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19話 それから

本日3本目。

キリが良いところまで書いてます。


小鳥のさえずりが聞こえ、爽やかな風に頬をくすぐられ目が覚める。


などということはなく、途轍もない痛みによって目が覚めた。


目には布が巻かれ、見えず、耳も聞こえない。

何より息をするだけで全身が激しく痛む。


必死に堪える最中、隣に人のいる気配がした。


ミラではない。誰だろう。

しかし、確認する術もなく、悶絶しているとかすかに声が聞こえる


「必ず治します」


しかし痛みに耐えきれずまた意識を失ってしまう。

そんなことをもう一度繰り返し、そして三度目の意識の覚醒。


変わらず全身に痛みが襲うがなんとか堪える。


「気分はどうですか?」


聞き覚えのある心地の良い声だ。


「俺は....っ!ミラは?俺の仲間は無事か?」


意識もハッキリと覚醒したことで、ミラの安否が気にかかる。


「無理なさらないで。安心してください。あなたの隣で寝ていますよ」


「そうか。良かった」


それを聞き、緊張の糸が切れたのかまた意識を失ってしまった。


四度目の覚醒。


「良かった。目が覚めたようだな」


「ミラ」


名を呼び、その存在を確かに確認出来た。


「前回、意識が戻った時から三日経っても起きないから心配していたぞ」


「三日...」


「あの戦いからだと七日ほど経過しているな」


「そうか.....なぁミラ、俺、生きてるよな?」


「あぁ」


それから、ことの顛末をミラから聞く。


ここはリーレスト国のリーレストという街で、あの後、アクセルはここに運び込まれた。


偶然にもここは薬学に秀でた国であったこと、そして一人の女性が甲斐甲斐しく治療を施してくれたお陰で一命を取り留めることが出来たとのことだ。


意識を失った直後から状態がさらに悪化したアクセルにはどんな魔法薬も効果が出なかった為、国宝と言われる貴重な魔法薬を風呂のように貯め、そこに浸かることで大きな傷を癒し、通常の治療に移行した。


この世界の一般の魔法薬は擦り傷程度なら癒すことは出来るが、深い傷などが瞬時に塞がることはない。


その為アクセルにも魔法薬は全く効果を現さなかったのだ。

そして死の瀬戸際を彷徨ったアクセルが僅か七日でここまで回復していることこそが、この国が優秀である証拠であった。


そこへ一人の女性が部屋に入ってくる。


「良かった。無事目が覚めたようですね」


「あんたが治療してくれたのか。助かったよ。ありがとう」


「口を慎まないか。この国の王妃様だぞ」


「王妃?」


「簡単にいうと王様の奥様だ」


王妃に対して無礼な物言いをミラに指摘される。


「お気になさらず。今この場に礼節など不要ですよ」


「お心遣い感謝致します」


いまいちピンと来ていないアクセルだったが、身体を起こそうとすると制止されてしまう。


「貴方にはまだ名乗っていませんでしたね。私はミレリアと申します。我が国を脅威から救って頂き心より感謝致します」


「あ..っと、えーっと、アクセルだ」


頭を抱えるミラをよそにミレリアはクスクスと微笑んでいる。


そしてまた新たに部屋を訪れる者がいた。


「失礼する」


低く、しかし良く通る声でそういうと扉が開かれ一人の男性が姿を見せる。


そして二人の近くまでくると突然、地面に膝をつき頭を下げた、


「この度は我が国、ここに住まう民達を救って頂き、心より感謝申し上げる」


そう言った後、ゴンと音が聞こえた。


アクセルは目が塞がれ状況が分かっていないが、ミラの慌てようからかなり大変なことになっているのだろうと理解した。


その後も君たちは我が国の英雄だ、などと散々持ち上げられ、むず痒さに悶える二人。


その夜、なかなか寝付けないアクセルは暗い部屋の中、月明かりで本を読んでいるミラに話しかける。


「なぁ、ここもう出ていった方がいいよな?俺ら薬の金なんか払えないぞ」


「金は要らないと聞いているが、たしかにこれ以上負担をかける訳にもいかないな...しかし、ダメだ」


「なんでだよ」


「一人でまともに歩けもしない今の状況で外に出てどうする?またあの人型が出た場合、今の私一人ではどうにも出来ないぞ」


「それは...まぁ...そうなんだけど」


「せっかく好意で治療を受けさせてもらっているのだ。ありがたく頂こう」


こうして約三ヶ月に渡り治療を受け、全快を果たした二人。

装備も兵士達に回収され、後に届けてもらっていた。

そして、今食料や水、そして魔法薬を受け取り、城の入り口にいる。


「やはり行ってしまわれるのですね」


「あぁ、やることが残ってるから」


そう言うと別れもそこそこに歩き出そうとするアクセルだったが。


「我が国はあなた方を忘れません。未来永劫、この国を救った英雄と讃え語り継ぎましょう」


そんな王妃の言葉に隣にいるリーレスト王も頷いている。


「ハハ、忘れてくれ。...世話になった。ありがとな。じゃもう行くよ」


ミラも深々と頭を二人に下げ、アクセルの後を追う。


「行ってしまわれたか...」


「えぇ、ですがこれからの未来を担う若者の旅立ちです。大成を祈りましょう」


▽▽▽


(また、救わてしまったな...世界すら滅ぼす力を宿し、しかし争いを嫌い、自然を愛し、人一倍優しい...不思議な人だ。英雄というのも強ち間違いではないのかもな。...ふふ、どちらにしても私を照らす光であることには間違いない。)


「おーい、何やってんだよ、ほら行くぞ」


「あぁ、今いく。....これからもよろしく頼むぞ、アクセル様」

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