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157話 戦利品

当初、戦闘の感を取り戻すべく向かったダンジョンだったが、想像以上の激戦となった。


浮島拠点へと戻り、風呂に浸かりながら皆が体を癒す。


「申し訳ございません。主様……肝心な時にお役に立てず」「「ごめんなさい」」


アクセルが男湯で寛いでいるとネロに続き、ロアとロイが話しかけてくる。


「何度も言ったろ?そういう事もあるよ。気にするな。こうして皆無事だったんだしな」


ロア達は何故かダンジョンで実体化が思うように出来ず、また実体化しても本来の力を出し切れない。

その為、ダンジョンに潜る間は出てこないよう言い渡されていた。


そして風の噂だが、魔物使いと呼ばれる者が使役する魔物を連れ、ダンジョンに入った際、使役する魔物が暴走し主を殺したなどという話も挙がっている。


「あの場所はお前達を狂わせる何かがある。無茶される方が俺達としても辛い」


ダンジョンを踏破したものの、あの場所にはまだまだ謎が隠されているのだ。


風呂を出て、皆が集まる。


「さて、じゃあ見せてもらうかな」


それは各々が手に入れた物の確認だ。


「では、私が。……………これだ」


ミラが取り出した指輪を皆が覗き込む。


「……………凄いなこれ」


「凄く落ち着く~」


「まるで世界樹のような安心感がありますね」


「私も触れるのを躊躇った程だ………」


「触るぞ」


アクセルがそう告げ、指輪を手に取る。


「おぉ!力が消えないな」


「ふむ………」


アクセルの魔力を打ち消す力をもってしても失われない力。それはこの指輪に魔法的な力が施されているのではなく、指輪その物が力を持っているということだ。


「ミラ、付けとけよ。どうせそんな物、世間に出せば争いの種になる」


「確かにこれ程までに清らかな力だと、神を信じる者達からすれば喉から手が出るほど欲しいだろうな………分かった、これは私が貰い受ける」


こうしてミラは指輪を人差し指に嵌める。


「じゃあ、次は僕!!なんだけど、ミラさんの指輪とは正反対なんだ……」


ステラがおずおずと取り出した、布が幾重にも巻き付けられたカタナ。

それを取り出した瞬間、皆の表情が強ばる。


「流石にそれはダメだな。狂気に塗れてる」


「うん………でも、これ壊したくない……」


ステラはそう言って直接は触れず、カタナを少し抜く。


「紅い刀身………緋緋色金だっけ?」


「うん。僕の持ってる脇差と同じ。それに造りも似てる気がする」


「同じ鍛冶師が打った代物…………ということか」


「あぁー、確かシンも本来、脇差には対になるカタナがあるって言ってたな」


「時間はかかるかもしれないけど、世界樹の朝露で少し狂気も和らいでる。だからいずれは……」


「………分かった。気を付けて持っときな」


ステラはカタナをチュチュ袋にしまう。


「じゃあ………私は魔石だけですね」


「俺もだな」


「ふむ、大きさは小さいが随分と強力な力を秘めている感じだな……」


「凝縮されたってところか。60階層のドラゴンの魔石は兎も角、これらは流石に売れねぇな」


「それこそ力の塊だからな。君の創り出した空間にでも保管しておけば問題ないだろ」


「あ、ではこれもお渡しておきます」


「ん?良いのか?親父さんを超えた証なんだろ?」


「いえ、また形に囚われてしまいそうなので……」


「分かった。じゃあ俺が預かるよ」


こうして今回ダンジョンで得た品々の確認を終える。



それから幾日かが過ぎる。


「うーーん、やっぱ無理か?」


アクセル達は未だエディオンに留まり、日々を過ごしている。


ここ数年、ピーサリアの復興やダンジョン攻略と、なかなか自分の時間が取れなかったアクセル達は各々が好きに過ごしていた。


そんな中、アクセルは拠点の地下に造られた作業場に籠り、作業をしているのだが、思うように進んでいないようだ。


「マスター、お茶持ってきたよぉ」


「ん?おぉ、ありがとう。ちょっと休憩にするか」


「ゴーレム上手くいかない?」


「んー、やっぱ魔石じゃ核の代わりにはならないのかもなぁ」


アクセルは依然造りかけていたゴーレムを完成させようと着手したが、思うように進捗が進まずにいる。


「でもなぁ、これの魔石でいけると思うんだよなぁ」


ステラが淹れてくれたお茶を飲みながら、光、闇竜の魔石を眺める。


「このちっちゃいドラゴン達が動いたら可愛いのにねぇ」


「まぁもうちょっと頑張ってみるか!」


こうしてまた数日が経ち、数週間が経ち、2ヶ月ほど経ったある日のことだ。


「出来たー!!!!!」


庭先からアクセルの大声が届く。


その声を聞いた3人が庭に出る。


「完成か?」


「おぅ!今からお披露目会するぞ!」


そう胸を張るアクセルの足元には三体のゴーレムが並んでいる。


全身、魔晶輝石製で造られたゴーレムは人の頭ほどの大きさのドラゴンが2体、そして同じ大きさで人型の騎士を模したゴーレムが1体。


「ほれ、お前達、挨拶だ!」


アクセルがそう言うと、ゴーレムドラゴンは小さな翼をはためかせ、宙に浮く。


そしてミラ達の目線の高さまで上がるとその場に留まり懸命に翼をはためかせる。


「おぉ、これは凄いな。これからよろしくな」


ミラがそう言いながらドラゴンを指で突っ突く。


「わぁ!こっちの子も可愛い!!頑張って歩いてる」


人型騎士のゴーレムは短い足でちょこちょこと歩き、屈むステラに一礼して見せる。


「こ、これは癒さられますね…………」


「ん?これは核が2つ?成功の秘訣か?」


「お?よく気付いたな!ドラゴンゴーレムには闇竜、光竜の核、騎士ゴーレムにはソニアから預かった魔石を核にしてる。それに海にいたスライムの核をそれぞれに使ってるんだ」


「核が2つあるゴーレムか」


「ふふん!驚くのはまだ早いぞ!」


アクセルがしたり顔で胸を張り、ゴーレム達を呼び集める。


「よし!お前達、合体だ!!!」


アクセルの声を聞き、ドラゴンゴーレム達が分離、そして騎士ゴーレムと合体していき、ホビット程の大きさの半竜化したソニアのようなゴーレムが出来上がる。


「「「…………………」」」


「あれ?気に入らないか?コイツ強いんだぞ?」


「いや、凄すぎて……………」


「うはぁ!!カッッコイイ!!!」


「これは私の戦った鎧に少し似ていますね」


「そうだろう、そうだろう!物凄く苦労したからなぁ。コイツらに拠点を護ってもらうんだ!」


「また君はとんでもない物を生み出したな………」


「はは、よし、分離だ。………みんな見回りよろしくな!」


拠点を護るゴーレムを手に入れた。

読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴーレムかわいいw挨拶までできるなんて。
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