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141話 ダンジョン攻略開始

「なんか久しぶりな気がするな」


アクセルがダンジョンへ繋がる建物を見ながらそう呟く。


「君は拠点建築にかかりっきりだったからな」


「そうそう!僕達3人は食料調達も兼ねてそれなりに潜ってたからね」


そんな会話をしながら建物内に入る。


相変わらず朝は人が混み合っており、なかなか受付にいくことが出来ない。

その為長椅子に座り待っているとアリスファミリーのナナが駆け足で近付いてくるのが分かった。


「よ、よう!今日はアンタも一緒なんだな…」


ナナはどこか緊張した面持ちでアクセルへと話しかける。


「あぁ?」


アクセルが一気に機嫌を損ねたのはナナにも感じ取れたようだが、ふぅ…と息を吐き、何か覚悟を決めたかのような表情になり口を開く。


「ウチと勝負してくれ!」


「……馬鹿かお前……そんなことして俺にはなんの得も…」


「…良いだろう」


アクセルの言葉を遮り、ミラが代わりに返事をする。


「はぁ!?おい、ミラ……」


「……無理にとは言わないが、出来れば…」


「……なるほどな…………分かった。勝負、受けてやるよ」


展開が2転3転しているが、アクセルもなにやら納得したようにナナへと返事を返す。


「ほ、本当か?じゃあ…」


「その代わり、俺が勝ったらダンジョンに関する知識、お前が知る限り全てを教えてもらう。それと勝負を受けるのは今回限りだ」


「………分かった。それくらいなら安いもんだ。」


(よし!…ウチだってコイツから強さを盗んでやる)


ナナは心内でそう呟きながら小さく拳を握りしめる。


アマゾネスは非常に面倒臭い種族だ。

例え完膚無きまでに打ちのめされようと、自身が負けを認めぬ限り折れることがない。

究極の負けず嫌いなのだ。


その為アクセルはアマゾネスが苦手であり、中央大陸で冒険者をしていた頃にしつこく付き纏い、ことある事に勝負を仕掛けてくるアマゾネスからアクセルが逃げ出したくらいだ。


アクセル達はナナの後に続き闘技場へと移動する。




―▽▽▽―


「さて、じゃあ情報貰おうか」


「……落ち込む時間もくれねぇのかよ…」


「落ち込む必要がある内容でも無かっただろ」


勝負はミラが指を弾き、音が鳴ったことを合図とし、その瞬間アクセルの放った衝撃弾がナナの身体を爆散させ決着となった。


「あぁあ!!クソ……わぁったよ」


昼までナナからダンジョンに関して情報を搾り取り、昼食もナナの奢りとなった。


「よし、じゃ改めて…行くか!」


全員でダンジョンへと潜っていく。


1~10階層までは代わり映えのない草原が続く。

この階層は既にステラとソニアにとっては庭同然であり、下層へと続く階段の位置も把握している。


そのためソニアを先頭に、アクセル、ステラ、ミラと隊列を組み、魔物も襲ってくるもののみ相手取り、ソニアが魔石ごと魔物を灰にして駆け抜ける。


そして10階層からさらに下層へと階段を降る。

ここからは皆が初めての場所だ。その為、念には念を入れ用心の為ナナから情報を搾り取ったのだ。


―11階層―

この階層からダンジョンは一気に雰囲気が変わり、死者も出始める。


景色も草原から木が生い茂り薄暗く足元がぬかるんだ湿原へと変わり、魔物も毒を持ったものや、変わった能力をもつ魔物が出現するようになる。


中でも特に変わった魔物が武器を使用する人型の魔物達だ。


早速木をかき分け、オークが3匹のゴブリンを率いて姿を見せる。


オークやゴブリンが珍しい訳では無い。

中央大陸にも存在している。


しかし閉ざされた場所であるダンジョンに道具である武器を持って現れるのだ。


オークは周囲の木をへし折り武器とし、ゴブリンは同じような剣を3匹がそれぞれ手に持っている。


「僕がやる」


ステラがそう言いながら先頭に立ち、魔物の群れと対峙する。


そして軽く腕を振るうと、それに追従するかのように氷で造られた苦無が魔物達の額に突き刺さる。

さらに苦無が刺さると同時に魔物達の体は凍りつき、頭部からは内側から食い破るように氷で出来た無数のトゲが突き出し、魔石をも掠めとっていた。


「随分と仕事が速いな……」


「えへへー、魔石の位置を教えて貰ったからそれもついでに確認しようと思って」


ステラはそう言い終えると拳をぐっと握りしめる。

すると魔石共々、凍った魔物達の体も粉々に砕け散った。


そしてその後、1本の剣が地面へと落ちる。


「これがアイツの言ってた"魔物の落し物"、か…」


アクセルは地面に落ちた剣を拾い上げながらそう呟く。

ナナから得た情報通りだ。


使用者が死んだにしても、手放し逃走したとしても、道具や武器は回収しないまま放置し一定時間が経つと、ダンジョンに取り込まれてしまうのだ。


そうして取り込まれた武器は魔物が生まれると同時にその魔物の手に渡り、さらには劣化はするが複製品をダンジョンが生産してしまうのだ。


しかし、その複製品は持っていた魔物が死ぬと同時に光の粒となり消えてしまう。


この様な背景があった為に、ダンジョン入口にある魔物の解体場のある空間に武器屋が併設されていたのだ。


「これが誰かの遺品じゃなきゃ良いけどな…」


アクセルはそう呟きながら剣をチュチュ袋にしまう。


ダンジョンの不思議な1面を垣間見たが、この階層ではそれだけだ。


そこからはアクセルを先頭にソニア、ステラ、ミラと隊列を組み、アクセルが魔力を拡散し地形と階段の位置を索敵、さらには敵を斬り伏せ、ソニアが死体を魔石共々灰に、討ち漏らしや増援はステラが対処し、ミラが後始末といった具合で一気に19階層まで駆け抜けた。


そして階段を降りながら20階層を守護する階層主、その巨体が目に入る。

読んで頂きありがとうございます。

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