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0を司る者  作者: 理外
10/23

第9話 ライフリミット




よし。寝よう。


そう決めてからの零が寝るまでに

かかった時間なんと、


0.13秒。


嘘。5秒



近くの木に腰掛け眠りにつく。


零は基本どこでも眠れるのだ。

これは零の特技と言えよう、そして

眠っていながら周りの気配を察する事や

思考、身体を動かす事すらできる。

まるで夢遊病の様に。

このかなり特殊な特技がある事で、

24時間行動し続ける事も可能なのだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





零が眠り始めて3時間。


すっかり辺りは闇に染まり、

人には一歩先の景色も見る事が難しい

環境の中で動き始める生物がいた。



カサカサッ

ササッ




「ん、なんかいるな」



眠っていたことで逸早く気配を感じた零。



うーん、この感じは近所の大型犬に似てる。

ファンタジー的に解釈するなら狼って所

だろうか。

徐ろに立ち上がる零。そして思考する。

仮にこの気配を狼と考えたとしよう。

感じる気配は7つ。

魔物であり、俺を喰いに来たのだとすれば、

戦う選択肢はまず無い。

では、逃げる??どうやって??

今感じるのは同じ様な7つの気配それ以外

には感じない。ならば、コイツらさえ

どうにかなれば生き残る可能性はまだ

あるか。

やはり俺を囲む様に近づいて来ている。

一番近いもので17m。遠いのは37m

逃げられ無い様考えられた配置だな。

群れで狩りをするものの知恵か、怖いな。

さて、どうする。

鉄剣で戦う?? 戦闘経験皆無の俺が??

逃げる?? 少なくとも速さの利は向こうだ



零のとった手段は・・・




木に登る。である




どうやって登るのか?

この樹海の木は1本1本が非常にでかい。

木に登るのであればまず枝の上で休む事に

なるのが大半だろう。それ以外等聞いた

事もない。

だがこの樹海の木はでかい。そして太い。

最も地面に近い枝でさえも目測5mはある。

木が太くて腕は回らない。


そこでマーリンに貰った鉄剣の出番である。

きっと本来の使い方ではないだろう。


鉄剣を木に刺す。

剣を刺す事ができるのは睡眠中に確認済み

である。


そして鉄剣を足場に登る。


ここの木は、

デカくて、

太い。

木の話ね。


だが、所々凹凸があったりするのだ。


あとはボルダリングの要領である。


足場が無くなれば鉄剣を刺す。

まるでVSア◯シのクリフクライムの様な

感じだな。

もちろん零はまだ睡眠中である。

眠っていれば木の凹凸や鉄剣の刺さりやすい

場所程度、丸分かりなのだ。


そして枝の上に辿り着く。

その下で3つの気配


グルルルゥ


唸り声が響き、木の周りをウロウロする事

30分。


諦めたのか狼の様な気配は消え去った。


消え去ったのを確認し零は引き続き睡眠

を貪るのであった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





辺りが若干明るくなり始めた頃ようやく

零は目を開けた。


「ふわぁ〜、おはよう異世界。」


一晩探索するかどうかを眠りながら考えて

いた零は取り敢えず、見えない壁に触れながら安全確認をしつつ探索する事を決めていた



最初スタート地点の地面鉄剣で印を付け

探索を始めた。






夕。辺りが少しずつ光を失い始める頃

零はスタート地点に帰って来ていた。






結果。 なんもない。



正確な時間は分からないが恐らく往復で

12時間近く探索をした筈である。

直線距離にして壁際、約24kmを探索したが

水はもちろん。なんかの実もない。

ありがちな毒キノコ的な物もない。



草草木草草木草草


これの繰り返しである。


ライフリミットまで約1日半。


本格的にヤバくなって来た。

樹海の中心へと向かうべきだろうか・・・

だがもう辺りは闇を纏い始めている。

あの暗闇の中を行くだけでも大変だろうに

水を探さなければいけないのだ。

睡眠移動であればある程度はなんとかなる

かも知れないが、昨日の様に何かしらの

生物に襲われでもしたら本当に死ぬ。

ここに居続けても死ぬ。なら・・・


行くしかない。



腰に下げたアイテムボックスから麦パンと

干し肉を取り出して食べる。


念のために鉄剣も持っておく。



「何もでんなよ〜。」


願いながら進む。



歩き続けて夜が明け、また光が無くなる。


ライフリミットまで約12時間。



幸いまだ魔物の類いに遭遇してはいないが、

正直それどころではない。

体が水を欲して止まないのだ。

何か無いかと縋る様にステータスを開く。




ステータス

広瀬 零 LV. 1 状態異常 脱水

HP 100/100 MP 100/100

STR 20

VIT 10

DEX 20

AGI 30

INT 20


スキル

獲得経験値倍加

ステータス上昇率倍加

バース言語理解

鑑定 LV5

偽装 LV8

高速睡眠 LV6

睡眠学習 LV6


ハイスキル


ウルトラスキル

0 LV1


称号

召喚されし者

惰眠を貪る者

0を司る者



脱水か。


雨とか降って来ないだろうか。


なんでもいいよ。

泥水でも。

小学生が密かにオシッコした民間プールでも

今なら飲める。いや進んで飲むね。



水かぁ。マーリンみたいに水魔法使えたら

いいのになぁ。

使い方教わればよかった。


どうにかして使えないだろうか???


なんか以前読んだラノベには魔法はイメージ

が大事だと書いてあった。


マーリンは適切があり鍛錬すれば使える様になると言っていた。


10人に1人は1つの属性が使えるとも

言っていた。であれば、

光と闇の使い手はほぼいないらしいので。

火、水、風、土。上手く行けば40人に1人

は水属性の魔法を使える計算になる。



自分が40分の1である事を願う。

じゃないと死ぬ。



仮に水魔法の適正があったとして、

鍛錬とか何をするのであろうか??


習得に1週間や1ヶ月掛かる様なら、

使える前に死ぬ。なんせあと12時間しか

ないのだ。



取り敢えずイメージしてみる。


水!出てくれ!!



・・・


反応はない。



きっと正しい方法ではないのだろう。

考える。


そういえばマーリンのステータスに


【詠唱省略】【無詠唱】


こんなスキルを見た覚えがある。

マーリンは無詠唱で魔法を使っていた。

であれば。本来は詠唱が必要と言う事

なんだろう。


詠唱か。なんと唱えればいいのだろうか??


なんとなくだかウォーターとかで・・・


バシャッ。






お。?!?ん!??




・水魔法を習得しました。


・詠唱省略を習得しました。



頭の中に文字が浮かんで来た。






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