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130話 衝突、再び

アクセルはアリス達の元を去ったその足で、教えて貰った商人のいる街にきていた。


そして商人を訪ね、首輪について問いただす。


分かりきっていたことだが、商人はあの首輪について全くといっていいほど知識がなく、たまたまこの街を訪れた人物から買い取ったそうだ。


そしてその人物について聞くが、全身ローブで身を包み、外見は分からなかったそうだが、声は女性だと言っていた。


商人と別れ、アクセルは1人街の広場で物思いに耽ける。


あの首輪にはとても強い力が込められていた。

それは呪いに近い力、呪法でまず間違いないだろう。


問題はそれを作り出す者がいるということだ。


呪いではなく、呪法なのだ。間違いなく人工物。


過去、ステラに施されていた呪法とは比べ物にならない程強力な物を作り出せる者がいる。

それは自らの師であるネーラは勿論、ネーラよりも深い知識と実力を持ったアリス達でさえ、完全に理解していない代物なのだ。


そんな代物が大量に作り出されると………


そんな事を考えていたが、すぐに考えを改める。

どう転んでも、あれ程の力を媒体を通さず、即座に使用するのはまず不可能。


首輪が量産されたとしても、ミラが同じ轍を踏むとは考えられない。


そして呪法である為、アクセルの魔力で打ち消すことが出来ることも確認できた。


首輪を作り出せる人物、もしくは生物がいたとしても問題ないはずだ。


そう結論付はしたのだが、気分がスッキリせず、頭をガシガシとかいた後、拠点へと戻った。


―数日後―


すでにステラは元気に動き回ることが出来る程に回復している。しかし全快とは言い難い。

身体を慣らす為、ソニアと共にダンジョンへ通っている日々だ。


ミラもほぼ回復はしたが、やはり全快には程遠い。


アクセルはそんなミラを気遣い、浮島拠点に留まっていた。


そんなアクセルにミラが声をかける。


「マスター、私はもう平気だ。君も引きこもってばかりで退屈だろう。少し出歩いて来てはどうだ?」


「うん?うーーん……じゃあそうしようかな」


ミラもダンジョン拠点の方で読書をする予定だそうで、アクセルは久しぶりに街に繰り出した。


まず訪ねたのはカミルの所だ。

礼もちゃんとしたし、薬の代金もすでに払い終えているが、改めて礼を伝えに行った。


その後は気ままに街を散策する。


魔石を使った様々な道具や武具を見て回るだけでもかなり楽しめた。


そして軽食を買い、広場の長椅子で休憩していると1人の女性が近付き、アクセルの隣に腰を下ろした。


「やぁ、君、私のファミリーに入らないか?」


「……………お前、頭がどうにかなっちまったか?つい先日、仲間を殺そうとしたやつの下になんか付くと思うか?」


話しかけてきたのはアリスだ。


「それはおかしな事を言う。あの時、君が水に流そうと言ったから私は今、新たに関係を築こうとこうして話しかけているのだが?」


「だとしても、だ。そんな奴と関わりを持ちたくはない」


「ふむ…残念だ。しかし……」


「そんなこと言うために来たんじゃないだろ。さっさと要件を言え」


「うむ…私達はこれより先、君達に敵対する気はない。それを示す為にも当事者である彼女に、何か贈り物をしようと訪ねたのだが、彼女の望みは君が欲している物を、君に贈って欲しいとのことだった」


「いらん」


「世界樹……」


アリスが口にしたその単語に僅かながら反応してしまう。


「ふふ、どうだい?」


「ちっ……ミラのやつ………ホントに持ってるのか?世界樹の何かを」


「あぁ。君の意に沿うかは分かり兼ねるが、持っている。それを君に贈ろう。それと………これは断ってくれても構わないが、頼みを聞いてほしい。勿論、贈り物はそれと関係なく贈ろう」


「それが本題か…で?」


「私の家族達と戦ってほしい」


聞けばアリスファミリーの者達の中には、それぞれ理由はあるが、今回の出来事に納得してないものが大半なのだそうだ。

ある者は直接戦わずして負けを認めることが出来ず、ある者は相手の実力をその身で受けたにも関わらず現実を受け入れられず。


この街で争いを起こし、それに負けるということは相手に従うか、この地を去るか、死しかないというのが一般的な考えとして存在しているのだ。


「勿論、実際に殺し合いをするわけじゃない。そうだな……簡単に言えば夢の中で戦うといった感じか」


この街は実力がものを言う場所だ。

どうしても荒事は起こってしまう。


それを解決したのが、ダンジョンの裏に位置する場所にある闘技場だ。


その闘技場は複数のオラクル達が特別な力を施し造られたそうで、にわかには信じ難いが、その闘技場では幽体とも呼べる状態になり、自身の力は勿論、感覚等も全て現実と同様な状態で活動することが出来るらしい。


「なるほど………それで夢の中……ね」


「当然だが、その空間内で命を落としたとしても夢が覚めるだけ。後遺症など一切ないことを誓おう」


確かに凄い技術であり、興味はあるが、アリスの頼みを聞き入れる理由など一切ない。

取り合うこともなく、切って捨てるような頼みだ。


が、しかし。


「分かった。良いぞ………その代わり、罠に嵌めようなんて考えてたらどうなるか、分かってるよな…」


「身をもって承知の上だ………感謝する」


その後、詳細を話し合い闘技場での決闘が決まった。


「という訳で、ソニア。お前がやれ」


「私…ですか……っ!承知しました!!」


アリスとのやり取りを全員に話し、そしてソニアが戦うことになった。


話が終わったことでソニアは席を外し、決闘は明日、まだ時間はかなりあるが外で身体を動かしている。


「やれやれ……しかし良い機会でもあるな……」


「あぁ、都合よく手間が省けた」


「んん???」


ミラの言葉にアクセルが相槌をうつが、ステラはよく分からないと首を傾げていた。

読んで頂きありがとうございます。


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