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23話 冒険者

平原の景色を楽しみながら進み、街の入口に到着した。


アシュリットに負けず街を覆う壁は高く堅固な造りとなっている。


そして門番に話しかけられた。


「止まれ。身分証を見せろ」


「ない。ここには冒険者になりたいからきた」


この手のやり取りは慣れているため予めここに来た目的を伝える。


かなり怪しんでいるが、ゴソゴソと懐からメモの様な物を取り出してアクセルに渡した。


「これを冒険者ギルドのアリーと言う人に渡せ。それからのことはアリーが説明してくれる」


礼を言い、すぐ近くだ、と教えて貰った場所にたどり着いた。



そこは他の建物より大きく立派で、扉の上には一際目を引く看板があった。


その看板には一本の剣を二つの翼が包み込むように描かれている。これが冒険者ギルドの目印だろうか。


不安と興奮が入り交じり、ドキドキしながら扉を開く。


中は外見通りに広い。視線を左に向けると窓際には机と椅子が数組、そして壁には大きな掲示板の様なものが目につく。人も多く、掲示板周辺を埋め尽くしている。


右を向くと長い机に沿って、数人の女性が座っている。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。要件をお伺いします。」


「あぁ、えっとアリーって人にこれを渡せって言われた」


門番に渡された紙を差し出しながら女性に告げる。


「アリーは私です。ではお預かりしますね」


するとアリーと名乗った女性は紙に目を通し、机から一枚の用紙を取り出した。


「冒険者ギルドへの登録とのことですが、間違いないですか?」


「あぁ」


「ではこちらの用紙に記入をお願いします」


「あ、えっと、俺文字が読めないし、書けない」


「失礼しました。では私が代筆致します」


「えっとさ、その前にちょっといいか?」


「はい。なんでしょう?」


「えーと、俺、そのあんたみたいな難しい言葉が使えないし、意味が分かりづらいから、普通にしゃべって欲しいんだけど良いか?」


少し申し訳ないような顔のアクセルに対し、アリーは微笑みながら、ハイと返してくれた。


「じゃあ改めて、アリーです。よろしくね。まずは名前からだね。名前は?」


「アクセル」


「歳は?」


「十……五?多分」


「うんうん、じゃあ得意なことを教えて。どんな風に戦うかだね」


「剣だな」


「アクセル、十五歳、剣士。これで間違いない?」


「うん」


「じゃ、ギルドカードが出来るまで冒険者の説明するね。アクセル君は初めてでしょ?」


「あぁ、頼む」


冒険者は七つの段位に分けられ、それぞれ★で区別される。最低は★1、最高は★7といった具合だ。


依頼は一つ上の段位まで受けることができ、ギルドに功績が認められると昇格することができる。


「大体はこんな感じかな。なにか分からないことはある?」


「初めてだから何が分からないかも分からない」


「あはは、そっか。じゃあ追追だね。聞きたいことがあったら何でも聞いてね。あと、登録手数料と門番の人に紹介料を払うから十日以内に300ポルンをギルドに納めてね」


「わかった」


「早速依頼を受けてみる?見繕ってあげるよ」


「うーん、そうだな。金、全然持ってないしそうするよ」


「じゃあ最初だし薬草採取とかどうかな?これは常にある依頼だからあそこの掲示板には貼られてないんだ。あとで薬草の特徴とか、注意することとかも教えるからね」


「わかった。ありがとう」


「じゃあこれ、アクセル君のギルドカード。なくさないでね」


そう手渡されたギルドカードにはギルドの看板と同じ剣と翼が描かれ、剣の上には★が一つ刻まれている。


「これがあれば街に入る時、金は要らないんだよな?」


「そうだね。ギルドは共通だからどこの国でも問題ないよ」


それを聞き安心したアクセルは、その後採取する薬草の特徴や注意点を聞き、サクッと集め終わった。


この薬草は生命力がとても強く、いくら採っても根を残しておけば、そのうちまた生えてくるそうだ。しかしその分、薬としての効果はいまいちらしい。


「はいこれ」


そう良いながら山のような薬草を提出する。


「短時間でこんなに!?すぐ確認するからちょっと待っててね」


似たような毒草もある為、確認が必要なのだ。


アリーは他の職員を呼び、薬草の確認作業を始めた。


アクセルは部屋の隅に移動し、しばらく周りをキョロキョロし、周囲を観察していると、何やら騒がしい声と共に男が一人、それを囲むように三人の女がギルドに入ってきた。


それと同時にアリーに呼ばれ受付に向かう。


「凄いね。状態のいい物ばかり。報酬は300ポルンだよ。薬草採取でこんな報酬受け取るの君が多分初めてだよ」


「そうなのか?あ、じゃあその金で登録料とか払うよ」


ギルドの登録料と手数料を払い、再び手持ちの金がなくなったが、今まで金に頼らなかったアクセルにとっては些細なことだ。


しかし、そんなことを知らないアリーはアクセルに焦らなく良いからと諭していたがアクセルも大丈夫の一点張りだ。


すると突然背後から声が掛けられた。

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