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次なる階層へ

昨日はすいませんでした。

どこかで二話投稿して、遅れを取り戻すので許してくださいm(._.)m


 「12星将・・・だと?」


 『12星将』


 それは、『人族ヒューマン』や、『森妖精エルフ』、『龍人ドラゴニュート』など、この世のありとあらゆる知性を持つ生物の中から、たったの12名。

 『ゾディアック』と呼ばれる特殊な精霊を宿した武器に選ばれた者のみで構成された組織だ。


 組織、とは言っても殆ど名前だけで、実際のところ、自分の暮らす国で重要な役職に就いている者も居るが、一度彼らが集まれば、その12名のみで世界の8割を相手に出来るほどの圧倒的な力を持っていると言われている。


 

 「彼等が?どういう事だ。12星将のメンバーには『人族ヒューマン』だっているんだぞ?」

 「ああ、私だって到底信じがたい・・・が、『ゾディアック』の力は未だに謎が多いんだ。神代から生きていたとしても不思議ではない」

 「・・・わかった、そこは納得しよう。だが、『伏魔殿パンデモニウム』を作ったとはどういう事だ?そして、どうしてそれが伝えられていないんだ?」

 「それはだな・・・いや、これ以上は後で話そう」

 「・・・?どうかしたのか?」

 「これ以上話すにはまず『12星将』の成り立ち、そして、『伏魔殿パンデモニウム』の前身となった建物、『万魔殿』についても知らなければならない・・・そこら辺まで来ると、口頭での説明が苦しいし・・・アレクは『人族ヒューマン』なのだろう?私の見方はあくまでも『魔物』視点、余計な先見を持たせたくは無い。全てを知るのはここから出た後、アレク自身が調べた方がいいだろう」

 「そうか・・・まあ、俺には選択肢が無いからな、カナンが話さないのなら俺も無理には聞こうとしない、が、せめて階段を探す意味がない理由くらいは教えてくれ」

 「そうだな、この遺跡は現状、各地に点在する遺跡と機能自体はおそらく、殆ど変わらない。ただ、ここは階層を繋ぐ手段が魔法陣による転移しか無いんだ。そして、転移する位置はランダムだが、たった一つの例外を除いて、全てが一個下の階層の何処かに繋がっている」


 彼女のおそらく、と言う言葉に一瞬首を傾げるアレクだが、カナンは通常の遺跡についてを知らなかったな、ということを思い出して流すことにした。


 「例外?」

 「最終層だ、そこにあるのだけは一番上に繋がっている」

 「成る程ね・・・ちなみにここは?」

 「わからないな、あくまでも私が知っているのはここの成り立ちと、『伏魔殿パンデモニウム』だった頃の機能のみ、流石にその構造までは覚えていない」

 「そうか、他には何かあるのか?」


 アレクは何となく、ここが一番上だろうなという確信があった。

 それはあの神話の化け物、恐らくは彼女の言う『核』であろうモンスターを見てしまったせいだろう。

 ここに来てから見たモンスターで、一番やばいのは間違いなく奴だった。


 「他には・・・特に無い、と思う。聞きたいことは他にないか?まあ、あまり答えられない事も多いと思うが」

 「いや、問題無いよ。とりあえずはここから出る事、だろう?」

 「ああ、そうだな」



♢☆♢☆



 転移魔法陣を使い、次の階層に足を踏み入れたアレク達の目の前に広がったのは、信じられない景色だった。


 「おい、カナン・・・これはどういうことだ?」

 「成る程、普通の遺跡だとこれは無いのか。いや、申し訳ない」

 「申し訳ないですんだら、憲兵は要らないんだよなぁ」


 それは白銀だった。

 天井はどこに消えてしまったのか、空は曇天に閉ざされており、周りを囲んでいた石の壁もない。

 足元を踏みしめれば、柔らかく冷たい感触。

 

 そこにあったのは生命の存在を許さない死の世界。

 立っているだけで、『上位悪魔ディアボロス』の肌すら凍りつく、絶対零度の世界だった。


 「どういうことよ、これ?」

 「ここは別次元に存在する遺跡だからな、正直に言ってしまえば私もよくわからん。ただ、この遺跡ではこういった事があるのだという事を知っているだけだ。実際、次がどうなっているのか。灼熱の世界か、暗闇の世界か、はたまた密林か。それはわからない」

 「そうかい・・・いや、しかし、これはマジで衣服が必要だな。頼むぜ、カナン」


 アレクはこれまで色々あって結局魔力で服を作る方法を教えてもらっていない。

 流石にここでは死活問題になるので、カナンに頭を下げる。


 「おっと、すまんな。いや、忘れていた訳ではないが」

 「そういうのはいいから早く」

 「す、すまん。んん、では簡単に言ってしまおう。まずは自分の周りを漂う魔力と自分の中にある魔力、この二つを意識して、中の魔力だけ動かしてくれ」


 言われてアレクが目を閉じてみれば、確かに身体の外側を舐めるような魔力の流れと、内側で溜池のように存在する魔力がある。


 やり方なんて知らない、ただ、本能的にわかる。


 アレクがイメージするだけで、勝手に体内の魔力が動き出す。


 「それでいい。そこから、段々と外側に魔力を持っていって、外を流れる魔力と擦り合わせる」

 「擦り合わせる」


 殆ど無意識に呟きながら、魔力を放出。

 すると、水の流れのようにぶつかり合っていた魔力が風のようにお互いにぶつかり合いながらも、吹き抜けていく感覚に変わる。


 そして、外の魔力に邪魔される事なくアレクの周りをアレク自身の魔力が回り始めた。


 「後はアレクが望む服をイメージすればいい。出来るだけ鮮明に、ディティールにこだわり、感触も、匂いも、色合いも、全てをイメージする」


 言われて、アレクがイメージした瞬間、身体の周りを包む感触、目を開けてみれば、カナンの着ている服を男性用に仕立て上げたような服がアレクの身を包んでいた。


 「あれ?人間の時の俺の服装をイメージしたんだけど・・・」

 「ずっと、服らしい物は私の物しか見てなかったから、イメージがこちらに固まってしまったんだろう。気に入らなかったら、やり直すか?」

 「いや、それもそれでめんどくさいし、これもなんだかんだでいいデザインだからいいや」

 「そうか。では、進もうか。とりあえずは君の『進化』が優先だな」

 「ああ」


 歩き出して、アレクはふと思い出す。

 階層ごとの移動は、転移魔法陣でしか行えない。

 だとしたら、あそこで落ちたドーレフ達は一体どうなったのだろうと。


 とはいえ、今は考えてもしょうがない事だ。

 余計な思考を切り上げて、アレクはカナンの後を追おうとした瞬間、空から巨大な氷塊が落ちてきて、アレクの目の前を歩くカナンに直撃した。


 「っ!?カナン!」


 アレクが呼びかけた瞬間、氷塊にヒビが入って砕け散る。

 どうやら、カナンは直撃する瞬間に氷塊を蹴り砕いたようだ。


 「何だ?」


 カナンが上を見上げるのと同時にアレクも上を向く。

 そこには先程と同じかそれ以上にでかい氷塊が7つ、そして、それらの全てがアレク達を押しつぶすように殺到した。

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