来る。


(こうやって何かを探すのも楽になったな…アイツら呼んでも魔力使うだけだし、魔力なんて俺にはあって無いようなもんだしな…まさかこの厄介者に感謝する日が来るとはなぁ)


アクセルが膨大な魔力を有しているのは、アクセルが宿す破壊の魔法が影響している。


(何か考え事ですか?)


(いや、お前らといると楽になったなと思ってさ)


(そうですか。何でも言ってくださいね)


(俺もマスターの力になるぞ!)


心で思っていること全てが筒抜けになることもなく、必要な時だけ会話も出来る。とても便利な能力だ。


(そろそろ切り上げよう。どのみちアートランにはしばらく戻らないしな)


(はい)(わかった)


その後は湖に沿って歩く。


そして丸一日かけ、対岸に着くと、その先にはまた森が続いている。


森に入りしばらく進んでいると川を見つけた。


(多分湖と地下で繋がってるんだな…)


そんなことを考えながら水に沿って進んでみることにした。


あてのない旅だ。水を追いかけ、その場、その時を楽しもうと考えたのだ。


数日後、いつものように別れて思い思いに進んでいるとロイが話しかけてくる。


(マスター洞窟見つけた。結構深そう)


(お?良いな!じゃすぐ行くから待っててくれ!ロアは一度戻るか?)


(そうします)


そう言うとすぐにロアが魔結晶に戻ってきた。


(じゃあロイ、すぐ向かうよ)


そしてロイのいる場所にたどり着き再びロアを呼び出した後、洞窟の入口で話し合う。


「多分地下まで続いてるな…」


「他の匂いもしないから動物とか魔物もしばらくここには来てないと思う」


「洞窟は久しぶりですね」


今では狼姿のままでもロア、ロイも普通に喋れるようになっている。


中に入りしばらく進むが、中はそこそこ明るい。


「この苔が光って明るいのか…」


入口も大きかったが通路も大きく、並んで歩く余裕は充分にある。


魔物や襲ってくる動物と遭遇することもなく、そのまま奥まで進む。


「「「おぉーーー!」」」


そこには地底湖が広がっていた。


「地下に湖があったのか…」


そう言いながら湖を覗く。

澄み切って透明度も高く、青く煌めいてとても綺麗だ。


ロアもロイも地底湖を覗き込みながら周りを散策しているようだ。


そしてほぼ同時に底付近に横穴を見つけた。


「まだ先に続いてるのか?」


そう呟いたあと、少し考え込む。


「行ってみるか!お前達は戻れ」


服を脱いで、チュチュ袋に仕舞ったあと、その場で軽く飛び跳ね、気合を入れる。


そして水に入ると思いのほか冷たい。


身体を水に慣らし、潜水体勢になる。そして一気に底付近まで加速した。


以前、人型魔獣との戦闘の際使った、空中での加速。その応用だ。


魔力を足に集め、水を蹴り加速する。空気を蹴るより簡単だ。


横穴の入口まで来るが、少しその場に留まり様子を見る。


その後一度地上に戻り息を整え、再び潜った。


今度は横穴を一気に進んでいく。


横穴の向きが次第に上方向に変わっていくにつれ、付近も明るくなってくる。


(壁が光ってる…)


そして光が差し込む出口が見えた。


顔を出すと、出迎えたのは青緑色に輝く石の数々だ。


「………綺麗だ…」


壁や床、天井の至る所から息を呑むほど美しい輝きがアクセル達を出迎えてくれる。


(とても美しいです…)


ロアもその美しさに感動すらしているようだ。


近付いてよく見てみるとその輝きの中央には青い輝きが、その周りを薄い緑が彩っている。


思わず触れてしまいたくなる美しさだ。


しばし時間を忘れ見入ってしまう。

存分に堪能したあと、小指の爪ほどの大きさの輝く石を採取する。


その後、自然の偉大さを噛み締めながらその洞窟を後にした。


「まださっきの余韻が消えません…」


「確かにな…あんなに綺麗なのは俺も初めて見たよ。ロイはどうだった?」


「綺麗だった…他に言葉が出てこないくらい」


「ハハ、それも分かるな。ミラにも今度見せてあげよう」


野営をしながらそんなことを語り合っていた。


そして採取した石を月明かりにかざしてみる。


「こう見るとまた見え方が変わるな。ホントに綺麗だ」


改めてその美しさに見とれ、同時に更なる未知に期待が膨らむ。


そんな幸せいっぱいの一日だった。

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